江戸宮

Open App

恋って聞こえはいいけれど実際は苦しい。
もっと楽しくて、綺麗で、清純なものだと思っていた。
夢を見すぎだという意見も分からなくは無いけれど。
私の恋は綺麗とは言えそうにもない。
醜い嫉妬も汚いモヤモヤした感情も私の夢見ていた恋とは程遠い。

先生が可愛い女の子と楽しそうに話しているだけで、話の内容関係なくずるいと思ってしまうし、私は放課後はなせるもんね!なんて子供じみたマウントを心の中でこっそりとったり。
そんな私の態度に目ざとく気づく先生は決まって本を貸してくれる。
先生の私物を借りれる優越感でいっぱいの私はすぐ機嫌をなおしちゃうんだけど。

ちょうど今、ごめんねと少しの甘い言葉をくれた先生は三島由紀夫の愛の渇きという本を貸してくれた。

「三島由紀夫がね、嫉妬こそ生きる力だ、っていってたの。嫉妬こそ生きるエネルギーになるって、……でも、貴方がこの本の悦子のようになってしまうのは嫌だからね。俺は貴方だけをみているよ、だからそんな顔しないで、」

先生の言葉は時々難しい。
でも、先生がすっごく恥ずかしいことを言ってのけたってことはわかる。
嬉しいのに、こんなの誰にも言えない、どこにだってかけやしない。
この本を読んだら先生の言葉の意味がわかるのかな。




三島由紀夫の『愛の渇き』『盗賊』ぜひ読んで欲しいです
2024.1.7『どこにも書けないこと』

2/7/2024, 12:15:24 PM