『とりとめもない話』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
とりともないはなしってなに?
まとまりがないはなしのこと?
まぁいいや!
全部のことだから!
まとめてオチがあって面白い話しなくちゃね
きっと粗治療だろうけど、夜、今の時期、どうしようもなく死にたくなったらパジャマのままベランダに出る。
ベランダに出たら飛び降りてしまうかもって?ベランダから飛び降りたくなったら、それはそれでいいと思う。今実行してないということはきっとまだしばらくできないんだろうし、しないんだろうし、死ねないということで、それもそれでいいと思う。
これから話す内容は実際に死ぬか死なないかの話ではなく、希死念慮に支配されて何も考えられなくなったり、息苦しくなったり、暴れたくなったり泣き叫びたくなったり、とにかく死にたくなったり、辛くて辛くてたまらない、逃げ出したい、というときの対処法の話である。
外に出てしばらく突っ立っていれば寒さで全身がぶるぶる震え、耳と鼻と足先が凍ったみたいに痛くなってきて、頭の中は「寒い!」しか考えられなくなる。さっきまで死にたいだとか死ねないだとか希死念慮にまみれていたのが、極寒の中突っ立っているとそんな思考は吹き飛んでくれる。
鼻水が垂れてきたら部屋に戻って布団にくるまる。ふかふかで温かくて物理的にほっとして、体が温まると心も安心してくる。そのまま眠れそうなら寝てしまう。
眠れないならぼ〜っと動画を見る。ここでネガティブな内容に触れてしまうと、せっかく希死念慮を寒さで吹き飛ばしたというのにまた落ち込んでしまうから、できるだけライトで楽しそうな動画を選ぶ。誰かが笑ってるのを聞くだけで辛くなるときは、廃墟巡りとか街散策の動画とかが穏やかでいい、と思う。
どうしてもまた死にたくなってきたら、また外に出て「寒い!」を繰り返す。
震えながら空を見上げると、星がチカチカ、やけに綺麗に思えてきて、綺麗だなと思えば思うほど涙が出てくるときがあるから、そんなときはそのまま泣いてみる。泣くことで「なんで泣いてるんだろう」とか「意味分からないなぁ」とかちょっとネガティブな気持ちになって、それからもっと泣いてしっかり泣ききると、徐々に落ち着いてくる。
感性が死んでるときに空を眺めても何も思わないので、星を綺麗だとか思わない日はただただぼーっとどこか虚空を眺めて虚無っておく。寒いのか暑いのかも分からないときは本格的に手がぶるぶる震えてきたら室内に戻る。
そしてまた布団にもぐって寒い寒いと言いながらくるまっていれば、なんだかまたほっとして、普段は滅多に味わえない安堵感につつまれる。これをしたからといって、次の日目が覚めたって死にたくなくなるわけじゃないけど、お手軽にこの安心を味わえるなら、何度でも極寒の中に飛び込んで震えて布団にもぐるを繰り返してもいいかな。
私の思考はコロコロころころコロコロと
移っては消えまた移っては飛び跳ねていなくなる。
くだらない独り言がそうしているうちは可愛いが、
大事な何かが思い浮かんだ時にもそれはなんでもないような顔をして、あっさりと後ろ順番待ちの、今日の晩ご飯は何にするか?に席を譲ってしまうのだから困りものだ。
そうして君の次の順番は一体いつ回ってくるんだい?
できるだけ早めに戻って来てくれると嬉しいのだが。
とりとめのない、私の頭の中の話。
「朝露」
優しさは花の朝露
ぽたりと垂れし刹那の夢
温い手首を冷ややかになさる
もろき玻璃の物語
貴女の優しさは朝露の如し
蒼白き指をすり抜けさらなる奥へ
擬態しながらも堕ちてゆく
しなやかなる水のたわむれ
僕は夜の静寂の湖面
逃げも隠れもしないもの
誘い水を撒き透きとほる貴女に
悠久なる波紋を報せゆく
噫、我等、抱擁しやう
秘やかなる此の現象に
貴方と僕で
外から見附からぬ名を附けてやろう
今日のテーマは『とりとめもない話』ということで。
いつも書いていることは『とりとめもない話』です。
ただ筆が乗るままに、思考が巡るままに、大体30分という制限の中で、なんとなく書いたものでして。
本当にくだらない、どうでもいいことを書いているわけですが、この「くだらない」というのが人生には必要なのだと、私は思っているわけです。
辞書を引いたわけではないので私の感覚的な話になりますが、おそらく「くだらない」の対義語は「意義ある」だとか「価値のある」だとか、そのあたりの単語でしょう。
これもまた私の感覚ではあるのですが、価値あるものとか意義あるものって、つまらないんですよね、ぶっちゃけ。
娯楽と呼ばれるものは突き詰めれば「くだらない」ものですし、友人知人との雑談(とりとめもない話)もまた『くだらない』ものなんです、おそらくは。
ただ、そういった「くだらない」とされるものを、価値がないとか意義がないと切り捨てる人生は味気ないもの何ではないか、と。そういった「くだらない」ものに価値や意義を見出すことが必要なのではないか、と。そう思うわけです。
30分というのはあっという間です、このような『とりとめもない話』を考えているときは特に。
今日のテーマはこのあたりで終えたいと思います、はい。
取り止めもない話
雑談程度の話だが
明らかにイレギュラーなことに慌ててるそぶりなのに明らかに順序よく話す人間はとりあえずいったん疑うらしい
時系列が綺麗すぎて違和感を感じるんだなんだとか
聞き込みのシチュエーションで
「あ、そういえば○○だったような」
「「「!!」」」みたいなことが
かなりありうる
一方で
井戸端会議は井戸端会議なりの信憑性が高まって話に花が咲いていればある意味まとまりはあるという皮肉かもしれない
言葉の力で立ち直る。
話し方がヒドイ!方言や笑いを意識して品のない語尾。綺麗な日本語を話しましょう!
1 とりとめもない話
「今日は家にくる?」
「――の好きなゴーヤチャンプル作ったよ」
きみの笑顔に癒される人がここにいる。
きみの言葉は安らぎを与える魔法であり。
二人交わす時間。思いだすほど、優しく光り。
そして、かけがえのない宝物になってゆく。
ラストが苦手だ。どんな文章を書くときでも。
作文や小論文ならまだ良い。とりあえず最初に話したテーマをまた持ってくれば良いだけなのだから。けれど小説やこういった独白ではそうばかりじゃいけない。
無理に纏めようとすればする程、ただ冗長な文となり延々と終わりが遠のいていく。読み返してみれば文章同士の繋がりも希薄で、何ともまあ、とりとめのないものと化している。
それらはまるで、己の人生そのものだった。
強烈なシーンだけ浮き上がっていて、間にあたるものはすっかり抜け落ちている。そしていつまでもダラダラ、ダラダラと終わりなく駄文を綴っている。
わからないんだ。
物語をどう締めくくれば良いのか、生を全うした肉体がどう朽ちていくのか、魂はどう消滅するのか。
せめて手中の筆先だけでもラストをコントロールしたいものだが、一体どうすれば良いのだろうか。
誰か、教えてくれないか。
【お題:とりとめのない話】
とりとめのない話をしようか。
そう、末の弟に話しかけると、蹲っていた彼は微かに顔を上げ、その光の灯らない瞳を向けてくる。
一応聞く意思はある。ただ、言葉を返す気はない。その心を閉ざしたまま、否、閉ざさなねばいけないままだ。
それは、私自信重々理解している。今の私では、両親の意向に逆らうことはできない、ただこうやって、話しかけてやることしかできないのだ。
「今日は、とても良い天気だったよ。あぁそうだ、桜花にも春が来たんだ、桜が咲いたものだから街が活気づいている」
なるべく季節の話題を出すことで、時間を知らせる。弟は生まれてからもう何年も、巡る季節を見てきていない。
想像できるように、事細かに言葉にしてみてはいるが、さて、どこまで理解出来ているだろうか。
「……すずにぃは、なんで私なんかに構うのですか」
「え?」
「利益などありませんでしょう? 私は忌み子なんですから」
ぷいっと、壁際へと彼の目線が動く。そこには、積み上がった本の山。
この弟は怖いくらいに頭が良い。両親に黙って、文字を教え、彼に様々な本を与えてみたが、その全てを読破し、言葉の意味を理解した上で、こうして聞いてきている。
忌み子。それは、我が如月家のみに出てくる者。
如月家は現在、桜花國、筆頭華族と呼ばれているが、かつては、中頭華族であった。元々筆頭であった、黒影家が、当主、嫡男共に不在となり、没落したため、筆頭となった歴史がある。
中頭の中で、どの家が筆頭となるかで揉めた末、黒影家最後の当主、柊の妻を出した四宮家と、忌み子と呼ばれる、力のある子供を排出する我が如月家のどちらかとなった。
その中で産まれたのが末の弟、華扇である。華扇の右肩から手首までは、黒文様で覆われており、その文様は魔力を吸収すると言われている。
言われているというのは、忌み子が産まれたのが約千年ぶりであり、資料がないためだ。
両親はそんな華扇を怖がりながらも利用することにした。忌み子がいる、この家が筆頭に相応しいのだと。
結果的に筆頭とはなったが、華扇は地下室に閉じ込められている。一度決まってしまえば覆せないのだからと、表に出されていないのだ。
「……利益かぁ、まぁあれだ、私がこの家を継いだら、華扇が味方になるように、かな?」
「……うそつき」
「ははっ、嘘も方便だ。それに嘘はついちゃいないさ、お前が敵に回ったら、兄ちゃん悲しいからな」
私が継ぐならば、この弟には幸せになってもらいたい。この、桜花という狭い国ではなく、レークスロワという、広大な大地の元で。
それまで私は、この地下室でとりとめのない話をする。
いつか来る、弟の大切な日々のために。
ーあとがきー
今回のお題はとりとめのない話。
というわけで、桜花國の話です。
華族の階級は、筆頭、中頭、下頭と別れており、筆頭一家、中頭三家、下頭八家の全十二家で構成されております。
黒影家がいた頃は、中頭四家の十三家で構成されておりました。
此度の語り部の名は、鈴華。だから、すずにぃです。如月家嫡男となります。
黒影家が花の名前であるように、如月家は、名前に華が付く決まりがあります。そういう歴史です。
今までの短編とは、時代が大分異なりまして、十数年後という時間軸です。
華扇&鈴華も様々なエピソードを持ったキャラクターなので、これから語れたらなぁと思います。
それでは、またどこかで。
エルルカ
最近気になってる人がいる
その人は勉強が出来てダンスが得意な人なんだ
羨ましいな
私は、人を愛すことができないんだと思う。
どうしてかって、うーん。長くなるな
けど簡単には言えないこと。
私って仲良くなった子をすぐに切り捨てたりするし、新しくできた彼にも優しくなんてできなかった。
小学校4年生の頃、仲良くなった女の子がいた。
その子は明るくて優しかったし太陽みたいな子だなあって最初は思ってた。
けど、知っていくうちにどこか儚くて、切ない子だと思った。
悩みとかそういうものを打ち明けたりは決してしなかったけど、幼いながらに私も「ああ、何か抱え込んでるな。この子は。」って思った。
そのくらい、その女の子はいい意味で分かりやすかったしいい意味で大人だった。
私にきっと相談したくなかったんだろうなって。
けど本当は助けて欲しいのかなーって。
でもそれに気づいた頃には、もう遅かった。
彼女は、病院で自殺した。
理由は今でも分からない。
けど、その子の両親から聞いた話では彼女、凛は元々心臓が弱くて病気だったらしい。
そんな中、小学2年生の頃にこっちに転校してきて、慣れない環境と自分の患う病のせいで心のタンクから不安が溢れてしまった。
けどそれを伝える勇気が凛には無かった。
私から見た凛は皆の前では明るくてクラスの中心のように思えた存在だったけど、心の奥底では自由になりたかったんだろうなと今では思う。
昔馬鹿みたいに海の中ではしゃいだとき、凛の表情が凄く眩しかったのを覚えてる。
それは、クラスの真ん中で笑顔で話してるときの凛とは違って。
本当にやりたかったことはあれなんじゃないのかな。
凛が本当にしたかったことってああいうことだったんじゃないのかな。
なんて、今考えても遅いけど。
海で服もびしゃびしゃだし、髪も濡れてたけど、凛が心から笑いかけてくれたのはあの日が最初で最後だった。
凛が病院で自殺をする前の日に、私は凛からのお見舞いの誘いを断った。
今でも覚えてる。まだ小さな携帯に「そっか」と悲しそうに送られてきたメッセージを。
あの日は私の誕生日だった。
仕方ないといえば仕方なかった。
両親からお祝いをされて、ケーキを買いに行くところだった。
幼い私には、病気を患っている友人のお見舞いがどれだけ重要かだなんて分からなかった。
私は、親友より自分を優先した。
さっき仕方ないと言ったけれど、あれは嘘だ。
もし私が彼女のお見舞いに行っていたら?
「今すぐ行く」と送っていたら?
次の日に、凛は自分で自分を傷つけることは無かったかもしれない。
私がもっと凛の存在の大切さに気づいていたら。
凛と出逢ったのがあと少しでも大人だったら。
彼女は、生きる道を選んだかもしれないのに。
私はその後悔でいっぱいになった。
凛の両親からの話なんて、そのときは右から左だった。
凛が死んだ悲しさと悔しさで頭がいっぱいだった。
凛の悩みに気づいていたのに
心の底の気持ちに私だけは気づいてあげれていたのに
どうして私は凛を選ばなかったんだろう。
今考えても、もう遅い。
彼女の火葬は、とっくの昔に終えたのだから。
私はそこから、仲良くなった子をすぐに捨てたり関係を切ったりしてきた。
中学生になって彼氏が出来ても、そのときの恋愛なんて所詮子供の遊び。なんて大人な考えをしてた。
だから、自分から彼に別れを告げたり急に連絡を断ったりした。
高校、大学と生きてきたけど、私の心の中から凛が消えたことは一度もない。
けどその代わり、私は人を愛すということができなくなった。
でもそれって悪いことでも良いことでもない。
だって人はいつか裏切るし、あの時みたいに、急に目の前から居なくなったりする。
だから人を愛してしまったらもう最後なんじゃないかって私は思う。
だけど、人を愛さないこともまた悲痛だったりする。
結局、この話に結論なんてない。
きっと私が死んだとしてもこの話にピリオドがつくことはないと思う。
いつまで経っても、とりとめもない話だ。
あなたととりとめのない話をしている時間が1番好き
くだらないねって笑い合うことが幸せだと教えてくれた
あなたとずっと一緒にいたい
クリスマスプレゼント、親が貰って喜ぶ物とは何だろうか?
服とかは趣味が合わないし、欲しそうにしていた楽器は場所を取る。
この間の健康診断で、糖分塩分油分を控えろと医者に言われたので、お菓子や肉類は駄目。
トンカツとか酢豚とか食べたがるけど、鶏胸肉の素焼きで我慢してもらってる。
商品券とか現ナマは自分の為にとっておきなさい、と言われるだろうし。
花の好みも真逆、そしてペットがイタズラするから置けない。
う〜ん。
――タラバガニ、か?
いや、でも、枕元にタラバガニは、ちょっと……。
いや、まてよ。
足元ならイケるか?
テーマ「とりとめもない話」
深夜に眠れず(am2:25)
栗駒山の映像を見てて
険しくも君と手を取り合って
キンコウカの黄色く咲く姿も
頂きから見る出羽富士も月山も
君と見たい
美佐子さんの笑顔を…
こんな夜更けに思い浮かべては
胸に込み上げる風が吹き抜け
明日に急かされて…
また1人シーツの中に埋もれて寝て…
……
眠れない夜と雨の日には
忘れかけてた愛がよみがえる
心から願う事が
全て形になるのさ
幾度も厚い壁乗り越えて
初めてわかる
諦めない!
それが答えだね
けして途中で
なげたりしないこと
見えない未来 頼りない あの日より
自由に夢を見てる
眠れぬ夜 オフコース
燃える思い 鈴木康博
地球に乗って人は どこへ向かうの
隣人の部屋のドアの敲き方さえ知らない
それの何がどうだと言うのだろう
とりとめもない話
今日、有名人が死んだと報道された。
よくある病気だった。
いく人もの芸能人が死んだその人を弔っている。
みんなが悲しんで泣いている。
後日、その人の人生を追った特番がやるらしい。
よく通る駅前の交番には、
1日の交通事故件数を示す看板がある。
今日、死亡欄に、「1」という数字カードがはめ込まれていた。私の街で、誰かが死んだ。
私は、その「1」の、名前も知らない。
歴史の教科書に記載された、複数の事件には、
黒く太文字で書かれていない人間の人生がある。
有名でも、英雄でもない。
だけど、きっと、私がいま生きているように、
この街で生きてきた人の人生。
私の人生も、きっと大衆にとっては取るに足らない人生。ただ無性に、とりとめのない誰かの話を、聞いておきたかったと思う。読み人知らずの喜びや悲しみを知りたいと思うのは、そこに無数の価値があるから。
自ら命を絶ってはいけない理由は、
本当はないのだと思っている。
だって、すべては自分の決断にある。
でも、
そうやって、自分では気づかないところに、人生の価値が潜んでいるということが、何よりの理由なんじゃないか。そしてそれは、自分が認めても良いところなんだと思う。
なんとなく、今日ずっと考えていた、これこそ、とりとめのない話。
大事なこと何も話さなかったくせに。
とりとめのない話しかしなかったくせに。
いきなりさよならなんて、納得出来るわけないじゃない。
嫌なとこ我慢してた?価値観が違うと思った?
それ1度でもこちらに話したことないじゃない。
価値観や考え方が違うのは当たり前じゃない。他人なんだから。
自分だけ我慢してたと思うの?君にだって嫌なとこいっぱいあるよ。
気持ちを察して欲しかった?
甘えるなよ。
他人の気持ちを、完全に理解なんて出来るわけないじゃない。話してもないのに、何を察しろと言うの?
なんで、何も言わなかったの。
話す機会なんて星の数ほどあったじゃない。
あなたの口は、なんのために着いているの。
君は傷つきたくなかっただけだ。嫌われたくなかっただけだ。嫌な人間になりたくなかっただけだ。
新しい居場所が出来たから、どう思われようと良くなったのか。
痛みも傷も、全部全部押し付けて、さぞかし軽くなったでしょう。空をも飛べる気分でしょう。
君が押し付けた傷で、地面に倒れ込む人がいることも考えずに。
とりとめもない話
とりとめもなく、そこに深い意味も面白いオチもなかったけど、ふとした瞬間に思い出して、懐かしく感じてしまう日が来るのかな。
最近少し……いや、かなりおかしいんだ。
「ちょ、ちょっとお兄、なにジロジロ見てんのっ!? キモいんだけどっ」
風呂上がりでラフな恰好の妹を無意識に目で追っていたら、顔を赤くして怒鳴られてしまう。まあ、当たり前だが、言葉がやけに強い。
つい最近までは俺を慕ってくれていたのだが、今では見る影も無い。
「あ、ご、ごめ……って、み、見てねえよ!!」
素直に謝ったら見ていたことを肯定することになってしまう。実際見てたんだが認めるのは癪だ。
だから、俺も強く言い返してしまった。
「ふ、ふんっ、どうだか、この変態!」
妹は顔を背けてリビングから出ていった。
「アンタたち最近仲悪いねえ」
母さんがため息混じりに苦言を呈するが俺の耳には入ってこない。
最近の俺はかなりおかしい。
一つ下の実の妹がやけに可愛く見えるんだ。家族としてでは無く、異性として。
妹が変わってしまった原因は、俺のそんな変化に勘付いたからだろう。
「どうしちまったんだよ……」
最近では、妹と会話どころか目を合わせてすらいない。
俺は一人頭を抱えた。
◇◇◇
変だ! 絶対に変だ!!
お風呂上がりに部屋に戻った私はベッドの上で足をバタバタさせる。
胸のドキドキを誤魔化すために。
お風呂上がりにリビングでお兄とたまたま目が合った。
すると、不意に無防備な自分の恰好が途端に恥ずかしくなってしまいお兄に怒鳴ってしまった。
お兄は私に反発した。言いがかりも良いところなんだから当然だ。
私はそのまま部屋に戻り、今の状況に至る。
最近の私は変だ。
お兄がカッコよく見える。異性として。
その変化を自覚してからお兄に強く当たるようになってしまった。
「どうしちゃったの、私……」
◇◇◇
ある日、 突然家族会議が開かれた。
母さんと父さんが並んで座り、向かい合うように俺と妹が座る。
珍しく真面目な顔をしている両親に俺と妹にも緊張が走る。
「あなた達ももう高校生になったことだし伝えようと思うの」
最初に母さん口を開く。
「あー、そのな? とりとめもない話なんだがな? お前たち実は血が繋がってないんだ」
続けて父さんが頭をさすりながら言う。
「……は?」
「……え?」
俺と妹の唖然とした声がリビングに響いた。
それからの内容を要約する。
俺が5歳の時、妹が4歳の時に子持ちだった二人は再婚した。
とりあえずこれからも家族仲良く暮らしましょう、とのことだ。
父さんと母さんが二人の時間が必要だと言うことで、二人がリビングから去る。
取り残される俺と妹。
沈黙。静寂の空気が流れていた。
それに反して俺の心臓は激しい音を鳴らしていた。
全身穴という穴から冷や汗が噴き出る。
思考が上手く纏まらない。
お、俺がい、妹のことを可愛いと思っていたのは……っ
ヤッバい!!!
俺は咄嗟に頭を振るう。
一瞬考えてしまった有り得ない妄想を振り払うために。
「な、なあ?」
この空気を変えるために俺は軽い口調で妹に話しかけた。
「……っ、な、なによっ」
妹の肩がビクッと震えるも気丈に睨み返してきた。
何故か妹の顔が赤いが理由は分からないので無視をする。
それよりも、妹と久しぶりに目を合わせたせいか緊張で心臓が更に激しく暴れ回る。
会話の内容を全く考えていなかったため、何も言葉が出ずに見つめ合う。
マズイ! 何がとは言わないがこの雰囲気は非常にマズイ。
俺は無理やり言葉を捻り出す。
「い、いや、きゅ、急に血が繋がってないって言われてもなあ? べ、別にな、何も変わらないよな? あ、あはは……」
乾いた笑みが虚しく木霊する。
「と、当然よ! い、今まで通り私とお兄は兄妹! そ、それ以外何があるの!?」
妹が瞳をグルグルさせて主張する。
「だ、だよな! あ、あははははっ」
「う、うふふふふっ」
気づくな! 気づくな俺! 相手は妹だぞっ!?
お願い、気づかないで私! 相手はお兄よ!?
【とりとめもない話】