彗星

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私は、人を愛すことができないんだと思う。
どうしてかって、うーん。長くなるな
けど簡単には言えないこと。
私って仲良くなった子をすぐに切り捨てたりするし、新しくできた彼にも優しくなんてできなかった。


小学校4年生の頃、仲良くなった女の子がいた。
その子は明るくて優しかったし太陽みたいな子だなあって最初は思ってた。
けど、知っていくうちにどこか儚くて、切ない子だと思った。
悩みとかそういうものを打ち明けたりは決してしなかったけど、幼いながらに私も「ああ、何か抱え込んでるな。この子は。」って思った。
そのくらい、その女の子はいい意味で分かりやすかったしいい意味で大人だった。
私にきっと相談したくなかったんだろうなって。
けど本当は助けて欲しいのかなーって。
でもそれに気づいた頃には、もう遅かった。

彼女は、病院で自殺した。

理由は今でも分からない。
けど、その子の両親から聞いた話では彼女、凛は元々心臓が弱くて病気だったらしい。
そんな中、小学2年生の頃にこっちに転校してきて、慣れない環境と自分の患う病のせいで心のタンクから不安が溢れてしまった。
けどそれを伝える勇気が凛には無かった。
私から見た凛は皆の前では明るくてクラスの中心のように思えた存在だったけど、心の奥底では自由になりたかったんだろうなと今では思う。
昔馬鹿みたいに海の中ではしゃいだとき、凛の表情が凄く眩しかったのを覚えてる。
それは、クラスの真ん中で笑顔で話してるときの凛とは違って。
本当にやりたかったことはあれなんじゃないのかな。
凛が本当にしたかったことってああいうことだったんじゃないのかな。
なんて、今考えても遅いけど。
海で服もびしゃびしゃだし、髪も濡れてたけど、凛が心から笑いかけてくれたのはあの日が最初で最後だった。
凛が病院で自殺をする前の日に、私は凛からのお見舞いの誘いを断った。
今でも覚えてる。まだ小さな携帯に「そっか」と悲しそうに送られてきたメッセージを。
あの日は私の誕生日だった。
仕方ないといえば仕方なかった。
両親からお祝いをされて、ケーキを買いに行くところだった。
幼い私には、病気を患っている友人のお見舞いがどれだけ重要かだなんて分からなかった。
私は、親友より自分を優先した。
さっき仕方ないと言ったけれど、あれは嘘だ。
もし私が彼女のお見舞いに行っていたら?
「今すぐ行く」と送っていたら?
次の日に、凛は自分で自分を傷つけることは無かったかもしれない。
私がもっと凛の存在の大切さに気づいていたら。
凛と出逢ったのがあと少しでも大人だったら。
彼女は、生きる道を選んだかもしれないのに。
私はその後悔でいっぱいになった。
凛の両親からの話なんて、そのときは右から左だった。
凛が死んだ悲しさと悔しさで頭がいっぱいだった。
凛の悩みに気づいていたのに
心の底の気持ちに私だけは気づいてあげれていたのに
どうして私は凛を選ばなかったんだろう。
今考えても、もう遅い。
彼女の火葬は、とっくの昔に終えたのだから。

私はそこから、仲良くなった子をすぐに捨てたり関係を切ったりしてきた。
中学生になって彼氏が出来ても、そのときの恋愛なんて所詮子供の遊び。なんて大人な考えをしてた。
だから、自分から彼に別れを告げたり急に連絡を断ったりした。
高校、大学と生きてきたけど、私の心の中から凛が消えたことは一度もない。
けどその代わり、私は人を愛すということができなくなった。
でもそれって悪いことでも良いことでもない。
だって人はいつか裏切るし、あの時みたいに、急に目の前から居なくなったりする。
だから人を愛してしまったらもう最後なんじゃないかって私は思う。
だけど、人を愛さないこともまた悲痛だったりする。
結局、この話に結論なんてない。
きっと私が死んだとしてもこの話にピリオドがつくことはないと思う。
いつまで経っても、とりとめもない話だ。

12/17/2024, 6:48:27 PM