「君が一番」
「好き」
「一生そばにいて」
「幸せにする」
色々な言葉がありますが、私はこの言葉がきっと1番の愛言葉だ思います。
そしてこの言葉は、全国誰が聞いても必ず分かります。
「愛してる」
隣からふわりと香る甘い匂い
ゴツゴツした細い指
全部好きだった。
声も、話し方も、態度も。
でも私は知ってる。
あなたが来年教師をやめることも
あなたが薬指に指輪を嵌めていることも。
だからこうしてわざと悪い点をとってるの。
放課後教室に二人きりで居れるから。
けどもう、明日からあなたの顔を見ることはできない。
なら別に無理に追いかけたりしない。
「高木待てっ、、」
「……」
カーテンが揺れて二人が影になる。
「全部先生のせいだから」
先生の目を見つめて私は言う。
唇を指で撫でる仕草をしながら私を見つめる先生の姿は、今までで1番悲しそうな顔をしていた。
「先生、待ってるから」
先生の薬指が光った。
「…それ、次は外してきてね」
私は教室を出た。
私が教室から出るまで先生は一度も声をかけなかった。
なんだか少しだけ目の奥が痛む気がした。
君が横切ったとき、ふわりと香ったあの匂い。
君の艶のある髪。
君の綺麗な横顔。
白くて綺麗な手。
それを見るだけで、僕は心躍る。
''ココロオドル''
生きてるうちにしかカレンダーはめくれない。
"カレンダー"
「……」
ザーッ__
塩水が波寄る音の背景に、打ち上げ花火の音が騒ぎ立てる。
〈だいぶでかいのが上がったな笑〉
〈花火綺麗ー!〉
〈見て!あれ星形になってる!〉
遠くから人の声が聞こえる。
『現在、4年振りの打ち上げ花火がこの海に打ち上げられました。皆さん、花火をどうぞ思いきり楽しんでいってください。』
嬉しそうな女性のアナウンスが響き渡る。
海の波紋が壮大に広がる。
「海…」
久しぶりにタンスの奥から出した浴衣と、綺麗に整えた髪型を満足気に見る。
「無駄にしちゃうな、」
海へと足を踏み入れていく。
『間もなく、スターマインです』__
騒がしいはずの外野の音が、私には聞こえなかった。
目に広がる景色は海の中の澄んだ青色。
手を伸ばしても、月は掴めなかった。
海の中から泡が吹き出していく。
私は、そっと目を閉じた。
瞼の裏には見てもいない打ち上げ花火が浮かんできた。
夜凪だった。
音が遠くなって、次第に意識も遠のいていく。
今目を開けるべきじゃないことはわかっていた。
「(浴衣…溺れずらい。)」
『△✕街、夜の海の打ち上げ花火を終了致します』
"夜の海"