『とりとめもない話』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『とりとめもない話』
とりとめのない話をするのが、ひたすら楽しかった。
普通の人に言ったら、引かれるだろう。
他人に言えば、見下されるだろう
建設的な意見を交わす
将来のために必要な話をする
そんな高尚な会話よりも。
しょーもない話をするのが、生きる楽しみだった。
毎日の喜びだった。
…もう、あの頃の幼さは戻ってこない
もう、あの日は戻ってこない。
17
「おかえりなさい、今日もお仕事お疲れ様でした。翔珸(ひゅうご)達には先に休んで貰いました。今朝も早かったですから」
八雲翠(やくも すい)は普段と変わらず柔らかな声でそう言いながら夫を出迎えた。
「ただいま。遅くなってすまなかったな」
申し訳なさ気に八雲弦狼(やくも げんろう)がそう言うと、翠は穏やかな笑みを浮かべ「いいえ」と首を振った。
「毎月この頃はいつも大変ですものね。本当に遅くまでお疲れ様でございました―――ご飯は獅子戸(ししど)さんと東城(とうじょう)さんと食べていらしたのですよね」
「いや、獅子戸だけだ。東城はツレと約束があったようでな」
退勤後、凄まじい速さで帰っていった東城を見送った後、八雲は獅子戸を連れ行きつけの和食屋へと赴いた。
その後、電車に乗り帰宅の途に着いた獅子戸と別れ、八雲は家まで歩いて帰ってきたのである。
「東城さんのツレ……四ノ宮くんですね。本当に仲睦まじい」
「そうだな―――でも負けてないだろう?」
弦狼はそう言って妻の頭を撫でる。
翠はくすぐったそうに照れた笑いを見せた。
弦狼と翠は一回り以上離れている。
念願叶って二人が婚姻出来たのはつい五年程前の事であるが、この数年で二人の環境は其々とてつもなく大きく変わった為、まさに激動の年月を過ごしたといえる。
その間、二人は互いに相手をよく支えていた。
「―――でも本当に意外ですわ。あの四ノ宮くんがまさか誰かと付き合って同棲しているなんて―――」
翠は顎に手を当て眉間に皺を寄せながら訝しげにそう言った。
「確かに意外ではあるな…」
弦狼は上着を脱ぎながら、以前ちらりと見た四ノ宮七星(しのみや ななせ)を思い出す。
木蘭の髪、氷の如き冷たい翡翠の眼。どこか中性的な美しい顔立ち。
あのような者は己も周りも相当な苦労があるだろう、と当時思ったものだ。
「四ノ宮七星が翠のところで働いておった時は、とても誰かと付き合うようなタイプには見えなかった―――しかも言ってはアレだが、あのような正反対のタイプと…」
弦狼の頭の中に東城翔(とうじょう かける)がドン、と浮かぶ。
とにかく威勢が良い、ガタイが良い、元気の塊、自信の擬人化。
勿論かなりの良い奴であって、人に優しく、自ら進んで人を助けに行くような奴である。それでいて、つい本人の勢いで忘れそうになるのだが、黙っていればかなりの色男である。漆黒の髪に煤竹色の瞳。男らしいはっきりとした顔立ちで、目は切れ長で色気がある。
(…尤も、以前の奴はあんな風ではなかったがな。環境が奴を変えたか、それとも―――)
弦狼の眼がスッと細まる。
鼻を覆っても溢れ出す血の匂い。
幾重にも重なる、空気を切り裂く断末魔。
最期の瞬間、こちらを視るあの眼―――
「―――旦那様」
腕に温かな感覚がして弦狼はハッと我に返った。
すぐ横で翠が腕に縋り付き、心配そうにこちらを見ている。
「大丈夫でございますか…?」
弦狼はゆっくりの微笑みながら翠の頬を撫でた。
「すまぬな―――大丈夫だ。少し、昔の事を思い出しただけだからな」
「旦那様―――」
あの頃に比べれば、今の日々の何と穏やかな事か。
このように己を慕ってくれる妻と、こうしてとりとめのない話をして、穏やかな時間を共有して。
(―――そうだ。あれはもう過去の話だ。儂も東城も獅子戸も、光の中で生きていける)
弦狼は瞼を閉じると、妻の額にそっと口付けをした。
外では、雪の音が静かに夜を覆っている。
私は彼に毎日、もしも〇〇したらどうする?って聞く。
無口な彼は話の話題を作るのが苦手だから。
いつの日か私たちの日課になっている。
今日は少し怖い質問をしてみた。
私 「ねー。もしも私が犯罪を犯したらどうする?」
彼 「えー犯罪にもよるよね。」
私 「殺人‼︎しないけどさ笑笑」
彼 「理由にも寄るかも!」
私 「まー正当防衛なら仕方ない場合もあるよね!笑」
彼 「そうそう!笑 でもな〜刑務所行ったら流石に別れるかも」
私 「だよね〜苦笑」
なんで聞いたんだろう。どんな理由であれ、別れるって言われた事が悲しい。
絶対離れないって保証なんてないんだなー。
殺人なんてそんなことしないけどさ、
そんなとりとめもない会話で少し傷ついたりする。
でも、私はまた聞いてしまう。
私 「ねー!じゃあ今度は〇〇だったら〜笑」
彼 「ほんとそれ好きだよね〜笑」
「あなた、あのバラエティ番組、毎週録画に設定してたでし
ょ」
私はひとつ息を着き、視線を窓から横になっている貴方の隣に移し、また言葉を続ける。
「まったく、見ないのに溜まる一方なんだから。この前なん
てね、容量不足で私が予約したドラマ、撮れてなかったの
よ?」
「……ごめん」
「まあ、いいんだけど。…ねえ見て、さっき花屋で買ってき
たの」
そう言って私は肩にかけた鞄から、パッケージに色とりどりの花々と「チューリップ」の文字がプリントされた袋を取りだし、あなたの目の前に持っていく。
「じゃーん、チューリップの球根!十二月中旬までに植えれ
ば、春には咲いてくれるって。明日にでも植えようと思って
るの」
「……そっか、良いね、ところでさ、」
「そう楽しみなの!そう言えば卵焼き器も買たのよ!あなた
も良いねって言ってたし、私も欲しかったから。年末セー
ルで安くなってたのよね」
「良かったね、それでさ、」
「そうでしょ! あ! あと私ランニングシューズも買っちゃっ
た!あなたと一緒にランニングしたいなって思ってね」
「そうだね、それで」
「今は寒いからヤだけど春になったら暖かくなったらあの小
学校の前とかいっしょに走ったらきっと桜が満開で綺──
「なあ!!!!!!」
突然怒鳴られ、思わず大きく肩が跳ねる。鼓動の打つ音だけが部屋に響く。
「……ごめん、大声出して」
重い静寂を破りあなたがポツリと呟く。私が返事をするより先に、あなたはその先の言葉を継ぐ。
「その番組予約、解除していいよ」
「え」
「俺の弁当箱棄てていいよ、
俺の箸も棄てていいよ、
俺の本も売っていいよ、
俺のポスターも剥がしていいよ、
俺のダンベルも棄てていいよ、
俺の布団も棄てていいよ、
…………あとさ、俺の靴、それと服も棄てていいよ」
五臓六腑を掴まれたような感覚に陥る。私はやっとの思いで息をする。喉が、舌が、乾涸びて上手く喋れない。
「…………ゃ……やだ、やだよ」
「なあ…お願いだから現実を見てくれ。
俺はこの冬でお終いなんだよ」
言葉も水分も失った口とは裏腹に、瞳から零れた滴が白い寝具に灰色の斑を作る。
「俺が居なくても、お前は大丈夫だよ」
その時、私は初めて顔を上げてあなたの方を見た。病室のベッドに横たわり、その腕には点滴の針が刺さっている。あなたの頬の痩けた顔は、そのシーツの白より真白だった。あなたは弱々しく口角を上げてみせる。その今にも消えてしまいそうな笑顔に、私の瞳孔は縫い付けられた。その笑顔に心は慰められるどころか、目を細めてとめどない落涙を抑えることすら出来なくなった。
「そう言えば、家の借り換えの手続きは済んだ? 俺名義だっ
たよね。あと親には財産分与がお前にも行くように連絡し
たから、安心して。あのミニバンは折半で買った事も言っ
たよ。ああ、あと友人への訃報は……」
泣きじゃくる私に、あなたは延々とこの先の大切な必要な事を話し続ける。
嫌だった。あなたの欠けた生活など考えたくもない。今も私達の家の中であなたの痕跡を探し続けているのに。何かに出会う度に、これをあなたと話そうと、意識せずとも考えてしまうのに。私達は何となく他愛のない会話を重ねながら、これからも季節の移ろいを見守っていくのだと信じていた。あなたとなら特別な物語でなくたって良かった。あの日常が恋しくてたまらなかった。溢れる嗚咽を必死に堪えながら話しかける。
「……ね、ねぇ」
「なに?」
「いつもみたいに、何気ない、話が、したい」
あなたは少し困った顔をして、暫し目を伏せ考える。そしてこちらに向き直り、少し首を傾げてみせた。
「今日は晴れだから、 日差しが暖かくて……良い日だね?」
ねえ、それじゃまるで初対面の話がない時の台詞じゃないの。あともう年末だよ、外は天気が良くても凄く寒いんだよ。もっと別の話が──でもそれは、言葉に出来なかった。この病室に日常なんて物は訪れない、くすんだ天井を見上げて日々をやり過ごすあなたには、何気ない事すら存在し無いのだ。
黙り切った空間で、私の嗚咽と遠くで鳴る夕方のチャイムが不響和音を奏でている。
私達がとりとめもない話をする時期は、もうとっくに過ぎ去ってしまったらしい。
【⠀とりとめもない話 】
他にもっと話したいことあったのに
また今日もどうでもいい話
楽しいけど とりとめない話
#とりとめもない話
「とりとめもない話なんだけどさ」
「うん」
「あたし、実はあんたのこと好きなのよね」
「ふーん。で、それが?」
「とりとめもない話って言ったでしょ。オチはない」
「たしかにね」
「うん」
「ところで、俺もおまえのこと嫌いじゃないんだよね」
「それはまたとりとめもない話ね」
「うん」
「うん」
「ねぇ-賢ちゃん?ここの問題教えてー」
幼稚園、、?いや性格に言えば保育園から一緒なのかも知れない。彼は昔、とても体が弱かった。
母の友人の子供で、同い年、、、ということもあり、よくお見舞いなどに行って一緒に遊んだことが数えきれないほどある。遊びと言っても、ほとんど口喧嘩ばかりであり、決まって毎回怒られるのは、私であった
また幼馴染みのせいか、彼のあだ名にはきまってちゃんが着いていた
「ねぇ、聞いてるの?」
私は、そっと彼のベットにたちよる。
「他の人から習えばいいのに、、僕よりもっとわかりやすく教えてくれるはずだろぉ?、」
彼はそっと息を吐く
「いいの!.、賢ちゃんの方が断然わかりやすいから」
彼はため息をつく
「だから、クラスから嫌われるんゃ無いか?」
「うるさい」
そんな言葉をかわしては、二人でとりとめの無い話をたくさんした
今日の給食はなんだの?
あの先生はかっこいいだの可愛いだの
だからといって、特別な話しと言うわけではない
もちろん誰かにとって利益をもたらす訳でもない
ただ何かに逆らって、一生懸命に
「賢ちゃん、賢ちゃん」
「ねぇ、お願い、起きてよ」
空気が硬直するような音が聞こえた
何かが張り裂けそうな気がした
ただ何かが上下する
ずっとずっと怖かった
ただそれだけが怖かった、
おひるやすみ
私はクリニックで働いています。クリニックは午後の診察まで時間があるのでお昼休憩が2~3時間あります。だから、みんな休憩になるとおうちに帰ってしまいます。私は家が遠いので職場の休憩室で休憩します。
今日も休憩室にはわたし1人。みんなを見送ったら私の自由時間が始まります。
まず近くのコンビニへ行って食後のおやつを調達します。今日はちょっとお腹もすいたのでホットスナックも食べちゃいましょう。
そして休憩室へ戻ったら、速やかにティファールでお湯を沸かします。その間にお弁当もチンして、自由時間を少しも無駄にはしません。
そして待ちに待ったランチタイム!ほかほかお弁当はやっぱりおいしい。汁物が欲しくなったので沸かしていたお湯で小さなラーメンを食べちゃいます。誰かが居たらこんな不摂生な食べ方はしませんが、誰の目もありませんから好き勝手やっちゃいます。欲望のままに食べたら、食後にと思って買ったプリンが食べられませんでした。夜の楽しみにとっておきます。
お腹がいっぱいになったら眠くなってきました。朝も早いので眠くて眠くて仕方ありません。誰もいないので、休憩室の絨毯の上に寝っ転がって、YouTubeを聞き流しながら寝ちゃいます。まるでおうちです。もちろんアラームも忘れずセット。誰かが早く戻ってくるかもしれないという緊張感のもと眠りにつきます。
そしてアラームで目覚めます。今日はよく眠れました。誰にも見つからずに、自分時間満喫のミッションクリアです。みなさんぽつぽつと戻ってこられました。さぁ午後の診療もがんばりましょう。
【とりとめもない話】
「おはよう。」
『おはよう。昨日さ、駅前で先輩見たよ。』
「え、駅前で?」
『うん。』
「何か用事でもあったのかな?」
『どうなんだろうね。』
「あれ?先輩とは話さなかったのかい?」
『いや、会話はしたよ。最近どう?って。』
「それで?」
『それでって言われても…。気を付けて帰れよ、としか。』
「え〜、それだけ?」
『そりゃ、いちいち詮索なんかしないし。』
「あぁ。君はそういうやつだったね。」
『そうだよ。』
「じゃあ、僕にこの話をしたのも…。」
『暇だったから。』
「だよね〜。」
『あと、今度演奏会あるから、みんなで聴きに来いって。』
「用件それじゃないか!」
ただ、話がしたい。
結論なんてない、おしゃべりを。
君を永遠とするために。
┊︎とりとめもない話┊︎
『とりとめもない話』
あなたにはどうでもいいんだろうけど、
私にはかけがえのない宝物なんだよなぁ。
とりとめもない話_75
ただ貴方と居る時間が欲しくて
それでもやっぱり
遠くから見てるだけで満足がいってしまうの。
それでもいつか
とりとめのない話を
都合よくし合える仲にまで近づけたなら
きっと
世界の見え方は変わるのだろうね。
実は今日、もう誰を信じたらいいのか分からなくなっちゃったんだよねって話。
好きなものを同じ熱量で好きな子じゃないと、好きなものって話題は難しい。好きって執着だ。好きになることも好きなものも好きで居続けるのならなおさら。執着が強いから、人と好きなものの中でもとびきり一番が話せない。悲しいけど、これは私が小さい頃集めたハートの指輪キラキラのセボンスター、貝殻なんかと同じくらい内緒の宝物なんだと思う。
とりとめもない話
滑舌が悪すぎて聞こえない、とりとめ用がない、
くぁw背drftgyふじこlp;@:「」
(↑滑舌が悪い友達のセリフ)
まじかーと適当に合図値を打つ…これで4年間友達
「やば、めっちゃ暗くなってきよる。」
「ほんとやん、そろそろ帰らんと。」
学校からの帰り道、なんとなく家に帰りたくなくて、まだ話がしたくて立ち止まった分岐路。
とりとめもない話は尽きることなく、楽しい時間はあっという間に過ぎてしまった。
日が傾いているのはなんとなく気がついていたけれど、今日の区切りをつけたのはアナタだった。
「帰ってからすぐ宿題せんといかん。けどしたくないー。」
「分かる!分からんかったら、連絡しても良い?」
「良いよ!寧ろ教えて!」
少し名残惜しい気持ちを抱いて、最後の話を口にした。
「じゃあね。また明日!」
「じゃねー!」
明日も同じような帰り道になるのだろうけれど、もしかしたら違うのかもしれない。それでもまた明日、あなたと話が出来ると良い。
2024.12.18「とりとめもない話」
『とりとめもない話』
「そういえば、今年の箱根駅伝に母校が出るんです。それで最近はしょっちゅうSNSを見てしまって、順位予想とか区間予想とかいろいろ調べてしまうんです。選手の子たち、2003年生まれとかでびっくりしてしまいますよね。もうずいぶん年下の子が大学生なんですね。当たり前なんですが。私はもう社会人になって5年経つらしいです。でも未だにミスが多いし、集中力は続かないし、まだ全然新人のつもりで仕事をしてしまいます。来年こそは意識を入れ替えたいものです。
なんだかすごく喋ってしまってごめんなさい。私の話を聞いてくれてどうもありがとう」
『とりとめもない話』
「なぁ昨日の試合見たか?伊藤完全試合だって?」
登校中友人とそんなとりとめもない話をする。
これだけを見ればなんて事のない日常だと思うだろう。だがそうではない。これは何十回目かの出来事なのだ。朝起きたら昨日と同じ日付、昨日と同じ出来事が繰り返される。幾度となく。当然このループから抜け出せないか俺も色々試してみた。だが無理だった。
どんな行動を取ったとしても、学校に行かなかったとしても結局ループが起こる。友人との会話も同じ内容ばかり。もはや恐怖を覚える。とりとめもない話などもうこの世界には存在しないのだ。
とりとめもない話
あのね、今日もあいつが私にさぁ…開口一番、何時もの様に、君の他愛ない話が始まる…途切れる事なく、何処迄も続く君のお喋りに、ただ相槌をして、時々一言二言返すだけ…
そんな、何気ない君との日常が、何よりも愛おしい…この、どうでもいい話(って言うのは言えないけれど…)が、毎日繰り返し続いても…
あの、あどけない話、みたいな、この感じが…いい
【とりとめのない話】
目的も、結論もなく
どこへもたどり着かない会話
このまま君と揺蕩っていきたい