『ところにより雨』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
基本的に晴れ
時には曇り
やがて
雨になるでしょう
ジメジメとした空気たちは
空へと舞い
次は
綺麗な青空が
見えることでしょう
#55 ところにより雨
「ところにより雨」
小さい頃雨が降ることも、雨の匂いも好きだった。
水たまり。掬う傘。折れる傘。泣く母。
何個も傘壊してごめんね!
"ところにより雨"
「そろそろ行くか」
時計を見てそう呟くと、立ち上がってジャンパーを羽織り、丁寧に折り畳んだマイバッグを手に取ってジャンパーのポケットに入れる。
スマホを操作して、天気予報アプリを開いて夕方の天気を見る。
【曇りところにより雨】という文字が躍っていた。
──折り畳み持っていくか。けど今吹いてる風じゃあ、耐えきれずに裏返りそう。けれど普通の傘を持っていって雨が降らなかったら、帰る時嵩張る。
どうするか悩み、机の下を覗き込んで水を飲んでいるハナを見る。
水を入れた皿から離すと前足を片方上げて丁寧に舐め、その前足で顔を拭き始める。
──普通の傘にしよ。
扉の傍に立て掛けていた傘を手に取って「行ってくる」とハナに告げて部屋を出た。
今日は日本全国で心地の良い晴れになるでしょう。
心地の良い晴れって、言ってたよね。そっちはどう??びしょびしょなんだけど。
それな。こっちも雨。日本の、ところどころが雨になってるみたいだよ。
へぇ、それは不思議だね。
昨日は天気予報が外れてしまいましたね。まぁ、天気予報も百発百中ではないから、皆さんで対策してくださいね。
もっとツッコむ所あるよね、天気予報士の人。だって普通に考えて、23区内で降ってる所がバラけてたんだもん。
それはそうだけどね。自立したほうがいいんじゃない??
え??
ところにより雨
雨は好きだ。嫌な外体育は無くなるし、雨の匂いは落ち着く。傘をさすのも、ザーザーという音も好き。
雨の日は私のラッキーデーだ。
「あっ明日の予報、ところにより雨だってさ。」
「まじでー?やったぁ!」
夕食後。ソファに座る弟の隣に腰を下ろし、一緒に天気予報を見る。
「朝から降るじゃん。ラッキー!これでプールの授業無くなるわー」
「ねぇちゃんって、ほんと雨好きだよね〜。」
ガッツポーズをする私を弟は冷めた目でみる。弟よ、姉をそんな目で見るでない。
「僕さ前々から思ってたけど、この"ところにより雨"ってよくわかんなくない?」
「そぉ?別に普通じゃない??」
「ううん。わかんないよ。それで、ぼく調べたんだけどさ」
ぐっ、と弟は深刻な顔をして黙る。
「な。なによ、、」
「それがね、、 よくわかんなかった」
「………はぁ?」
さっきまでの表情は何処へやら。弟はへらへらといつものように笑っている。全く。私の弟はいつも大雑把というか、呑気というか、、呆れて思わずため息が漏れた。
そのことを次の日。学校で親友に話すと、親友もけらけらと笑った。
「そこが弟くんのいいとこじゃん。意味なんかわかんなくたって、大体伝わればいいんだよ。そんなきっちりする必要もないし。」
「えー、そういうもん?」
「そういうもん!」
変なの。窓の外では、雨が降りグラウンドに水溜りを作っていた。
今日はところにより雨
ところにより雨
私の心のようだ‥‥
いつも晴れてるわけでもない
1日の中で
ところにより雨になる
そんな日がなければいいのにな
「雨が降ればいいのに」
雲ひとつない青空の下、拗ねたように彼女がそう言った。意図がわからずはあ、と曖昧に返せば、彼女はきゅと控えめに俺の指先を握る。
「だって、それなら堂々とくっつけるもの」
"ところにより雨"
誰かの一日は、まるで天気の様だ。
だって、そうでしょう?
誰かの一日が、笑顔で溢れていたとしても
誰かの一日は、涙で溢れているかもしれないから。
---二作目---
外の空は綺麗な快晴。
心の空は雨模様。
そんな時、君が傘を差し出して、優しく寄り添ってくれたんだ。
#ところにより雨
250作目
ところにより雨
あなたの心の中は
ずっと晴天みたいなんだろうな
でも、時々雨雲が垣間見える
暗い暗い灰色の雲が
それでも、あなたは
それを悟られないように必死に隠してる
偽りの笑顔を作って
耐えられない時は
泣いてもいいんだよ
雨が降らないと植物が枯れてしまうように
あなたも、たまには泣かないとやってられないよ
大丈夫、あなたの心の中に太陽がなくなってしまったら
私があなたを照らす光になるから
雨がちらつき始めた。
バッグを頭にかざし小走りになる。
信号待ちの間、街路樹の下で雨宿りをする。
枝にはムクドリが羽を濡らして寒そうにしていた。
大丈夫かなムクドリさん。
後で虹が現れたらいいね。
ムクドリの目には虹が14色に映るという。
それは素敵な雨上がりの光景だろうね。
早く雨上がるといいね。
題「ところにより雨」
ところにより雨
澄んだ声で朗らかに話すキャスターの決まり文句のひとつがこれ
「ところ」ってどこかわからないですよね?
それが私にはわかるんですよ
答えは、私が行く場所
何故かいつも雨が降るんです(止んでても降る)
だから、
「オールド ファッショニスタさんの行くところ雨」
にした方がいいと思います
当然、「何者?」「知らんがな」といったクレームが殺到するでしょうが、そんなのこちらも「知らんがな」なのです(はい、性格悪い)
と、これを書いている今もしとしと降っております
いいんです
隠キャだから、こういうジメッとした日が似合うんです(自虐ではなく事実です、怖いですね)
陽キャの方々残念でしたー
隠キャ性格悪end
心には予報も何もないけれど
降らない日はない
止まない日もない
/お題「ところにより雨」より
ところにより雨
『〜〜県は、ところにより雨となるでしょう。折りたたみ傘などを準備しておくとよいですね。』
う〜ん。折りたたみ傘を持っていくべきだろうか。カーテンの隙間から外を見ると太陽が堂々と仁王立ちしている。湿気のしの字もないようなカラッとした空気を感じて、『ところ』がここではないと確信した。
用を済ませて帰る頃には、ドヤ顔の太陽も俺に恐れ慄いたのか姿を隠していた。気温は下がったものの、相変わらず雲ひとつない空であった。
「この辺りにするか……。」
隣を歩いていた中肉中背といった感じの男が突然歩みを止めた。そして指先を天に向け始めた。
……サーーー
雨!?俺の真上、いや男の真上に突然雲が集結しだし、紛れもない雨が俺の髪を洗う。
「お、おい!何してんだよ!」
よくわからないまま、そいつの肩を掴んでしまった。
「ふっ。バレちまったかっ。」
「そうゆうのいいから!止めろよこの雨!」
そいつ曰く、天気予報の信用性を上げるために降らせているのだとか。
「もっと他のことに生かせよ。」
「晴らすなら使えるけど、雨降らす能力なんてどう使えばいいんすか……。」
そいつなりに悩んでいるようだった。
「俺の実家さ、農家なんだけど、去年の夏雨降んなくて育たなくて大赤字よ。」
「はっ!そこに降らせばいいのかっ!あざっす!」
「教えたからこの雨止めてよ。」
「ええ〜それはないっすよ……。」
突然の雨も悪くないなと思った。
人生って言うものは
色々な気持ちがあるよね
時によっては...
...いや、言い換えれば
「ところにより雨」
だったりするよね。
心に雨がふっていても
晴れが勝てば
いい気持ちになるよね。
だから
雨が降るような事を考えたり
するより、晴れになるような
事を考えた方がお得じゃない?
毎日 明るい気持ちで
生きていこうね!
「ところにより雨」
進学する子のお供で
20年ぶり東京に来たら、3月も終盤なのに
寒くて冬のコートが手放せない。
借りた部屋では、エアコン点けて
暖かく過した。
せっかくだから東京見物したいと
子供と2人で中目黒川沿いの桜見物に出た。
日曜日、まだ桜は咲いてないのに
人混みが凄い。
さすが都会だ。
田舎に住んでいると何処にでも植物が
あって、あちこちに花も咲いて当たり前
なのだけど、ここは、ビル群が立ち並び
ビルの谷間に桜の木が川沿いに長く
植えられている。
おしゃれなお店が桜並木道に沿って立ち並び
植物さえも人間の手でアレンジされている気がして
悲しい感じがした。
目黒川に鴨のような鳥がすいすい泳いで
都会も懸命に生きる生命がちゃんといると
思ったらほっとした。
何気に見上げたら、桜が1輪咲いているのを
見つけた。
どんな環境でも花は咲く。
これからこの殺伐とした町で生きる子を
心配してたけど、きっと逞しく生きて行く。
都会も悪くない。
住めば都というではないか。
2人で帰りの電車から降りたら、シトシトと
雨が振り出した。
恵みの雨。
植物に優しい慈雨だ。
数日すればこのビルに囲まれた砂漠も
桜が満開になる。
帰り道、雨なのに心は、晴れやかな
気持ちだった。
【ところにより雨】
心をひとつの
地球(ほし)だとすれば
ある部分が雨降りでも
別のある部分は、きっと晴れてる
ところにより雨。
ところにより晴れ。
さあ。晴れた部分を、探そ。
在宅業務に移ってから
つくづく見えない不思議を感じる
今日は天気がいいですね
いえ、こちらは雨でして
お互いどこに住んでいるのだろうと思う
プライベートの話題がし辛い世の中だが
明らかに距離があるのだろうなと
私は〇〇県△△に住んでいるのですが
あれ、私も〇〇県△△なんですよ
同じ場所にいるよりも
ひとりひとりの生活が
確かに在るのだと
なんだか嬉しくなっている
「ところにより雨」
ところにより雨
賑わう街
去りゆく背中
取り残された 僕
ところにより雨それはいつも私の行く場所だ
でも、雨だから今日は自宅でそこに行く夢を見るとします
ところにより雨
※こちらはフィクションです。
おかしいな……
今日は一日晴れだったよな?
自宅から出る時に嫁の声を聞き
電車に揺られ、駅を出て
会社で仕事をしてたはずだ
なんで顔が濡れているんだ?
なぁ?どうしてだと思う?
早苗……
営業中に会社から電話があって
「おい!宮田!奥さんが車に轢かれたって!
急いで○○病院へ向かえ!」
俺は営業で使う資料を放り投げて
タクシーを捕まえて病院へ向かった。
「み、宮田 早苗という女性が運ばれてきたと思うのですが病室は何処ですか!」
病院であるのに叫びながら受付の女性に聞いた
教えてもらった病室に着いた時には
身体中ホースだらけの嫁……早苗の姿があった。
脈が浅く、もう長くないと後ろから先生に言われた
「なぁ、早苗……今日晴れなのに
俺の顔が水でべちゃべちゃだよ」
早苗の手を握りながら俺は聞いた
「今日は……"ところにより雨"って……天気予報で言ってたから……傘渡すの忘れてたわね」
苦しそうな顔をしながら早苗が答える
「まだ天気が良いわね……、またもう少しお出かけしてくるわ」
「何処に行くか聞いても良いか?」
「少し……、遠いところよ」
「そっか…暫くしたら俺も着いていくよ」
「直ぐはダメよ?…アナタにはやるべき事を終わらせてから来るのよ?」
「ははっ、分かってるよ」
「じゃあ、いってきます…」
心電図から警告音が激しい音とともに鳴り響く
俺の顔はくしゃくしゃになりながら
目から零れ落ちる雫がぽたぽたと落ちる
「早苗こそ、さっき話してたのに傘忘れてないだろうな
次会うときに、傘渡さないとな」
病室から出された俺は、晴れた空を滲んだ瞳で仰いだ
「雨、止まないな…」