『ところにより雨』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
日本列島は細長い。
あるところでは、満開近い桜を散らす花散らしの雨。
あるところでは、まだ桜も咲かず快晴。
花に嵐のたとえもあるぞ。
桜前線。
ところにより雨。
ところにより雨ということは
ところにより雨ではないということ
心も晴れている時もあれば、ブルーな時もある。
いつかは晴れるのだから、落ち込まずに
自分だけの人生を謳歌しよう。
雨の振り次ぐ中で、雑踏の中で目を見開いてもたいした痛みは伴わなかった
水くさい匂いに塗れたとき、まぶしい夏が胸のそばに今さら溢れかえり、ふと我に返った
君の好意を受け止めきれないことただそれがわたしの背負う罪で汚点で痛みだった
「ところにより雨」
そんなニュースが流れる
「気にすることないぜ」
そう。苦笑いする彼
「そ、そうだよね」
私も苦笑いをする
私たちは
この人の感情なのだから
ところにより雨
もし、雨が''飴''になって、降ってきたら
楽しいなぁと考えたことがある。
雨嫌いな子を減らせるんじゃないかって……
でも傘をさして、貫通し
飴に当たり怪我をする人が多いそうから辞めた笑
悲しみの
雨で
濡れないよう
いつも
いつも
私のいる場所には
守ってくれる
貴方の傘が..
でもね
たまには
私も
貴方の
傘になりたいの
大切な
貴方の傘に
言葉は届いたのだろうか
届かなかったのだろうか
想いはこめた言葉だった
答えはわからず
幸せであれ
君の今居る場所はどんな天気だろうか。
晴れてるだろうか、雨が降っているだろうか、それとも
曇っているだろうか。
風は強いだろうか、逆に吹いていないのだろうか。
乾燥しているだろうか、それとも湿ってじめじめしているだろうか。
暖かいだろうか、涼しいだろうか。
僕は君が今どんな環境を生きているのか想像するのが
楽しくて仕方ない。君の生きる世界を想像するのが凄く
楽しくて、それと同時に君の隣に立っている僕を想像してみたくもなる。
僕が今立っているこの場所は雨が降っている、湿った風が吹いていて蒸し暑い。正直最悪だと思う。
でも、君の立っている場所は晴れていて、風もなく涼しいかもしれない。というかそうであって欲しい。
「所により雨」って言葉。
雨が降ってるのは極わずかな範囲。
きっと君の所は晴れていて僕の所は雨が降ってる。
僕はその"極わずか"を引き当ててしまったのかもね。
天気に例えたけどさ。心配事が起きるのって"極わずか"な確率なんだ。君が心配してる事の殆どは起きない。
だからどうか、胸を張って堂々と挑戦しておいで。
きっと待ってるのは青空で、もし雨空だったら
「ついてないなー」で済ませれば良いから。
『何かに挑戦する貴方に1点の雲のない空が
広がっていますように』
-とある少年の独白-
ところにより雨
夢が見つかって
尊敬する人に出会えて
眩しいくらいの晴れ
でも
私にはカリッと欠けた部分がある
心に雲がかかる
雨がぽたぽたと
間を滲んで
入ってくる
ところにより雨
―ところにより雨―
「…
午前中は曇りの地域が多いですが、
午後はところにより雨の見込みです。
最高気温は先週と比べ低い地域が…」
と、指示棒を手にした天気予報士は
淡々と予報を告げていく
ところにより雨
結局その日は何も降らなかった
遠い空を見渡しても
雨雲なんて見えなかったが…
ところにより雨
こころにより雨
雨模様なのは、私の心か
本日、晴天。舞い散るは花、降るは淡色。
遠のく背中、君の振る袖。
狐も続いて後を追う。頬を伝うは温い夢。
飽く晴天の空、ところにより雨。
ーところにより雨ー
最近、すっかり暖かい。
冬が溶けて、春が咲いていく。その、狭間の季節だ。
今日は晴天。通りがかりの公園で、ちいさな子どもたちが遊んでいる。
あちらでは、白い犬とその飼い主らしき人が、のんびりと散歩をしている。
穏やかな午後の昼下がり。
青空を見上げて目を眇める私の頭上にだけ、雨雲がある。
つい昨日までの六年間、ずっとずっと好きだったのにと、心の中に雨が降る。
『ところにより雨』
2週間ぶりに先生に会えた マスクしない笑顔がなんだか新鮮だったな
帰りに手を振ったら振り返してくれてあーもうこれで前に進まないとなって思えた
先生へ 少しでもいい 新しい環境になっても思い出してくれたら嬉しいです またね
国境の長いトンネルを抜けると外は豪雨であった。
川端康成よろしく雪国であった方が風情はあるが、実際の利便でいえば、まあ雨の方がよろしい。
列車が駅に到着する頃にも雨は続いており、駅舎の出口に人がたまっていて難儀した。
「こら、雨雲さんが誰かを追いかけとるわ」
「雨雲さん、どなたかお探しじゃのう。はよう見つかるとええが」
地元の人らしい爺さん方がカラカラ笑いながら言い合っている。
尋ねると、雨雲さんとよばれる神社があって、ちゃんとした名前は覚えていないが龍神様が祭られている。雨雲さんは土地にやってきた人間に気にいらんものがいると、神社にお参りにやってくるまで通り雨を降らすのだという。
お参りに行った途端に雨がやんだら、その人間が雨雲さんが気にいらんもの、ということになるらしい。
「気にいらんのに参拝せねばならんのですか」
「そらキミ、いっぺん顔見せい!挨拶しに来たら勘弁したるわってことやろ。温情、温情」
「罰が当たるわけでもなし、お客さんにはみんなお参り、行って貰わな困るわ!」
天候と反対に陽気な様子でカラカラ笑って、爺さんたちは慣れた様子で駅舎を出ていった。
話が本当なのかは自分にはとんとわからないが、宿に荷物を置いたあと件の神社にお参りすると、参道に入った途端に雨はスンとやんで空はカラッと晴れ渡った。
なるほど、温情、温情。
ところにより雨
朝────
私はテレビをつけ天気予報を見た。
"今日は、ところにより雨が降るでしょう。"
天気予報士がそう言っている。
その言葉を聞き、
別に大丈夫だろう。傘は要らないだろうと⋯
そう思った自分を後悔する時が来るのだろうか──。
桜が咲き、たくさんの出会いと別れがあり、誰もが嬉しがり、そして悲しむ。あぁこれが世にいう。心のところに雨なんだね。
村があった。
村は人が寄り付かぬような山の奥深くにあり、村人は細々と生計を立てて暮らしていた。実り豊かな土地であったが、そんな村にも近年頭を抱えている問題があった。
水害だ。
水害の被害は家屋や田畑、人にまで及び、多くのものが流され、大切なものを失った。
村を取りまとめる長は、このままにはしておけぬと集会にみなを呼び集めた。
「供物を納めねばならん」
白羽の矢が立ったのは年端も行かない6つの子どもだ。
少女は場のものものしい雰囲気に怯え、母親の背に隠れるようにして大人達の顔を伺い見ている。
「おお、文代さんのとこの子か。ほんにめんこいのう」
「可愛らしいおなごの子じゃ、龍神様も喜んでくれるぞ」
龍神様は健康で汚れない心を持った人間を好む。
だから選ばれたのだと口々に言う。
しかし誰もがそれは表向きの理由である事を知っていた。
実際は、他村から移り住んできた、いわばこの親子二人が「余所者」であるからだ。母親は、自分達が周囲にとけ込めず部外者のような扱いを受けていたのは百も承知の上で――、言えなかった。
娘の事を愛していなかったわけではない。娘を庇うことで今度は自分に矢が立つ事を恐れたのだ。
儀式は粛々と行われた。
重石をつけた縄で両手両足を縛られ、海へ続く濁流へと捧げられた娘一人を除いては。
娘が供物として捧げられた翌年、水害の被害が収まった村では宴が開かれた。
雲一つない星が瞬く夜。
握り飯やら旬の野菜やらを扱った簡素な屋台も並び、誰もがその平穏を噛みしめた。
その宴に姿がない者が一人。
村のはずれの小さな小屋から、人知れず嗚咽し涙する声が響いていた。
「ところにより雨」
【ところにより雨】
父は、強烈な晴れ男です。
父と歩けば、空は晴れる。
おとうさーーーん
吾輩は猫である。名前は無い訳もなくクロなのだが、近頃飼い主の表情が晴れん。何やら洗濯物が乾かず、生乾きの匂いが酷いとか…心配して損した。
何はともあれ、飼い主がなにか隠してるのは明白だな。それがなんだろうと知ったこっちゃないが、吾輩を拾ってくれたあの日の、陽の光のような笑顔が、飼い主にないのは見るに堪えないのだ。きっと、この降り続く雨が原因なのだろう。
…もしかしたら、吾輩が奪ってしまったのかもしれんな。飼い主のあの笑顔を。他ならぬ吾輩が、拾われる前、梅雨の雨が辺りを濡らし、薄暗いじめじめした所で生きていたのだから。
返すよ、飼い主。お天道様は、こんな薄汚ねぇ黒猫の上なんかより、お前さんの上にある方が、よっぽど良いや。
さよならだ、世話になったな。
吾輩は、雨でぬかるんだ庭を走り抜けた。
久方ぶりに飼い主の屋敷に日が昇った。あぁ、やっぱりそうだったんだな。だが、屋敷に飼い主の姿が無かった。一体、何処に…?
「探したぞ!クロ、おめぇどこ行っとった!!」
「ニャ?!」
そこに居たのは、紛れもない飼い主だった。梅雨のような雨が降りしきる吾輩を、傘をさし、下駄を汚して、髪と着物を濡らし、息を荒くして、ずっと、探しておったのか。
「ほら、帰るぞ?猫は風邪ひいたらシャレにならねぇんだよ」
そう言った男の顔には、まるでお天道様のような陽の光を放つ笑顔と、一匹の黒猫が、頬を擦り寄せていた。
全く、バカな飼い主だ…。
#ところどころ雨
寝苦しい夜にせきこんだのは
体が溜め息つくなって言ってるんだ
「ずっと一緒に居れると思ったよ」
別れ際に捨てるようにして転がした言葉は、
嘘だった
本当は知っていたから
「ずっと」なんてないって
今よりももっと、あの頃は知っていた
君が「ずっと」を信じさせなかった
だけど、初恋じゃない初めての恋だから
「あの言葉は嘘だったけど、
悲しいくらいに本当だった」
寝苦しい夜せきこんで窓を開けると
雨が降っていた
水溜まりに街灯が反射してより明るく見える
君のところはきっと晴れているんだろう
【ところにより雨】