『たそがれ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
あんなに楽しみにしていた文化祭も
終盤に差し掛かって
空も夕暮れ空をみせてきた頃。
クオリティの高いお化け屋敷にしようと
昨日までクラスのみんなで粘った。
本番の今日は予想以上のお客さんが
『貞子の眠る部屋』に訪問してくれた。
貞子役のクラスの陰キャな沢奈さんは
誰よりもリアリティに演じていた。
まるで貞子が沢奈さんの中にいるみたいに。
最後のお客さんを楽しませてお化け屋敷は幕を閉じた
友達と片付けをしながら
お互いのメイクが残っているのを見て笑い合う。
そして、たそがれながら
今日がこの高校で一年目の文化祭だと思うと
それで急に涙が溢れた。
「なんで泣いてるの?」
「あのね、私。初めてだった、こんな楽しい文化祭。
また来年もこのメンバーでやりたいよね。
お化け屋敷ではなくてもいいから、
『唯一無二の思い出』をお客さんにも届けたい」
「できるよ。クラス替えでメンバーが変わっても、
思い出はいつだって新しい絵の具で塗り替えられる。
そして、また唯一無二の催し物が見つかるよ」
『たそがれ』
夕方のサイレンが街に鳴り響く中を自転車に乗って家路を急ぐ。ジョギングやウォーキングそして犬の散歩をする人たちとすれ違いながら近所の公園を通りがかるとこどもたちはまだ駆け回って遊んでいた。早く帰らないと人さらいが来るよ、と小さな頃は脅されていたな、となにげなく思い出していると夕焼け色の光を浴びて男女が抱擁を交わしているのを視界に捉えてしまった。人の逢瀬をじろじろ見てはいけないと思いながらも目が離せなかったのは絵画のように美しい光景だったから。
昼と夜との境目に男と女はしばしの間言葉も交わさずただ抱擁していたが、男がまどろみに呑まれて瞳を閉じるとその体は正体を失くして光の粒となり、それもやがては徐々に光を失って消えていく。残る女は寂しげに笑みをこぼしたあとに顔をあげ、そうして自転車に乗った自分と目が合った。
この世のものではない人だ、と直感的に思った。慌てて道を変えて自転車を急いで走らせるけれど、人と一向にすれ違わない。公園が近くにあるはずなのにこどもたちの声が聞こえてこない。家に帰り着いてもいい距離のはずが延々と見覚えのある道を走らされ続けているようだった。
それがふと収まったのは視界の端に映り続けていた夕焼けがついに光を失ったとき。自転車に跨ったまま立ち尽くしているとワン、と犬の吠える声がした。振り向いた先には光る首輪を身に着けた柴犬がおり、リードを引いた人がすみません、と謝りながら街灯が照らす見慣れた道の先に消えていった。
お題『たそがれ』
日が沈みかけ、空の色が青からオレンジや黄色のグラデーションに変わる短い時間。
そんな空を見つめていると、まるでどこかに連れて行かれそうな気分にさせられる。
それは私が昔、村に住んでいた頃、おばあちゃんから「たそがれ時には、外に出てはいけないよ。なにかに連れて行かれてしまうからね」と言われてきたからだ。
でも、東京に出た今はそんなことはなくて、普通に会社の就業時間から残業時間に変わり始めるすこしの休み時間の間だけ、缶コーヒーを飲みながら屋上から空を見上げている。
また仕事は深夜零時近くになるだろう。
「このまま誰か、本当に連れて行ってくれないかな」
とぽつりこぼして、なにも変わらない仕事だけの生活に嫌気がさすのだ。
43.たそがれ
学校が終わり、みんな帰る準備をしている。
それを見て私も帰る準備をする。
君が来るまで…
みんなが帰っていく。みんなに手を振って見送る。
教室が私1人になるまで。秘密の約束。
君が来るまで、あと少し、待ち続ける。
来るはずもないのに…
勝手に涙が出てくる…
気づけば外は夕暮れ。早く帰ろう。
誰も来るはずのない教室から…
『たそがれ』
完全に日が沈む前の、
少しだけ、
太陽が斜めから強く光るとき、
黄昏時だと、教えてもらった。
なんだか、身体が重くて、
なんだか、帰るのが、寂しいような、
そんな時間。
橙色の光は、私の目や肌を刺す。
手を繋いで、少し上を見上げてみて、
にっこり笑うのを見て、私も笑う。
逆光で、あまり見えなかったけれど。
それでも、儚い記憶。
もう数十年も前のこと。
いわゆる父親という存在。
私の中に残る、唯一の、記憶。
だからいつもこの時間になると、思い出す。
たそがれ、の、記憶。
たそがれ どき の、
私の中で、永遠に生き続けて。
たそがれて。
たそがれはあこがれのようなものだと思っていた
でも今わかった
だってこの気持ちが好きなのかすきなのか分からない
君には友達のすきがあったはずなのに
またこの好きに戻ってしまった
未来は見えてるけど、諦めたくない
でも君に幸せでいて欲しい
心に秘めて見守るよ
〘 たそがれ〙
たそがれ…
しばらく更新することができなかった
たそがれ…季節は秋に移り変わって
過ごしやすい日々も増えてきた
暑すぎず、寒すぎず…過ごしやすい季節になった
それと同時に、秋も深まり、日没も早まった
夕暮れ時の、風の吹く丘で…頭を空っぽにして、夕日を眺める…
すると、見覚えのある声が響いてきて、現実に引き戻された。
やっぱりここに居た!こんなところでなにやってるの?
もしや…また何かあったんでしょ?
その声の主は…中学以来からの親友の声だった。
高校も同じで、委員会帰りの彼女の声に安堵感を覚える
教室覗いても居なかったから、先に帰ったんだと思ったけど、やっぱりここに居たのね。
ここにいる時は、絶対に何かあった時だもんね
…話聞くよ?
中学時代からずっと一緒の彼女は、私の事は何でも知っている
あはは、バレちゃったか。
やっぱり、隠し事なんて出来ないね。
実はね…
夕暮れ時で、たそがれていた私。
落ち込む気持ちもあったけど、元気な彼女の声に救われた。
これからも、ずっと親友でいたい。
たそがれ
薄暗くなった夕方
いつもセンチメンタルな気持ちにさせてくれる
また明日も来るのかな
夜を待ち遠しく思いながら、太陽にさよならを言う
「たそがれ、たそがれ……ねぇ」
「黄昏」、「誰そ彼」とか書くらしいが、LEDだの液晶だの大量展開してる東京じゃ「誰そ」なんて言うこと少ねぇ気がするわな。某所在住物書きは言った。
似た題目として、4月の最初頃に「沈む夕日」なら遭遇していた物書き。同名でBGM検索をして、「沈む夕陽」、某有名探偵アニメがヒット。無事爆笑した経緯がある。
「アレの劇場版第一作目、たしか環状線の爆弾回収、たそがれ時だったな」
実際、現実世界じゃ有り得ないシチュエーションで、管制室のシーンも観る人が観れば指摘箇所満載らしいが、俺はああいうの、好きだったよ。
物書きは昔々に思いを馳せ、今日もため息を吐く。
――――――
たそがれ、黄昏。 うす暗くなる前の夕日。
薄闇のせいで「誰ですか、彼?」になる前の、
光のせいで、相手の顔が分からなくなる頃。
つまり逆光。 つまり光のイタズラ。
何が言いたいかというと、
私が勤めてる職場の、たそがれ前のある一定時間、
夕日が向かい側のビルの窓に当たってまぶしい。
そのまぶしい向かい側の窓を背にするお客さんと対峙しなきゃならない職場だからしんどい。
ノーモア、テロ級にまぶしい反射の斜陽。
わたしジャパンはこの活動を応援しています。
「5年前の鉄板ネタ、聞きたいかね。
珍しく我等が過疎支店に、たそがれ前、まさに向こうのビルに夕日が反射する頃。
ハゲの怪獣客様がお越しになってだな」
10月になった。東京はまだ残暑が酷い。
今年の3月から異動してきた支店は、厳密には支店の窓口業務は、今の時期の、日没前のある十数分〜数十分だけ、日光のオレンジな反射がまぶしい。
先月の前半も、先々月も問題無かったのに。
今の時期は太陽の関係で、仕方無い。
「教授支店長」って呼ばれてる支店長は言う。
どうにも光が困るようなら、どうせ過疎支店だから、窓口に来た客を反射光が当たらない接待席に連れて行くと良いって言ってくれるけど、
窓にブラインド、使わないのかな(多分:景観)
使っちゃ、ダメなのかな(確実に:店の景観)
「教授支店長、『ハゲの怪獣客』 is なに」
「だいたい予想できるだろう。
まずカルシウム不足気味なお客様がオレンジ色の反射的後光を背負ってお越しになる」
「はんしゃてき、ごこう、」
「そう。反射的後光だ。
当時そこに座っていたのは、別の支店で今勤務している若い男性なのだが、
後光怪獣客様が山頂にご来光しながら『窓口係が若手では専門的な相談ができない』と噴火してだな。
そのご来光がご来光で、あんまりジャストな場所からジャストな光がジャストしていたせいで、
その若手が、耐えきれず、爆笑してしまったと」
何事かと不審に思った常連、常連の対応をしていた別スタッフ。連鎖して常連が笑って大惨事さ。
支店長はこのネタを何度も何度も擦ってきたらしい。完全に平常心で、少しも笑わず、淡々と。
撮影時の電子音が出ないメリットを活かして常連が隠し撮りしたっていう当時の写真を見せながら。
「たそがれ時の類語に、逢魔が時、魔が差す時がある。怪獣の1匹や2匹、ダイヤモンド富士を体現する妖怪の1人や2人」
人口多いこの東京には、そりゃあ居るだろうさ。
ふざけてお祓いの真似をする支店長は、そう付け足して、光り輝く頭の画像を下げた。
「そのモンカス、それからどうなったの?」
「さぁ?なにせ、後光を背負っておられたニセ菩薩様だ。逆行のせいで顔など覚えちゃいない」
「声くらいは覚えてない?」
「たそがれ前の絶景があまりにも強烈でだな」
それこそ、化生のモノが、たそがれ前にひょろり迷い込んできたのかも、しれないな?
ハライタマエ、キヨメタマエ。ぶんぶん。
相変わらず支店長はお祓いの真似。
「化生のモノねぇ……」
科学だらけの現代だよ。さすがにそりゃないよ。
頬杖ついた私がため息ついて外を見ると、
遠くで子狐にハーネスつけて散歩させてるキレイな黒髪のひとと目が合った。
稲荷神社近くのお茶っ葉屋さんの店主さんだ。
別に、深い意味は無い。 深い意味は、無い筈だ。
たそがれ
授業終了のチャイムが鳴った。荷物をまとめて教室を出ていく友人に手を振り、私は椅子に背中を預ける。天井を見上げてため息をつく。特別な理由もなくただ居残るのが何故か日課になってしまった。
ビルの屋上の上層で黄昏ている
コーヒー缶を片手に持ちごくっと飲み干す。
夕暮れで沈んでいく街をぼーと眺めて深いため息を吐く。
#たそがれ
もう10月か…と思いながらアプリを開くと、お題が「たそがれ」だった。
「10月」「たそがれ」とくれば、これはもうレイ・ブラッドベリの『10月はたそがれの国』しかない。
そう言えば、あの本はどこにやったっけ。
SFの抒情詩人とか言われるブラッドベリは、好きと言うより、ふと読みたくなると代わりが効かない作家だ。
どうしても『10月はたそがれの国』を読み返したくなり、私はお題そっちのけで、古い本棚を漁り始めた。
結論から言うと、本は見つからなかった。
それどころか、まだ読んでさえいなかったことが判明した。
彼の作品をたくさん集めていたのは高校生の頃だが、なぜこの有名な初期短編集だけスルーしていたのだろう。
というか、なぜ今の今まで持っていると思い込んでいたのだろう。
不思議だけれど、今になって“新作”を読めるのは嬉しい。
私はいそいそと『10月はたそがれの国』をネット購入した。
※『たそがれる』とは
「日が暮れる」
「物事が衰える様子」の意味。
「物思いにふける」という意味はなく、
誤用だが俗語として許容されつつある。
たそがれて、宇宙を見上げる。
宇宙で生活する人類を想像した。
アニメや映画で観たシーンを素材に
無重力の中を飛び回る人々を頭の中で
創り上げる。
そこで、あることに気づく。
「無重力なら女性は
ブラジャーを付けなくても問題ない」
おっぱいがたそがれることはなくなる。
つまり、将来的に
男女関係なくトップレスになる時代がくる。
「生きねば…」
そう思った。中二の秋である。
たそがれ
日の陰る暗がりに「誰ぞ彼は」 と問うたのがその語源というこの言葉が好きだ。
誰そ彼は と尋ねたくなるこの時間が好きだ。
一つの言葉に美しい意味を持つこの言語が好きだ。
空が赤い。
今日も彼は教室に現れない。
4人しかいないクラスメイトの中で、私だけが平凡だった。常に人手不足の業界だから、私にもそれなりに任務が割り振られ、そこそこ忙しい毎日ではある。
しかしここ1週間以上ずっと教室に姿すら見せない彼は、どれほど任務漬けの毎日を送っているのか。反転術式を使えるようになってから彼は疲れを見せなくなった。
私はここで、一人彼を待つ。
帰りのバスの窓から眺めた
たそがれ時の空は
沈みはじめた夕日が放つ
色のグラデーションが美しくて
目を閉じて思う「会いたい」
イヤフォンから流れる歌と綺麗に重なった
離れても同じ景色を見ていたい
あの人と
たそがれどきに夢をみる。
夜がおとずれる前のひとときに、
やわらかな夕陽をまぶしそうにみる君と、
なんてことない話をする夢を。
はじめに君を見つけたときはおどろいた。
ずいぶん昔にわかれたきりで、
もう二度とあえないと思っていたから。
夢のなかだから、
そんな奇跡がおきたのかもしれないね。
君とたくさんおしゃべりをして、
あのとき話せなかったことのつづきも話して。
ああ、よかった、
これでもう思い残すこともない。
意識がたそがれにとけていく。
さいごにみたのがしあわせな夢で、
ほんとうによかった。
「君の表情が見えなくても」
太陽が沈みかけて濃い紺色の空。
雲の隙間から漏れる光。
山の上に建つ電波塔のシルエット。
まるで異世界のような風景を見たくて、車で山道を昇る。
日本で一番標高の高い場所にある道の駅。
駐車場に着く頃には、だいぶ陽が傾いていた。
「結構、人が多いね」
標高二千メートルからの夜景でも見るためなのか、満天の星空を見るためなのか、若い男女が多い気がする。
異世界めいた画像を撮りたいからと言う彼女みたいな人は少数派かもしれない、などと思いながら木道を歩く。
どんどん暗くなっていき、そろそろ携帯ライトを用意しておいた方がいいだろうかと思い始めた頃、ふと顔を上げてみると、そこには『壮観』という言葉が相応しい風景が広がっていた。
「これこれ。この風景よ」
彼女はそう言ってカメラを取り出している。
互いの表情は、もう見えないはずだ。
それなのに、彼女がどんな表情をしているのか、わかる。
夢中でシャッターを切る彼女にカメラを向けた。
────たそがれ
たそがれ時に君が地面に
寝転がって喉をならす
私はしゃがみこんで君をなでる
冷たくないの?汚れてしまうよ?
君はいつもおかまいなし
ゴロゴロと気持ちよさそう
私もそんな君が気持ちいい
黄昏
黄昏てるね
そんな言葉をよく耳にする
秋の夕暮れ、お似合いのことば
今までのことを思い出す
懐かしい匂い
乾いた風が鼻をかすめる
あの時楽しかったな、
あの時辛かったな、
好きだったあの人はどうしてるのかな
なんて、古い思い出を
またこの季節がやってきたのかと
夕陽に照らされながら、風を感じながら思ふ
戻らないからこそ
この思いに耽るときがどこか愛おしい