『たそがれ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
黄昏時、いつもの公園でベンチに座りながら、夕日を眺めている。
木と木の間から、たくさんの光が漏れだしている。
もうすぐ、今日が終わる。
今日の終わりは、明日の始まり。
でも、今日は帰りたくないや。
黄昏綺麗だけど悲しくもなる
いい思い出や悲しい思い出
どうか明日はよか一日になりますように。
「たそがれ」
※百合
夏が終わって、部活を引退した。それからは早く帰るのもちょっと嫌だったから、受験勉強の為に自習室へ行っていた。
あの日も同じだった。自習室のいつも使っている席に座って、参考書を開いて、いつも使っているルーズリーフも準備して、イヤホンを取り出そう、とした。ここまではいつも通りだったけど、この時はお弁当箱を机の中に忘れたことを思い出した。それだけ。たったそれだけが、いつもと違った。
いくら涼しくなってきたって言ったって、お弁当箱を置きっぱなしにするのは嫌だな、と思って私は教室に向かった。遠くから吹奏楽部の練習する音が聴こえた。合奏中じゃなかったようで、色々な音がバラバラに耳に入って来る。それ以外は、校庭の方から運動部の掛け声とか、そんなものだけが世界にあって、どこの教室もガラン、としていた。
日は暮れかけていて、まだ暗くはなっていなかったけど、なんだか少し寂しいような感じもして。居心地が悪かったから、少し駆け足で教室に向かった。扉を開けて、教卓の正面という何とも嫌な位置にある私の席のところへ、行こうとした。
教室はオレンジ色に染まっていた。机たちの足元の影が長く伸びていた。視線を下げていた私は、影が無機物のものだけじゃないことに気がついた。そちらを辿ると、半分閉められたカーテンの下に、ふたり分の脚が見えた。ふたりとも私の気配に気がついたのか、カーテンの後ろからこちらを見ようとしたようだった。
いけないものを見てしまった、と思って、咄嗟にその場を立ち去ろうとした。だけど、慌てた私は手に持ったお弁当箱を、落としてしまった。
カシャン、と音がする。それがまるで、世界を崩してしまった音のような気がして、私は逃げるように走った。自習室までの道のりで先生に走るな、と怒られたような気がしたけれど、とにかく急いで戻って、荷物をまとめて、家に帰った。
その日は早く寝た。早く、寝ようとした。スマホを見たくなかったから。お願い神様、今日見たことは全部幻だったことにしてください、なんて祈ってみたりして。あのふたりが誰だったか、なんて、私は見てない。だからわからない。知らない。誰かなんて、検討もつかない。一瞬片方の人と目があった気もしたけれど、夕日の逆光で、何も見えてない。見えていなかったんだ、と思いながら眠りについた。
翌朝、隣の席のあの子が「昨日これ忘れていった?」と笑顔でお弁当箱を差し出してくれた。「ありがとう」と受け取りながら、私の中で恋が終わる音を聞いた気がした。
誰そ彼、なんて嘘なんだ。嘘なんだよ。だって私も、あの子も、お互いがわかっちゃったんだから。
たそがれの夕暮れ時
2人並んで歩く帰り道
2つの影が重なり合って
このままでいたいと願う
#たそがれ
ゆうがたにさく
あさにさよなら
ゆうがおのはな
たそがれぐさは
なにをおもって
さいているのか
だれをおもって
とじてゆくのか
はかなきおもい
よるにあずけて
『たそがれ』
#たそがれ
楽しい事なんてないもん。
年中無休でたそがれ時はたそがれている。
たそがれ、黄昏の空に、たそがれる私。
今日は休日だというのに、一日窓辺でたそがれてしまった。
何かしないとなと思い、私は軽くお化粧をして、服を着替えて出掛けていく。
何処に行くか、あてなんてないけれど、私は歩くことにした。
ずっと歩いていると物静かな大きい公園にたどり着いた。私は少し歩き疲れたので休むことにしようと、近くのベンチへ行こうとした時…………
「美晴?」
誰かに私の名前を呼ばれた。
「えっ………、み、美晴っ、美晴でしょ?」
私は名前を呼ばれた方に顔を向ける。
「……!?!!!」
私の、目の前に居たのは
「み、光俊(みつとし)……………、光俊、なの?」
私の元彼。光俊だった。
「美晴っ、会いたかった…………っ」
そう言うと光俊はいきなり私に抱きついて来た。
「!!!!……………っ」
私と光俊は、大学生の時に付き合っていた。
けれど、卒業後のお互いの進む道が違っていて私達二人はその不安に耐えきれず、なくなく別れたのだ。
光俊と別れてから約6年。私に彼氏が出来た事はない。
いつも思い出すのは、光俊の顔だけだったからだ。我ながら、未練がましいと思いながらも、とても辛かった。
「み、光俊………、何で?」
「たまたま、こっちに仕事で来てて、それでこの静かな公園で休もうって思ったら、見慣れてた顔が、美晴が居たからっ…………」
何だが、二人共涙目になっている気がする。
ここまで感動的な再会だろうか。
でも、私達にとっては、嫌いで別れたやけじゃなかった。
ただ、それだけ。
「………光俊、付き合ってる人、……居るの?」
「いないよ。居るわけ無いじゃんっ。」
信じられないなら大学の友人に聞いてみてと言う光俊。
どうやら本当に居ないらしい。
「美晴は?美晴は………、付き合ってる人、居るの?」
「いるわけないじゃん…………っ
私っ、光俊が、良かったもの………光俊が、いい男過ぎて、忘れられ無かったものっ」
涙がポロポロ溢れてくる。
もう、会えない。そう思っていた人が居る。
大袈裟かもしれないけれど、わたしにはそれ程の恋だった。
「美晴………っ、好きだよ。別れてからも、ずっと美晴だけだったよ」
「私だって、光俊が好きだよ。今でも……っ大好きだよっ」
なんという奇跡だろうか。
私はまた、好きで好きで堪らなかった人と
両思いになった。
なんて、幸せな事なのだろう……。
「…………………っ」
チュッ
重なるのは、二人の唇。
それからの事は、二人だけの秘め事だ。
神々の黄昏「ラグナロク」
世界の終わりを表すこの言葉を知ったのは
小学生の時だ。
図書館で北欧神話を読んでと言いたいところだが、
その動機に至ったのは兄がプレイしていたゲームだ。
戦乙女ヴァルキリーがオーディンの命によりエインフェリアを集める物語。
当時の私は、魂は天国もしくは地獄に行くと信じていたので、神々の戦のために魂が集められるというのは新しい概念だった。
「えっ、死んでも戦いに駆り出されるの?」という驚きもあったが、魂という形になっても生前の友や仲間と一緒にいられる光景に心惹かれる自分もいた。
ゲームの内容は大変自分好みだけれど、大元となった北欧神話はどんなお話なのだろう。
ゲームのキャラクターとか出ているのだろうか。
湧き上がる好奇心を抑える術をもたない子供は、図書館で北欧神話を読むに至るのである。
今こうして書いていて
昔から生粋のオタクなのだと痛感している。
付ける薬は…最早ないのだろう。
…脱線した。
記憶にある北欧神話の最終章が神々の黄昏、ラグナロクだった。
神々が続々と亡くなる話で正しく世界の終わりのような話だ。
当時の私の率直な感想は「暗い」。
黄昏だから暗いは正しいのだろうけど。黄昏にしんみりとしたものを感じるから正しいのだろうけど。
有名なキャラが本当に容赦なく死んでしまうのは衝撃で、「暗い」しか言葉が出てこなかった。
北欧神話のラストは
ラグナロクによって沈んだ世界が再び浮上して、生き残った神々達が出てきて終わる。
…ゲームの方が感動的だと思ったのは内緒。
たそがれ
自転車の荷台から見える
オレンジ色に染まった空に明けの明星が輝いて
ゆっくりと水平線が流れていく
海沿いを走る
潮の香りが鼻をくすぐり
冷たい風が吹く
彼の背中にしがみついた温かさが
夏の終わりを告げているみたいで
どこか寂しく感じる
まだ、家に着かなければいいな…
たそがれ空を見ながら
強く抱きついた手に力がこもった
わかんなくて……辛くて……
たそがれを追いかけても、どうにもなんないよね。
自分のことを追い詰めてもどうにもならないけどね、
なんかたそがれはきっと私の味方だと思うんだ。
たそがれを見ると明日も頑張ろうってなるんだ。
たそがれの光は人々に勇気を与えているのかな。
そうだったら……そうじゃなくても……!
ありがとう。
「たそがれ」
たそがれ時に、目を劈くような光に耐えながら見る景色。
昔あの人と一緒に眺めたことを思い出して不意に涙が出そうになる。
まるでまだ隣に居るかのような暖かさに包まれながら、私はまたいつもの帰路につく。
【No.4 #たそがれ】
あの子またたそがれてるね
そんなことを言われた
別にたそがれてる訳じゃない
誰だってあるでしょ
空が綺麗だなとか
ぼーっとしちゃうとき
いちいちうるせえんだよ
黙れや!!
【たそがれ】
#102【たそがれ】
黄昏時は、物悲しくなる。
オレンジと紫の間で佇むと
もうこのまま溶け込んでしまいたいと
無意識に思ってしまうから。
何気ない一言に囚われて
眠れない夜みたい。
黄昏の空は
少しの眩しさが闇を際立たせている。
「たそがれ」
今までに見た中でいちばん記憶に残っているのはあの風景。
たそがれ時で、周りが淡いオレンジ色に染まっていて、
まだ幼かった私に笑いながら手を繋いでくれた、祖父。
まだ「幻想的」という言葉もその言葉の意味も知らなかった
けれど、その瞬間に、私は綺麗だと思った。
まるで、違う世界で起きたみたいに、本当に綺麗だった。
私は祖父のことが大好きで、私も祖父に愛されていて、
2人で綺麗なたそがれ時を見ながら手を繋いで歩いている。
なんて暖かい幸せだったんだろう。
その時の風景が写真に撮ったかのように
今でも鮮明に思い出せる。
今はもう居ない祖父との、大事な記憶。
たそがれ…黄昏
ちょっとググった。
夕暮れ。夕方の薄暗い時。
少し寂しい感じ?
私は黄昏時、ちょっと浮かれる。
昔からそう。
学生時代、部活帰り「おわったー!」で浮かれる。
社会人「まだ明るい!こんな早く帰れるなんて…!どこ寄り道しよっ」で浮かれる。
割と好きな時間。昨日のお題じゃないけれど、
明日につながる素敵な時間。
…ん?さっきググった意味まだあった。
「盛りを過ぎて終わりに近づこうとする頃…人生のー」
そんな意味もあったのね。
でもまあ、人生の終わりに浮き浮きできるなんて良き良き。
paki
たそがれどきに浮かぶ雲を眺めては
胸がきゅっと切なくなる
自分以外にも共感者はいるだろうか
それぞれが自分を取り巻く環境や物事
感情に思いを馳せ振り回されてしまう
この季節が来たんだなと思う
#たそがれ
暮れていく
うら寂しさよ
眩しさよ
黄昏色は真昼の残像
/お題「たそがれ」より
たそがれ
空が赤く染まっていて
先程まで長く伸びていた自分の影も
曖昧になっていく
目の前に立っているのは
よく見知った姿形
だけど
感じる強い違和感
昼と夜の狭間の世界で
邂逅することにきっと意味はあるのだろう
だから問いかける
「誰だ。お前は」
この戦いに決着がつくまで
きっとこの狭間から抜け出すことはできない
40秒ごとに一人死ぬ世界
一年は365日。
人生がだいたい80年と推定するなら、約3万日。
さらに計算すれば一週間は約4千回しかこない。
憂鬱な月曜日の朝と日曜日の夜をたった4千回繰り返していたら、そのうち死ぬ。
でもこれは健康的な老衰の場合の話。
たいていの人は何かしらの病にかかる。
重症度は人それぞれだけど、私の身内はみんな病気で死んだ。
それも、心の病でね。
そして、この世界では約40秒ごとに一人が自殺しているそうだ。
そのカウントに私の身内も入っている。
そして、私もそう遠くない未来で、そのカウントに加わることを望んでいる。
3万日と、三日間の命、何が違うんだろう。
命は重たくない。
ほら、これを読んでいる間にもまた誰か一人がこの地球のどこかで自ら命を絶った。
だけど、それのいったいどこが悲劇なの?
悲しいと思うならあなたは偽善者だ。
何も悲しくない。
人は死ぬ。死ぬために生きてるし、生きているからこそ、美しいし、死ぬからこそ、儚い。
死。いつか、明日か数ヶ月後か、50年後か。
私が40秒に一人のカウントに追加されても、あなたは何も悲しむ必要はないからね。
沈んだ心に身を隠していては誰とも会えない
赤青に深まる闇が私ごと影にしてしまうだろう
(たそがれ)