『それでいい』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「それでいい」
そう言ってくれたあなたに、恋をした
飾らない自分を見つけてくれた、あなたに
簡単に言えば、目指したものが違った。
いや。根本的に、解り合えるなんて思っちゃいないけど。
俺は見た目もこんなだし、正直、真っ当とは言えない。
それでも、知らなければ、普通にしてもらえたから。
大抵は、この見た目でろくな目に遭わなかったけど。
最初は、君も驚いてたっけ。
そりゃそうか。いくら髪や、服で隠したとしても隠しきれるものじゃないし。
そのせいで、理不尽な扱いを受けることもあったけど、仕方ないって諦めてた。
これは俺が生きている代償で、死ねない証明だから。
生きることは殺すこと。命を屠ることで、俺は生きている。
その命が何であれ、選別して、刈り取って、屠ることが、今の俺の役目。
だから、君は俺を追いかけてくれたら”それでいい”。
生きることは殺すこと。それは比喩でも何でもなく、俺の生業そのもので。
そんな俺みたいな奴を追いかけることが、君の生業なんだからさ。
それでいい
それでいい
細かい事には気がつくけど、神経質で体力の無い私。
おおらかで、体力が有るけれど、よく抜けている旦那。
一人だと不完全。だから二人で補いあっている。
そうやって支え合って生きている。
だから、それでいい。
不完全でいい。
もっと気軽に生きていこう。
それでいいってなんだ、偉そうに。どういう立場でもの言ってるの?はぁ?代案があるならだしてみろや!
テーマ:それでいい #143
それでいいんだって思ったんだ。
僕は僕のまま、君の中にいてもいいんだって。
私は気がつくと一人じゃなかった。
私の中にはカゲロウという、私ではない人格者がいた。
カゲロウは、滅多に私と話すことはなかった。
中学の時、孤独を感じるまでは。
『僕はね、君の中にいるんだ』
カゲロウは私に言った。いや、言ったというか、脳に直接語りかけているというか……。
『君が望まないと言うなら、またいつものように息を潜めているけど、孤独の時間が必要なときだってあるし』
その時の私は、孤独の時間が怖かった。
自分が自分で制御できなくなってしまうような気がして。私は気がつくと声が出ていた。
「行かないで」
と。カゲロウは私に話をした。
それはカゲロウについてだった。嘘か本当かは知らないが、私は前世でカゲロウと一緒に旅をしていたらしい。カゲロウは、前世の私に行ったらしい。
後世でも一緒にいたい…と。
カゲロウは前世の記憶をもったまま、私の前に現れた。
幼い私には、カゲロウといた時間をすべて忘れていた。今だってそうだった。
カゲロウは少しの間、私の中で生き続けることにした。
息を潜めて、いつか気がついてくる日が来るのではないかと。でも、待ち望んでいた日は来なかった。
今、この時話しかけていなかったら、まだ認識すらされていなかっただろうとカゲロウは言った。
「カゲロウは、私の中にいて嫌じゃないの?」
私は話し終わったカゲロウに聞く。
『嫌なわけないさ、愛していた人の中にいるのだから。今だってそうだ。今だって愛しているよ、君のことを』
カゲロウの姿は私に見えるものじゃない。前世の記憶だって無い。でも、私の中でカゲロウが微笑んだ気がした。
「カゲロウが嫌じゃないなら、私の中にいてほしい。嫌じゃないなら、話をしてほしい。今の私は、孤独の時間が怖いの」
そう口にして、ハッとした。
ずっと私に気が付かれなかったカゲロウはずっと寂しい思いをしていたのではないか、と。
カゲロウは私の思考を読むように言った。
『寂しくなんてなかったさ。いつも近くにいたんだから。でも、本当にいいのかい? 僕のこと気味が悪いだろう? 姿だって見えないし、僕が本当のことを言っているかもわからないのに』
カゲロウは私の答えに戸惑っていた。
そんな人が嘘をつくとは思えなかった。だから私は
「えぇ、もちろん。それでいいの。前世のことを思い出せなくてごめんなさい」
そういった。目の前にいるわけじゃないのに頭を下げた。あたかもカゲロウがいるかのように。
『ありがとう。こんな僕を受け入れてくれて』
カゲロウはそう言った。
それからカゲロウと過ごした日々は長く続いた。
『ねぇ、僕ってこのままでいいの?』
カゲロウは私に聞いた。何を今更、とは思ったがカゲロウに取っては深刻な問題らしい。だから私はあの時言ったように、言った。
「えぇ、もちろん。それでいいの」
#9 それでいい
休日の朝食にトーストを焼くため。
窓辺の暖まった猫の毛を撫でるため。
雨の音を聴きながら本を読むため。
ラベンダーの香りのするベッドに寝転ぶため。
冥王星に想いを馳せるため。
きつね色のカステラを頬張るため。
夏の夕暮れに温い湯船に浸かるため。
旅行先で買ったマグでコーヒーを飲むため。
クタクタの仕事を恨むため。
死んだロックスターを弔うため。
レイトショウでひとしきり泣くため。
君とおしゃべりをして笑うため。
生きている理由なんて、それでいい。
――それでいいよ。
それでいいって、何だったんだろう。
デートの約束も、行きたいところも、やることも、食べたいものも。
全部アタシからで、全部に「それでいいよ」だった。
我が強いのは自覚してるし、従ってくれることを優しいとも思ってた。
「それがいいよ」とは一回も言ってくれなかった。
びっくりするぐらい自分が無いんだなって気づいたのが先なのか、気持ちが冷めたのが先なのか分からない。
でもさ、「別れよう」に「それでいいよ」は無くない?
引き止められるなんて思ってないけどさ、「それでいいよ」は無いわ〜。
腹立つより呆れて笑えちゃう。
いいよ、アンタはずっとそれで生きていけばいいよ。
アタシはこの先も「それがいい」で生きていくから。
……アンタのことも「それがいい」だったから、告白したんだけどね。
#それでいい
ひとはときどき
「それでいいのだろうか。」
と悩む。
その疑問を持つことが、成長への第1歩だ。
テーマ それでいい
私は普通の人とは違った。
年頃の子達がオシャレにハマっている時私はゲームにハマった。クラスメイトがリア充になった時私は2次元に恋をした。
だから私は普通になる為に普通の振りをした。テストは平均より少し上。趣味はショッピングモールでお買い物。特技は歌を歌う事。好きな物はキャラメルフラペチーノ。
私は普通を演じた。辛かった。苦しかった。寂しかった。本当の友達なんて居なかった。
だから私、今年は素でいよう。
テストはいつだって高得点。趣味はゲーム。特技もゲーム。好きな物は同人誌。
ありのままの私。もう辛くない。苦しくない。本当の友達がいる。
どんなに普通じゃなくても大丈夫、それでいい。自分らしく歩いて行こう。
今日のテーマは珍しく
長文を書いて、全部消した。
「それでいい」より
「それがいい」のほうが嬉しい。
たかが1文字
されど1文字
言葉って奥深い。
誰かに言葉が届いた瞬間が、とても嬉しい。
私は私のペースでいこう…
今、できることを
今、する。批判は恐れない。
それでいい。いや、それがいい。
テーマ「それでいい」
それでいい
それで良いと、君は言った。
ありのままの僕でいいと。
その言葉に、どれだけ救われたか。
君は僕の希望だ
僕はリンゴが好きだけど
君がオレンジ食べたいって言うのなら
それでいいと思う
僕は寝たいんだけど
君が遊びたいというのなら
それでいいと思う
僕は君のことを好きだけど
君は違うのなら
それでいいと思うって
そう言ってあげたいけど
僕は君に好きになって欲しいから
そんなことは言わない
でも、それはそれで
いいと思う
《それでいいと思う》
#14
いつからか4月1日がニガテです
いつからか桜がニガテです
いつからか春がニガテです
春の香りがするすべて
そのあたたかさとは裏腹に
怖さと共にやってくる
怖がるように
ためらうように
舞い散る桜の花びら
わたしにはまだ
1人で舞う準備はできていない
#それでいい
『それでいい』
これで良いのかな?
……これじゃ駄目かも
どうしようかな?
……どうしようもないな
こうした方が良いのかな?
……こうした方が良いのかも
調べてみたら分かるかな?
……調べてみても分かんないや
……なんかもう疲れたな
なんにも終わっていないのに
……なんかもう眠たいな
まだまだやる事たくさんあるのに
やっぱりやるしかないのかな?
……やっぱりやるしかないのだろう
これで良いのかな?
……これじゃ駄目かも
どうしようかな?
……どうしようもないな
こうした方が良いのかな?
……こうした方が良いのかも
調べてみたら分かるかな?
……調べてみても分かんないや
……なんかもう馬鹿みたいだな
ほんと何やってんだろう
……なんかもう嫌になるな
涙が出てきた
それでもやるしかないのかなぁ?
……それでもやるしかないのだろう
これで良いのかなぁ?
……これじゃ駄目かも
どうじようかなぁ?
……どうしようもないな
こうじた方がいぃのかなぁ?
……こうした方が良いのかも
調べてみだら……わかるかなぁ?
……調べてみても分かんないや
『それでいい』
人とは違うこと。どこにも馴染み切れない孤独と、諦め。
何度も挫けて、自らの不甲斐なさに泣いて、絶望して。
それでも自分の願った世界を求め、空や海の色のような触れることのできない青を追いかけるように理想を求めることを。
「それでいい」
そう言ってくれる人がいたから、今も道を違わず歩いていける。
その言葉が放つ、月明かりのように静かで青い光を道標に。
例えひとりでも、歩んでいける。
『それでいい』
「どちらがいい?」
そうきかれて、「そっちでいいよ」と何気なく答えた。
確か、ペットボトルの飲み物だとか、そんな他愛ないものだった。
特に深い考えもなく出た言葉に、彼は少しだけ寂しそうに笑った。
「君は、いつも『それ”で”いい』と言うよね」
僕は本当に何も考えずに出た言葉だったから、彼の言葉に虚を衝かれて黙り込んでしまった。
そして考える。そんな事を言っていただろうか、と。
しかし、思い当たるほどに深い意味があったわけでもなく、僕は首を傾げる他なかった。
君はそんな僕を責めるでもなく、ただ微笑む。
「ごめんね、僕が気にし過ぎなんだと思う。『それ”で”いい』って言われると、君がちゃんと欲しい物を望んでくれてるのか心配になっちゃって」
僕が譲ってばかりいるのではないかと、心配なのだと彼は言った。
とても、優しい人だった。
僕の、優柔不断故の適当な言葉すら憂える程に。
とても、優しくて、いいやつで。
そんなだから、神様に愛されてしまった。
いつも、彼の命日は雲ひとつない晴れだ。
彼の家名の彫られた御影石の前に線香を供える。安い白檀の匂いは彼には似合わなかった。
仏花もどうにも彼のイメージに合わなくて、白いマーガレットを選んだ。
灰色の石に相対して、目を閉じて両手を合わせる。祈りはしない。安らかに、だなんて。
僕を置いていきやがって。
「僕は、君とずっと一緒が良かったよ」
既に居ない彼に、届くはずもないけれど。
たった一つの望みを呟いて、僕は墓前をあとにした。
2023.04.04
白いマーガレットの花言葉:心に秘めた愛
せっかくなら
それでいい。
じゃなくて
それがいい。
と言われたい。
君が君らしく
生きてくれれば
僕は
それでいい
そんな善人ぶった言葉
言えるわけがない
だって
僕は
僕だけを見てくれる
そんな君でいて欲しいから
今は
そんな僕を
それでいいと言ってくれた
君は
僕よりも欲深い人なのだと
苦笑してしまった
そんな僕らは
それでいい
悪く言うな、って怒れることがあった。
私なんかが、って泣きたいことがあった。
あなたが好きだなぁって嬉しく思うことがあった。
これ以上ないってくらい楽しい時間があった。
いくら正しかろうと、世の中ではどうしようもないこともあって。割り切れなくて悔しくて、きっとこれからも振り回されるだろうけれど。
全部、きっと、それでいい。
今日も一日、おつかれさまでした。
『それでいい』
【それでいい】
一年ぶりに会う義姉は、相変わらずとても綺麗な人だった。
栗色に染められた髪は、気品を失わない程度に緩く内巻きにされ。ネイルもメイクも、派手すぎないけれど可愛らしい絶妙な塩梅だ。
いったい何だってこんなに美しい女性が、うちの愚兄なんかと結婚したのか全くわからない。騙されたんじゃないですかと尋ねたくなるけれど、彼女の左手の薬指に燦然と輝くプラチナのリングが、私の心配がただの杞憂であることを教えてくれていた。
「久しぶりね。食べたいものとかあるかしら?」
「お義姉さんのおすすめのお店で良いですよ」
私の行きつけの店なんて、チェーンの居酒屋とカフェばかりだ。この人を連れていくのに相応しい場所なんて、知っているはずもない。
と、彼女は少しだけ寂しそうに瞳を細めて淡く微笑んだ。
「その言い方、あの人に似ているわ。やっぱり兄妹なのね」
「え、何か似てました?」
はっきり言って、兄とは正反対だと言われ続けてきた。首を捻った私を見て笑みを深くした義姉の表情は、慈しむように柔らかい。
「食べたいものを聞いても、何だって良いって言うの。じゃあこれはどうかしからって提案しても、それで良いとしか答えてくれなくて。最初の頃は、本当は嫌なんじゃないかっていつも不安だったわ」
「私は! お義姉さんのおすすめのお店が良いです!」
慌てて訂正すれば、彼女はありがとうと優しく頷いてくれた。本当に素敵で優しい女性だ。こんな人とお付き合いして、結婚して、そのくせ「それで良い」なんて舐めた返事ばかりして、そして。
(こんな人を置いて勝手に死ぬなんて、やっぱりあんたは大馬鹿だよ。クソ兄貴)
――彼女は今でも心から、あんたのことを愛してくれているのに。
ちょうど三年前の今日。見ず知らずの子供を庇ってトラックに轢かれるなんて、まるでマンガみたいな死に方をしやがった愚兄へと向けて、心の中だけで罵声を吐き捨てた。