『さよならを言う前に』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
切ない別れ
夏の終わり、蒸し暑い夜風が街を撫でる中、二人は最後の夜を共にしていた。喧騒から少し外れた静かな公園。ベンチに腰掛けると、彼女はポケットから小さな包みを取り出した。
「これ、最後のプレゼント」と彼女は微笑んで手渡した。
「…ありがとう」と彼は受け取りながら、どこか言葉が詰まるのを感じた。彼女の声にはいつも以上に優しさが込められていたが、その裏には別れの予感が漂っていた。
二人の沈黙が続く。夜空に星が瞬き、セミの鳴き声が遠くから聞こえてくる。だが、その音も二人の間には届かず、ただお互いの気配だけが濃密に存在していた。
彼女は深呼吸をし、決意を固めたかのように彼の方を振り向いた。
「ごめんね」と彼女は小さな声で呟いた。その言葉が彼の心に刺さる。何を謝っているのか、彼は分かっていたが、理解したくなかった。
「何が…」と問いかける前に、彼女は一歩近づき、彼の唇にそっと自分の唇を重ねた。驚きと共に彼は目を見開いたが、その瞬間に全てを悟った。彼女の唇は暖かく、切なくも甘い味がした。
キスは短かったが、その中に全ての感情が詰め込まれていた。彼女が彼の唇から離れた瞬間、涙が彼女の頬を伝い落ちた。
「さよなら…」
彼女はそう言うと、振り向かずにその場を去った。彼はその背中を見送るしかできなかった。何かを叫びたかったが、声にならなかった。身体が石のように固まってしまい、ただ見つめることしかできなかった。
彼女が闇に消えていく中で、彼は初めて涙が溢れ出た。目を閉じると、彼女のキスの温もりがまだ残っている気がした。だが、それはもう二度と戻らない過去の一部になっていた。
彼女が残した小さな包みを開くと、中には二人で撮った写真が一枚入っていた。彼女がいつも大切にしていた一枚だった。
「ありがとう…さよなら」
彼は静かに写真を胸に抱き、もう一度彼女の名前を心の中で呼んだ。そして、ゆっくりと立ち上がり、彼女が去った道とは反対の方向へ歩き出した。
今日は最後に行ったのがいつか分からない洋服の買い物に行った
今週末のライブの為の服
Tシャツはライブグッズで決まってるから
それに合わせる楽なボトムスというかサロペット
良いのが安く手に入ってラッキー
遠距離でなかなか会えない恋人にでも会うんか
ってくらいの用意をしてる
スキンケアとか洋服買うとかコーディネート今から考えるとか
私の人生において最も大切な瞬間であるライブ
今回は初めて、ひとり勝手に「再会」と名付けた
あの“人生最高の夜”から約9ヶ月
また会おう!が現実となる喜びと有難みを噛み締めて
世界でいちばん愛してるバンドの音楽を
作品No.142【2024/08/20 テーマ:さよならをいう前に】
※半角丸括弧内はルビです。
いつも、起きるとあなたはいない。私の隣は蛻(もぬけ)の殻で、冷たさが肌を伝う。
もう、慣れてしまいたいのに。
ありふれた別れの言葉さえ、私はあなたに言うことができない。
さよならを言う前に、あなたはいつもここにいない。
朝ごはんを食べる。
見た目を整え、寝床を掃除し、辺りを確認してから、外に出る。
奴を見守るために。
茂みの中を進む。
奥へ、奥へ。
奴の住む湖を目指して。
奴が守る、湖を目指して。
我は、その昔、湖を守る蛟だった。
湖と、空と、湖の街を守るのが、かつての私の仕事だった。
土地を見守るのが、我ら土地神の勤め。
土地にできた街を慈しむのが、我ら守神の勤め。
たとえその土地の水が枯れて、戦争に巻き込まれて、ほぼ滅びた同然だったとしても、そこに住む住人が一人でもいるならば、我はそれを慈しむ。
ここに住んでいた住人は、かつて街で育った若者によって、立ち退きを依頼された。
かつての街は、夢を追って街を出た若者によって、滅びた。
久しぶりに街へ現れたその人は、人の命を守ろうとする、清濁を飲み込んだ強い大人に成長していた。
気持ちは痛いほど分かった。
外敵に屠られるくらいなら、いっそ自分の手で。
住む人々を侵略の欲に晒すくらいなら、いっそ脱出を。
街の人々は、痛いほどのその気持ちを汲んで、この街を去ることを決めた。
我も、奴らにさよならを言う覚悟を決めた。
だから、奴らの行動は青天の霹靂だった。
奴らはさよならを言う前に、社を立て始めたのだ。
枯れた湖の望める山中の平地に、我の社を。
さよならを言う前に。
奴らはこう言った。
“私たちの街の蛟の神様、青空を孕んだイルカの蛟様、どうかこの土地を見守ってください。それから、私たちのために辛い選択を迫られたあの子を、どうか、どうか最後まで守ってやってください”
矮小な人間らしい、愚かな戯けごとだ。
貴様らに言われなくとも、この地脈で生きる私はここから離れられぬ。どうなろうと土地を見守るつもりであったわ。
…だが、奴らの行動に、我の内側からどうしようもなく熱いものが込み上げてきたのも、また事実だった。
我は今も、社に住んでいる。
我は今も、変わり果てた湖の街へ通っている。
我の偶像と共に、一人でこの地を見守る、奴の顔を見に。
人間とは、なんとも理解し難く、哀れな生き物なのだろう。
我の偶像を眺めながら、空を観る奴を見るたびに、我は言いようのない切なさと温かさに襲われる。
今日も奴は生きているだろうか。
空をヒレで打つ。
我は急いでいた。奴の顔を見るために。
今日の空は、濁って荒れていた。
さよならを言う前に。
今日のお題を見た時 「嘘だ〜」と思わず笑いが出た。
まさにその時、私がこの状況だったから。
数十年前「苦しい時も病める時も…」でしたっけ?
とにかく、その時誓いあった相手に「さよなら」じゃなく「サ•ヨ•ナ•ラ!」と言うのを今夜決行しようとしていたのです。
最近久々の大喧嘩をしました。
その後から考え続けました。
人生一度きりだ…
子育ても終了した…
アホだと言われようと、世間知らずと言われようと、1人きままに暮らしたいと。
この数日間、頭の中でソロバンを弾き、どうにか生きていけるだろう…
「よし 言うぞ!」
そこに配偶者帰宅。
何故かお菓子のお土産…
いつも通りに夕飯を食べ、晩酌をし、いびきをかいている。
何で 何でよ〜〜〜
結局 本気じゃない決意は決行できないようです。
「さよならを言う前に」は未来もあると言う事…ですか…ね。
「さよならを言う前に」
さよならを言う前に、君とたわいもない話をして笑い合いたいなと僕は思った。
明日、
この街を離れる
すべてを捨てて…という
ドラマチックなものはない
この先、
どうなるのだろうと
不安だらけのリスタート
『さよならを言う前に』
これまでのことを
あれこれと思い出す
さよならしか
言わないクセに
まー
さよならを言う前に、
ありがとう、を言いたい
さよならを言う前に、
ごめんなさい、を言いたい
さよならを言う前に、
私の思いを伝えたい。
あなたに、
愛してる、と言いたかった。
帰り際、ぎゅってして欲しいなって
いつも思ってるよ。
友達同士だし、普通かもしれないけど
意識してしまえばそんなこと言えるわけなんてなくて。
そもそもそんなキャラではないし、
あなたは別の女の子が好きなんでしょ。
私に1番に相談しに来てくれたこと、
嬉しかったけど。ね、
さよならを言う前に
#5
ありがとう、と
伝えたかっただけなのに
それすら叶わなくて
行き場をなくした手を
どうしたらいいのか分からなくて
それでも思い出すのは
いつもいつも笑顔で
だから私も笑うしかないじゃない
#さよならを言う前に
さよならを言う前に。
好きだった。ずっとずっと憧れてました。
叶わないと、わかってはいました。
それでも、目が追いかけてしまう。
うっとり見てしまう。
けど、心が辛い。このままでは前に進めない。
だから、前に踏み出すためにさよならはいいません。
あえて言わせてもらえるなら。
「ありがとう。」たくさんたくさんのありがとうを。
さよならを言う前に
君を強く抱き締める
名残惜しくて
このまま連れ去ってしまいたくて
顔を見なくたって
君が泣いているのがわかる
別れたら
もう会えないかもしれないから
たくさんたくさん
話をした
肌を重ねて愛し合った
こんなに思い出を作っても
まだまだ名残惜しい
さよなら、言わない。
また会う人には、「そんじゃ、またね」でしょう。
もう会わないなって人とはせめてフェードアウトするし、会えない人には感謝の言葉。
外国語と違って、日本語で「さようなら」は定番の決まり文句じゃない。
さよならを言う前に
本当は伝えたかったんだ
春の桜のように
夏の花火のように
秋の夜風のように
冬の白い息のように
君と過ごした時間がどれだけ彩られているかを
さよならを言う前に
さよなら
心に決めたさよなら どうしようも出来ないさよなら
人 モノ 環境
さよならの対象は 人それぞれ 場面はたくさん
寂しくて苦しい方がさよならには多いかな…
でもまた 会おうねの楽しいさよならだってある
さよならを言う場面がもし今は辛くても いつか思い出になりますように!
さよならを言う前に
そこに至った経緯がある。
何も言わなくていい。
無言もコミュニケーションの1つだ。
さよならって言葉私は好きじゃない
なぜかわからないけど永遠に会えない気がするから
だから私は君との別れには「またね」を選ぶよ
また会おうねってね
《さよならを言う前に》
起立 礼 着席 日直より明日の時間割 各教科係より宿題及び準備物等伝達 今日の反省タイム 担任の先生より連絡事項等 起立 礼
さよならを言う前に、お香を焚きなさいテメェのな!!
さよならを言う前に
人を助けたいと思ったその時に体が動くなんて嘘だと思っていた。
気がついたら僕は車とぶつかって吹き飛ばされていた。
周囲がザワつく音と僕の名前を呼ぶ声が聞こえる。
君は無事そうだ。よかった。
悲しそうな顔をしないでくれ。これが本望だ。
自分の命に変えても君を助けたい。
本能的に動けて良かった...
でもこれはちょっとまずいかも...
意識が薄れてきた。
瞼が重くなってくる。寝たくないなあ。
痛みを感じていたはずの体が痛くなくなってくる。
あー...最後に伝えなきゃ...
「し...あわ...せ...に......」
格好つけて言いたかったセリフ。
恥ずかしくてずっと伝えきれずにいたセリフ。
ごめんね。さよなら。
抗っていた瞼の重みに流され目を閉じた。
語り部シルヴァ