『この道の先に』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
いつもは真っ直ぐ通り過ぎる少し寂れた郵便局のある角を初めて曲がった。寄り道しないようにと口酸っぱく言い聞かせてくる大人達の声を思考の外に追いやって、小さく確実に歩みを進めながら塾の重たい教材の入ったカバンの紐をぎゅっと握りしめる。
ドキドキと胸が高鳴るのは見慣れない景色のせいかイケナイことをしている自覚があるからか。どちらも、かもしれない。
郵便局の角を曲がって直ぐに住宅地に入った道は長らく一本道だが、次に曲がり角が来たら、分かれ道が来たら、どちらに行こうか。そう考えるだけでワクワクする。
気持ちの高揚に釣られるように段々と歩調を上げながら進んだ先、漸く見えた曲がり角は残念ながら右しか選択肢がなかったけれど。それでも曲がった先に見えるだろう新たな見知らぬ景色への期待を胸に大きく足を踏み出した。僕の冒険はこれからだ!
「あら。うちに用かしら?それとも迷子?」
大きな勇気で始まった僕の小さな冒険は、突き当たりに住む斎藤さんの言葉で静かに幕を閉じた。
/この道の先に
歩く靴先に導かれるまま、藪を縫って歩いてきた。ここがどこかも知らないが、低く飛んでくちょうちょを追いかけ、昨日は左に歩いたし、今日は駆け抜ける風と一緒に右へ走った。ここかどこかなど、知る気もなかった。
草木に擦れた腕の傷、小石に転んだ膝の傷。懐かしさを痕にして、忘れてしまった痛みは寝た子のままに。どこへいけばいいかなど、わかるはずもなく。
暮れる夕日を前にして、途方に暮れて足を止め、うつむいた目が涙に歪む。すっかりくたびれた靴紐が、可哀想にもほどけていたから、しゃがみこんで直してやった。
ぴったりと、この足に添う汚れたこの靴。
立ち上がって、振り返ったのは初めてだった。黄金色にそよぐ草波に、どこからきたのかなんて、もう分からない。それほど遠くへきたのだと。
いびつに細く続いてきた足跡が、先を求めて道になる。その先頭で、今夜はあの明るい星を目指すのだと、また藪の中へ、私は足を踏み出した。
【この道の先に】
在宅勤務って私にとって良いのか悪いのか
この道の先にあるのは肥満だ
いったい何日外出してない?
『道』
果てしなく続く道。
この先に明確なゴールはあるのだろうか。
…きっとない。
分からないまま、ただ進んでいく。
真っ直ぐな道じゃないその道を、
何回も分かれ道に遭遇してたまに
こっちでよかったのか不安になる。
いつかこの道の突き当たりがあったとき、悔いが無いようにいられているといい。
お題:《この道の先に》
ー この道の先に ー
この坂を越えたら君に会える。
私は学校へ行く際毎回そう思ってしまう。どうしようもないほどに大好きな彼女に会うためであれば坂など軽いと思えてしまう。
私は「友人の女」である彼女に恋をし、会うことを願いながらこの坂を毎朝登るのだ。私の胸は毎度チクリと痛む。だが、それでもこの思いは留まることなど出来ない。
人は愛の前では無力である。
私は時々後悔する。
友人と彼女との縁を繋ぐ手伝いをしたことについてだ。そして、後悔してすぐ後悔したことを後悔するのだ。私は友人と彼女が別れれば良いと思ってしまう。だが同時に別れず今のまま幸せに暮らして欲しいとも思ってしまう。
私の心は矛盾を抱えたまま、結論のつかぬ道をぐるぐると回り続けている。
ぐるぐる、ぐるぐる。
馬鹿みたいに、自身のしっぽを追う犬みたいに、私はいつまでも迷い続けている。
人は非合理的である。
生物としての考えを優先するのならば、友人の女であろうと奪い取ってしまえばいいのだ。
そして彼の目の前で彼女の体を心を奪ってしまえばいいのだ。
生物界で見てしまえばそんなこと、些細なことである。よくあることであるのに何故か人間はそんなことが出来ないのだ。
人間は実に馬鹿である。
私も同じ馬鹿である。
私が歩く道の先は真っ暗で何も見えない
でも、あなたはきっと一筋の光になってくれる。
私を暗闇から連れ出してくれる
スーパーヒーローなんだ。
「どうして?」
ぱちくり、と音がしそうなほど大きな目を瞬かせて、少女は少年に問うた。
「だから、だめなんだ。僕と君はもう一緒にはいられないんだよ。」
少年の家は裕福な中流階級の家庭だった。つい先日までは。
よくある話だ。父親の事業が失敗し、本人はそのまま首を吊ってしまった。
母親はショックで倒れ、生活はままならない。
少年は学校を辞め、親戚の工場へ奉公に出なければならなくなった。
それだけの、陳腐なよくある話だった。
「わからないわ。お家が近所じゃなくなっても、学校で会えなくなっても、会いに来たらいいのに。私だって会いに行くわ」
お馬鹿さんねえ。そういって無邪気に笑う顔が眩しい。
苦労なんてなんにも知らない顔だった。
それが可愛くて、愛しくて、憎らしい。
少女の家も裕福な家庭だ。学校にも通っていない、格の違う家の男に会うなど許されるはずもなかった。
「会うことは許されない。君が幸せになるためだよ。そして僕が幸せになるためだ」
なおも拒否をする少年に、わからずやね、と言わんばかりに少女は鼻を鳴らした。
「あなたが私に会えなくて幸せになることなんてありえないわ。ねえ、一言助けてって言えばいいの。あなたの幸せはどこにあるの?正直に答えないと許さないわ」
少女がいたずらっぽく尋ねる。
少年は一度くしゃりと顔を歪ませ、しかしそのまま無理やりに笑ってみせた。
この子の夢が、このまま覚めなければいいのに。
少なくとも、今だけは。
「―――それは君とゆく、この道の、先に」
「妄想癖」
君とふたりで歩く
この道の先には
何があるのだろう
何も無いまま永遠と道が続いているのなら
ふたりの時間が永遠と続くのなら
何を話そうか
何を覚えようか
考えた時には
もう家だった
この道の先に
どのくらい続いているものなのか?
みなさんの想像を聞いてみたい。
私は果てしなくまっすぐな道。
行き止まりはどこかはわからない。
感覚って人それぞれなんだよね。
面白い!!
石畳に革靴の音が響く。待ち侘びた帰路だというのに胸が沈むのは、同居している女が昨夜くだらない提案をしたせいだ。
明日から貴方が帰ってきたらハグで出迎えるから。
提案より宣言に近かったかと思い直す。人はハグをするとストレスが軽減されるらしい噂を聞いたの、と彼女が少し照れくさそうに笑いながら言っていた。俺には似つかわしくないほど甘ったるいその会話が脳裏を掠めただけで足が重くなる。
拒絶するのは簡単だ。しかし、あの細い体を突き放すことを考えると気が引ける。そう簡単に人間の骨が折れたりはしないと頭でわかってはいるが、それでも彼女を見るとあっさり壊れてしまいそうで心臓が縮み上がるのだ。
受け入れるのだって簡単だが、そこには恥と一言で言い切れない感情が居座っている。男としてのプライド、となんとも胡散臭い単語を当てはめても合点が行かない。
こうしてぐずぐず考えながらも、寄り道をする気にもなれずに家へ向かって靴音は続く。自分が思っているより俺は彼女に手綱を握られているのかもしれないと自嘲しながら、限りなく瑣末で俺には眩しくて堪らない幸福を目指した。
『この道の先に』
お題《この道の先に》
夢の続きが待っている。
忘れられない夢をみよう。
どんなアトラクションより面白い夢は、自分でしか見られないんだよ。
この道の先に
この道の先には幸せがある?
今は信じれるけど、
もうちょっとしたら信じれないよ。
幸せなんてこない。
20年近く待ってるのに。
いつになったら幸せはくるんだ?
細い道から始まって
何本も枝分かれした道を通ってきた
時には地に落ちたり
風に飛ばされ
振り出しに戻ることもあった
枯れそうになったり
踏まれて
心、折れたり
そこからまた逆戻りして
枝の先へ先へと進んでった
嬉しいことも
辛いことも
楽しいことも
悲しいこともあった
それでも進んできた
もうすぐ青々茂る葉に辿り着く
もうすぐ輝く花となる……
「──おめでとう」
祝福の声と共に
私はまた
枝分かれした道を歩いていくんだ──
(2023.07.03/この道の先に)
【この道の先に】
目の前に広がる道。
1歩1歩、歩く。時には走ってみたり。
曲がってたり、真っ直ぐだったり。
たまには違う道と交わってみたり。
ずっと続いていく道。
必死に歩くけど、先は見えなくて。
たまには立ち止まって振り返ってみたり。
でもそれでも、また、1歩1歩踏みしめて。
この道の先にあるのは、そう、僕の家だ。小さな家だけど、とても心地良い。リビングにキッチンにベッドルーム。
キッチンには美味しいスープにパン、リビングにはお気に入りのレコード、ベッドルームには、眠る前に読むミステリー小説。僕の家はとても、小さい。
見る人皆、「素敵な家だね」と。
だけど………
辿り着けない
………
この道の先に何があるのだろうか?
私には目標がある。
でもそれには終わりがない。
でも分かっている、最大の目的は人生を楽しむことである。
終わりは死ぬときだ。
『日進月歩』テーマ:この道の先に
一歩進む。それがどれほど勇気がいることか。知らない者はいないだろう。
二歩進む。それがどれほど労力がいることか。知らない者はいないだろう。
三歩進む。そこまでくればもう大丈夫。あとはただひたすらに足を動かすだけだ。
一歩、二歩、三歩。これを繰り返していけば、どこにでもいける。だから、その最初の一歩を踏み出そう。
私も一緒に歩くから。
この道の先に
何か得られるものがあるとは思えない
むしろ無駄足な気がしてならない
とはいえ引き返すわけにもいかず
別の道を探すのも気が重い
ずるずると惰性で歩いている
もっと楽ができる道はないのかな
誰か車で送ってくれないかな
この道の先に
いつも通るこの道、ここの角を曲がると、何処に行くのだろう…気になるけれど、なかなか進めない…新しい景色を思い浮かべながら、今日も通り過ぎる…
昔誰かが言っていたんだ。
右足と左足、交互に出せば、出し続ければ、どこだって好きな場所に行けるんだ、と。
ねぇ、君はどこに行きたいんだい?
「この道の先に」