ー この道の先に ー
この坂を越えたら君に会える。
私は学校へ行く際毎回そう思ってしまう。どうしようもないほどに大好きな彼女に会うためであれば坂など軽いと思えてしまう。
私は「友人の女」である彼女に恋をし、会うことを願いながらこの坂を毎朝登るのだ。私の胸は毎度チクリと痛む。だが、それでもこの思いは留まることなど出来ない。
人は愛の前では無力である。
私は時々後悔する。
友人と彼女との縁を繋ぐ手伝いをしたことについてだ。そして、後悔してすぐ後悔したことを後悔するのだ。私は友人と彼女が別れれば良いと思ってしまう。だが同時に別れず今のまま幸せに暮らして欲しいとも思ってしまう。
私の心は矛盾を抱えたまま、結論のつかぬ道をぐるぐると回り続けている。
ぐるぐる、ぐるぐる。
馬鹿みたいに、自身のしっぽを追う犬みたいに、私はいつまでも迷い続けている。
人は非合理的である。
生物としての考えを優先するのならば、友人の女であろうと奪い取ってしまえばいいのだ。
そして彼の目の前で彼女の体を心を奪ってしまえばいいのだ。
生物界で見てしまえばそんなこと、些細なことである。よくあることであるのに何故か人間はそんなことが出来ないのだ。
人間は実に馬鹿である。
私も同じ馬鹿である。
7/3/2023, 3:30:33 PM