『この道の先に』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
私が歩く道の先は真っ暗で何も見えない
でも、あなたはきっと一筋の光になってくれる。
私を暗闇から連れ出してくれる
スーパーヒーローなんだ。
「どうして?」
ぱちくり、と音がしそうなほど大きな目を瞬かせて、少女は少年に問うた。
「だから、だめなんだ。僕と君はもう一緒にはいられないんだよ。」
少年の家は裕福な中流階級の家庭だった。つい先日までは。
よくある話だ。父親の事業が失敗し、本人はそのまま首を吊ってしまった。
母親はショックで倒れ、生活はままならない。
少年は学校を辞め、親戚の工場へ奉公に出なければならなくなった。
それだけの、陳腐なよくある話だった。
「わからないわ。お家が近所じゃなくなっても、学校で会えなくなっても、会いに来たらいいのに。私だって会いに行くわ」
お馬鹿さんねえ。そういって無邪気に笑う顔が眩しい。
苦労なんてなんにも知らない顔だった。
それが可愛くて、愛しくて、憎らしい。
少女の家も裕福な家庭だ。学校にも通っていない、格の違う家の男に会うなど許されるはずもなかった。
「会うことは許されない。君が幸せになるためだよ。そして僕が幸せになるためだ」
なおも拒否をする少年に、わからずやね、と言わんばかりに少女は鼻を鳴らした。
「あなたが私に会えなくて幸せになることなんてありえないわ。ねえ、一言助けてって言えばいいの。あなたの幸せはどこにあるの?正直に答えないと許さないわ」
少女がいたずらっぽく尋ねる。
少年は一度くしゃりと顔を歪ませ、しかしそのまま無理やりに笑ってみせた。
この子の夢が、このまま覚めなければいいのに。
少なくとも、今だけは。
「―――それは君とゆく、この道の、先に」
「妄想癖」
君とふたりで歩く
この道の先には
何があるのだろう
何も無いまま永遠と道が続いているのなら
ふたりの時間が永遠と続くのなら
何を話そうか
何を覚えようか
考えた時には
もう家だった
石畳に革靴の音が響く。待ち侘びた帰路だというのに胸が沈むのは、同居している女が昨夜くだらない提案をしたせいだ。
明日から貴方が帰ってきたらハグで出迎えるから。
提案より宣言に近かったかと思い直す。人はハグをするとストレスが軽減されるらしい噂を聞いたの、と彼女が少し照れくさそうに笑いながら言っていた。俺には似つかわしくないほど甘ったるいその会話が脳裏を掠めただけで足が重くなる。
拒絶するのは簡単だ。しかし、あの細い体を突き放すことを考えると気が引ける。そう簡単に人間の骨が折れたりはしないと頭でわかってはいるが、それでも彼女を見るとあっさり壊れてしまいそうで心臓が縮み上がるのだ。
受け入れるのだって簡単だが、そこには恥と一言で言い切れない感情が居座っている。男としてのプライド、となんとも胡散臭い単語を当てはめても合点が行かない。
こうしてぐずぐず考えながらも、寄り道をする気にもなれずに家へ向かって靴音は続く。自分が思っているより俺は彼女に手綱を握られているのかもしれないと自嘲しながら、限りなく瑣末で俺には眩しくて堪らない幸福を目指した。
『この道の先に』
お題《この道の先に》
夢の続きが待っている。
忘れられない夢をみよう。
どんなアトラクションより面白い夢は、自分でしか見られないんだよ。
この道の先に
この道の先には幸せがある?
今は信じれるけど、
もうちょっとしたら信じれないよ。
幸せなんてこない。
20年近く待ってるのに。
いつになったら幸せはくるんだ?
細い道から始まって
何本も枝分かれした道を通ってきた
時には地に落ちたり
風に飛ばされ
振り出しに戻ることもあった
枯れそうになったり
踏まれて
心、折れたり
そこからまた逆戻りして
枝の先へ先へと進んでった
嬉しいことも
辛いことも
楽しいことも
悲しいこともあった
それでも進んできた
もうすぐ青々茂る葉に辿り着く
もうすぐ輝く花となる……
「──おめでとう」
祝福の声と共に
私はまた
枝分かれした道を歩いていくんだ──
(2023.07.03/この道の先に)
【この道の先に】
目の前に広がる道。
1歩1歩、歩く。時には走ってみたり。
曲がってたり、真っ直ぐだったり。
たまには違う道と交わってみたり。
ずっと続いていく道。
必死に歩くけど、先は見えなくて。
たまには立ち止まって振り返ってみたり。
でもそれでも、また、1歩1歩踏みしめて。
この道の先にあるのは、そう、僕の家だ。小さな家だけど、とても心地良い。リビングにキッチンにベッドルーム。
キッチンには美味しいスープにパン、リビングにはお気に入りのレコード、ベッドルームには、眠る前に読むミステリー小説。僕の家はとても、小さい。
見る人皆、「素敵な家だね」と。
だけど………
辿り着けない
………
この道の先に何があるのだろうか?
私には目標がある。
でもそれには終わりがない。
でも分かっている、最大の目的は人生を楽しむことである。
終わりは死ぬときだ。
『日進月歩』テーマ:この道の先に
一歩進む。それがどれほど勇気がいることか。知らない者はいないだろう。
二歩進む。それがどれほど労力がいることか。知らない者はいないだろう。
三歩進む。そこまでくればもう大丈夫。あとはただひたすらに足を動かすだけだ。
一歩、二歩、三歩。これを繰り返していけば、どこにでもいける。だから、その最初の一歩を踏み出そう。
私も一緒に歩くから。
この道の先に
何か得られるものがあるとは思えない
むしろ無駄足な気がしてならない
とはいえ引き返すわけにもいかず
別の道を探すのも気が重い
ずるずると惰性で歩いている
もっと楽ができる道はないのかな
誰か車で送ってくれないかな
この道の先に
いつも通るこの道、ここの角を曲がると、何処に行くのだろう…気になるけれど、なかなか進めない…新しい景色を思い浮かべながら、今日も通り過ぎる…
昔誰かが言っていたんだ。
右足と左足、交互に出せば、出し続ければ、どこだって好きな場所に行けるんだ、と。
ねぇ、君はどこに行きたいんだい?
「この道の先に」
today's topic
- この道の先に -
長年、私に薬を処方してくれている薬剤師が言った 。
『 あなたを見てきて思ったの。あなたは内向的で、ストレスを溜め込みやすくて、環境の変化に弱い。でもいつも、前を向こうと努力してる。変えなきゃって、努力してる。いつになるかわからないしこれからつらい事もたくさん増えてくるけど、あなたも、あなたを取り巻く環境も、絶対いい方向にいく。そんな気がする。薬剤師の分際でごめんね 。』
私のために泣いてくれた薬剤師のメガネのおばちゃん 。
私は自分でこの先は暗闇と思っていたけど、長年見てくれてる第三者の赤の他人に、こんなふうに思われてると思わなかった 。
だって、この人には自分のありのままを話していた。
《他人なのに》。彼女は、私の身内でもなんでもないのに。
でも《他人だから》自分の本音も話せて、状況や立場を話せる。
ただ、こんなふうに思われてるとはしらない私は、この真っ暗な道の先に…。光でもなく、虹でもなく、炎が見えた。
《幸せになりたい。成長したところを見せてあげたい。》
そう強く思った 。
「この道の先に」
いのちの道を歩む旅人よ
平坦に見える道は 罠を隠し
親切に見える老婆は おまえを喰らい
美しく見える花は 毒蛾の化身であり
無垢に見える栗鼠は お前を騙す
険しく見える山は 両手を拡げ
そっけなく見える老人は おまえを温め
ひっそりと生える草は 薬となり
雄叫びをあげる獣は お前を護る
人の世においては
尊敬を求めない者こそ 敬われ
美醜を求めない者こそ 美しく
競争を求めない者こそ 勝利し
呪詛ではなく 祝福を口にし
与えられるより 与えることを望む
自分のなんたるかを知り
他者を赦し いのちを尊ぶ者が
本当のつよさを手に入れる。
この道の先に
誰がいようと
何があろうと
自分が何ができるのか
自分が何を抱えるのか
何を求めて 何を置くのか
もしも はた、と戸惑い
その足が止まってしまった時
底力となって
私の一歩を歩みだす
ちからとなってくれるのは
私の軌跡
「この道の先に」
#この道の先に
もう何もしたくない。
誰もいないところに行きたい。
ただただ自然豊かなところに行きたい。
その一心で電車に飛び乗って、一日中乗り継ぎ続けた終点。山の中のこじんまりとした駅に着いた。無人駅。かろうじて設置されている改札機はICカードに対応していない。これでは無賃乗車になるのでは。どうやって運賃を支払えば良いのだろう。そう思うけれど周りには木しかなくて、人らしき影は見当たらない。
ごめんなさい、と呟いて駅舎を出る。時刻は午後7時半。夏とはいえ日没の時刻は過ぎていて、まだかろうじて山際は明るいが、じきに暗くなる。明るいうちに、と集落を目指して歩くことにしたけれど、こんな田舎では集落に着いたところでもう店は閉まっているだろう。最後の乗り換え駅のコンビニでおにぎりを買っておいて良かったと思う。
海苔をパリパリと言わせながら、駅から伸びる小道に沿って歩く。道は少し傷んでいるとはいえ舗装されているので歩きやすい。1日の大半を座席に腰掛けて過ごしていたものだから、歩くたびに感じる衝撃が快い。足は前へ前へと進む。あとどれくらいで集落に着くだろうか。
そんな期待感でワクワクしていたのも完全に日が暮れるまでのこと。ぼんやり明るかった山際まで真っ暗になり、空には無数の星が瞬いている。だからと言って道を明るく照らしてくれるわけではない。誰からの連絡も受け取りたくなくて電源を切っていたスマートフォンを起動する。メールの通知は無視してライトを付け、ついでにマップを起動する。圏外ではない。だがGPSがバグっているようで、立ち止まっているのに己を示す青丸は一向に場所を定める気配はない。駅名から現在地を調べようとするが、疲れ切った頭は降りた駅がなんという名前なのか早々に忘れてしまった。
諦めて歩き出す。舗装された道がある以上、集落には繋がっているだろう。どこかに民家はあるはずだ。電波も一応入る。ただ、自分のいる場所がわからない。
(遭難)
嫌な2文字が頭をよぎる。道が続いている以上、遭難ではない。遭難ではないはずだが、歩いても歩いても一向に建物は見えない。見えるのは木と星ばかり。焦りが募る。思わず走り出したが、毎日デスクワークの日々だからか1分も連続して走れない。息が切れて立ち止まる。荒い息のままヨロヨロと歩き出す。一刻も早く街灯の光が見たい。己のスマホ以外の人工的な光が見たい。しかし、歩けど歩けど一向に建物は見えない。この道の先に本当に集落はあるのか。自分は山に向かって歩いてしまっているのではないか。それとも狐か狸に化かされて同じところでひたすら足踏みしているのではないか。じんわりと目尻が湿ってくる。どうしたら良いのだろう。
そう思っている時だった。ぼんやりと黄色い光が見える。
「へ?」
ぼんやりとした光はふわふわと浮遊したり、時に俊敏に動きながら、付いては消えて、付いては消えてを繰り返す。光に吸い寄せられるように駆け寄ると、一斉に光は消えてしまった。
「え?」
呆然として立ち尽くす。再び荒くなった呼吸をどうにか沈めよう深呼吸を繰り返す。そのうち光がまた点滅し始めた。呼吸音が落ち着いたからか、耳を澄ますとサラサラという水の音が聞こえた。
「川……蛍……」
道の先にあったのは蛍の群生地だった。清流のせせらぎに合わせて踊るかのように、無数の蛍が弧を描く。街中では絶対に見ることができない光景。まだこんな場所が日本にもあるのか、と息を呑む。そして座り込んだ。時刻は午後9時。1時間半も歩いた足は重い。もう歩きたくない。ここで丸一晩、蛍を見て過ごそうか。
そんなことを思ってぼんやりしていると、遠くからエンジンの音が聞こえた。数秒後には背後からヘッドライトで照らされる。
「はい!ここが蛍狩りの場所です!今の時期は圧巻ですよ〜無数の蛍が飛び交います!……で、何してるのあなた」
運転手の人が訝しむように、それでいて心配するかのように顔を覗き込んできた。バンから降りてきた乗客からも不思議そうな視線を感じる。目の前が歪む。
「ま……迷子、です」
震える声で答えるとあまりの情けなさに涙がこぼれ落ちる。運転手は驚いたような呆れたような声でアラァ、と行ったあと「泣きなさんな、バンにはあと一人乗れるけ、一緒に宿へ行こう、ねぇ?」と声をかけてくれる。うんうんと頷けば、安心したように運転手は息を吐いた。
「この道の先に行かんでよかったよ。この奥は山で、墓場しかないかんね」
この道の先に
何もなくとも
進める限りは行くしかないのだ
人類よ
並走してきた多くの種は
脱落し
いつか私たちも歩みを止めるのだろう
その時が来るまで
この道の先に
たとえ何もなくとも
『この道の先に』
家出をした。
両親から入学祝いに買って貰ったスーツケースに最低限の荷物をつめて、履きなれたローファーを履いて深夜2時、家を出た。
私の両親はとても優秀で父は教授、母は銀行員だ。だからなのか、成績にとても厳しい。
学年3位以内に入らないと長時間説教をされる。
学年3位以内に入らないと約立たずだと罵られる。
学年3位以内に入らないともっと努力しろと怒鳴られる。
でも。
学年3位以内に入ると当たり前だと言われる。
学年3位以内に入るとやっと役に立ったなと言われる。
学年3位以内に入るとお前の価値はこれだけだと言われる。
そんな暮らしはとてもつらかった。
家を出よう。
ある日ふとそう思った。いや、何回も思ったことがあるけれど、ここまで強く思ったのは初めてだった。
多分、限界が来ていたのだと思う。
だから私はみんなが寝静まった深夜2時、家を出た。
外は真っ暗で道の先もよく見えない。
歩き慣れた道だけど、何かが吹っ切れたからなのか、何処か違う気がした。
この道の先に何が待っているかはわからない。
だけど、縛られる人生はもう飽きた。
私の人生は、私の道は、誰かに縛られていいものじゃない。
強くそう思った。
「よし、行こっ」
私はそう呟いて歩き出した。
この道の先に
この道の先に何が待ち受けているのかなんて、とうの昔に知っていた。始まる前から決まっていたことだ。だから後悔なんてしていないし、傷付いてもいない。これで終わり。終焉。とどのつまり、さよならだ。