『この場所で』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「この場所で」
貴方と出会ったのも、貴方と別れたのも、
この、シオンの花が咲いた、時計台の下。
民衆の貴方。城に住む私。
私がよくても、周りは許してくれなかった。
平等な国から、王に支配されるようになったこの国。
時代の壁を破ることは、私にはできなかった。
これ以上、関係を続ければ、貴方の命が危ない。
私たちは、時計台の下で別れを交わした。
いつか、貴方と絶対に会う。
年をとってしわくちゃになっても、
この国が無くなっても、
私たちの愛は変わらない。私たちの愛は無くならない。
#108 この場所で
置かれた場所で花咲けばいい、
簡単じゃないけど単純だった。
この場所で
「父上」
『どうした?息子よ』
「今日から教師殿が古語を教えてくれるんです」
『そうか、彼奴の事はわしもよく知っておる。きっと分かりやすく教えるであろう。確と学べよ』
「はい!…あの、父上」
『ん?』
「古語は大変難解だと聞きます。もし、分からないところがあったら、聞きに来てもよろしいですか?」
『ううむ。教えてやりたいがな…』
「やはり駄目でしょうか」
『ああいや、なに。恥ずかしい話ではあるのだが、私は古語が読めんのだ』
「え?」
『昔は今ほど古語の研究が盛んではなくてな、読めない文字も多く、学ぼうとする者もいなかったのだよ』
「そうだったんですか」
『ああ、今から学ぼうにも多忙ゆえままならん。それに、臣下達からも反対されてなぁ。すまんな』
「いえ!」
[それではここで一旦休憩としましょうか]
「はい」
[ああ、そうだ。殿下]
「何ですか?」
[無礼を承知で申し上げますが、絶対に陛下に古語を教えないでください]
「どうしてですか?」
[…どうしても、です。どうかお願いします]
「あ、頭を上げてください!分かりましたから!」
[ありがとうございます]
「父上!綺麗な花畑ですね!城にこんな場所があったなんて!知りませんでした!」
『ははは、はしゃぎ過ぎて転ぶなよ』
「もうそんな子供じゃありません!」
『そうだな、本当に大きくなった』
「…父上?これは、一体?」
『ん?ああ、それは墓だよ。わしの親友のな』
「父上の、親友の…?」
『おお、そうだ!』
「は、はい?」
『お前にはこの墓の文字が読めるか?どうやら古語で書いてあるようなのだが』
「…ご、ごめんなさい父上。読めません。その、難しくて」
『そうか、やはり古語とは難解なのだな。今までもこれを読めた奴はおらんのだ』
「父上のご親友は、どのような人だったのですか?」
『博識で、よく頭の回る奴でな。最後の最後までわしについて来てくれた。一番の忠臣だよ』
「そう、だったんですね」
『奴の遺言でな。一日に一度、わしが幸せだと感じた事を、この場所でこうして報告しておるのだ』
「父上にとって、大事な友人だったんですね」
『ああ。…病で呆気なく死におってからに』
「…」
帰る間際に振り返る。
墓に刻まれた文字を見る。
Everything you tell me is what you took from me before.
《キャスト》
・王様
大規模な革命を起こし王になった。
・王子様
教えないことにした。
・教師
全てを知って何もできなかった。
《補足》
・古語
≠英語。表現の都合上こうなりました。
この場所で
生きていこうかと思っている。なんとなく。もしかしたら変わるかもしれないけれど。
都会から戻って数年の間は、あまりにつまらなすぎて、刺激のある街にまた住みたいと思っていた。いつも、どこか別の土地へ行きたいと願っていた。渇望すら感じていたこともある。何度か自分がぼんやりした存在になって、影すら薄くなっていくような気がしていた。
そしてそれもまた昔の思いになり、このつまらない土地がいいんだな、と思えてしまった。まあ、都会の人に、何もない土地だね、とか言われたら怒るけど。
こののんびりした土地で、ぼんやり生きているのが、性に合ってるのかもしれない。
「あー、眠い」
ベッドからガタンと降りると
階段を下り、
「おはよー」
家族に言うと
おはようと返ってくる
朝の準備が終わると
玄関に行って、
「行ってくるねー」
リビングからは
行ってらっしゃいと返ってくる
いつも通りの通学路ー。
つまらないなあと思っていると
いろんな道を知っている小学生の頃の友達が
言っていたことを思い出した。
「確かこっちでー、、んで、そっち」
頭の端から記憶を探っていくー。
森のような道に、虫が沢山いる飛んでいる道。
つまらなくはないけどー、、虫は苦手。
だから、タッタッと急いで走っていく。
充分走ったと思うんだけどなー、、と
思いながら走り続ける。
ずっと先に学校が見えた。
遠っ!でも遅刻は嫌!
慌ててまた、走り始める
キーンコーンカーンコーン...
チャイム音が聞こえて
焦りまくる。
着いたッ!
学校の階段をトントントンと上り
2ー3の教室へと突っ走りー。
「遅れてすみませんっ!」
ドアを勢い良く開けると同時に深く頭を下げる。
「廊下に立ってなさい!」
教師に指さされ、「はい...」と小さく頷いた。
廊下に出ると
「お前も遅刻したのかww」
クスクスと笑いながら顔を寄せる。
正体はヤンチャな陽キャ男子。
成績はイマイチだが運動神経抜群だ。
「は、はあ?あんただって遅刻したんでしょ?!」
カッとなって言い返すと
「まあな。チャイムがなって1分経たないくらいに
教室入ったのにさー、廊下に立ってろって。
もうなんなんだよ、あのおばさん教師!」
陽キャ男子もムカッとしたのか愚痴をゴネゴネと。
ぷっ。と吹き出しそうになると
「そ・ こ ・の・ 2 人 !」
教師───おばさん教師の声が教室から聞こえて
私と陽キャ男子はピンッと背筋を伸ばし、
「はっ、はいっ!」
と、返事する。
ガラガラっとドアを開けておばさん教師は
教室から顔を出し、
うるさいです。とはっきり言う。
そして私と陽キャ男子は
すみません...と言う。
それも、誰も聞こえなさそうな声で。
「今日は災難だったねー」
オレンジ色の夕焼け空が綺麗な放課後、
私と友達は朝のことを話してた
「マジそれ。いつもの通学路つまんないって思って
いつもと違う道行ったら学校に
たどり着けなくてさー」
はあ。とため息1つつくと
「じゃあさ、今日もあ・そ・こ、行く?」
友達はにやりと聞く。
「んーっ、、気分晴らしにね」
私は伸びをした。
「見て!ヘビ!そこにはクモ!」
友達は指を指す。
「えっえっ!どこどこっ?!
、、、あれ、いない、、
私虫嫌いって知ってるでしょー!
もー、びっくりしたー、、」
草だらけの道を抜け───
「着いたーっ!」
私と友達は口を揃えてバンザイする。
そこは高い崖で、
夕焼け空がとても綺麗に見えると有名な名所だ。
「あー、やっぱ気分晴らしにはこれだねー」
空をじーっと眺めながらつぶやいた。
「この場所で」
読むのお疲れ様でーす!
打つのは1時間近くかかりましたー笑
考えるのが遅すぎたんかと思いますけど...
あと、テーマは「この場所で」というより、
「いつもこの場所で」って感じですね
自国を守るため、一つ国を滅ぼします。
そのために、わたくしは一つ命を費やします。
家族、未来そのために、一つの正義を守ります。
「そうやって飛び立った某国のパイロットの遺品です。
無事に家族の元へ帰れますようにとイエスの周りに翼が彫られたペンダントトップ。
自分にとっての正義は万人にとっての正義ではないけれど、彼が一つ賭したもの、覚悟は感じるべき。どうか大切になさってください。」
蚤の市で見つけた思いが、あまりに重く美しい。それに魅せられている。
【この場所で】
Xアカウント@almooooshaにて[画像公開中✨]
かつてはたくさんの人の拠り所であった
時代と共に廃れ忘れられ
気付いたら廃墟ばかりが立ち並ぶ
時の止まったその場所は
当時の人々の自由な想像と愛で溢れて
今を生きる者らは雑草の蔓延るなか訪れる
あの頃を懐かしみ、記憶だけを頼りに
大好きなあのひとに会いに
忘れてしまった自分に会いに
『この場所で』
線路沿いの古いビルの4階に、その稽古場はあった。
「ヨガをしてみたいんですけど、誰か良い先生を知りませんか?」
返事を特に期待しない、たわいない世間話だった。
「ああ、それならいい先生を紹介できるよ」
バイト先の先輩の反応は予想に反するものだった。
お洒落な雑貨屋、古本屋、小さな劇場などが立ち並ぶ、文化的な街の一角にある古いビル。そのビルの狭い螺旋階段を4階まで一気に登り、荒い息を整え、先頭の先輩が重たい鉄のドアのノブを回す。
「ガチャ、キィ…」という重たそうな音を立ててドアが開くと、最初に目に止まったのは、年配の眼光鋭い小柄な女性だった。
きっと先生だ。
浅黒い肌に、細くてしなやかな体、圧力を感じる大きな目。ひと目見て只者ではないと思った。
次に目に飛び込んだのは、前後の壁に張られた一面の鏡。
知らない世界に迷い込んだ、アリスにでもなった気分だ。
「おはようございます。こちら見学の子です」
「朝でも夜でも、その日最初の挨拶はおはようなんだ」
先輩が教えてくれたので、私も同じように挨拶する。
続けて先輩が簡単に私を紹介した。
「そう」
先生は、ただそれだけ言って頷き、外国製の変わった香りの煙草をくゆらせた。
緊張する。
すれ違いざま、煙草の煙に混じって先生の体から白檀の匂いがした。
観察されている。
全てを見透かすような眼差し。
自信のない私は、自分が小さくなるのを感じた。
「彼女は……」
「いえ、違うと思います」
先生と先輩が何か話している。
詳しくは分からないが、なんとなく私の格好について話していることは伝わった。
その日、私は1枚の布を巻きスカートとして身に付けていた。
そんなに怪しい格好で来てしまっただろうか。
いたたまれない。
不釣り合いだろ、私。
今すぐにでも帰りたかった。
しかし先輩に紹介してもらった手前、見学だけはさせてもらう事にした。
「よかったら稽古に参加して」
先生の計らいで、私は他の生徒たちに混じって、ヨガのお稽古に参加することになった。
お稽古は体の扱い方に関する私の知りたい内容が詰まっていた。
教室に俄然興味が湧いてきた。
しかし、稽古の後半が踊りだと聞いて、絶句した。実はここはバリ舞踏の教室で、ヨガはその体作りのためにやっているとの事だった。
ヨガ教室じゃないじゃん。
バリ舞踏教室じゃん。
心の中で叫んだ。
そして踊りの稽古着を見て、二度絶句。
私のこの日の服装は、まるで踊りの稽古着を模したものだった。
私は、厚かましくも踊りの稽古に誘ってくれと催促せんばかりの格好で見学に訪れたのだった。
「せっかくそんな格好で来たなら、踊りも参加していきなよ」
先生は気さくに誘ってくれたが、私は顔から火が出るほど恥ずかしい気持ちで踊りのお稽古を辞退して、見学だけさせてもらったのだった。
その後散々迷ったものの、私は踊りのお稽古を断って、ヨガの教室だけ通うことにした。
しかし結局一年も立たずに、踊りのお稽古も始めることになり、ずるずるとその奥深さに引き込まれていった。
「踊りは恐ろしいものだよ。隠そうと思ってもその人の本性が出てしまう。ドロドロした汚いものを見せて踊りだなんて威張ってはいけない」
先生の稽古は感覚的で、形より本質を追求するものだった。
お稽古はとても厳しく、未熟な私には耐え難いほど辛かった。
いろんな経験をさせてもらったあの場所は、先生が永眠して、もうなくなってしまった。
でも、電車の窓からあの稽古場の近くを眺めるたびに、喜びと悲しみが入り混じったような懐かしい感情がよみがえってきて、きゅっと胸が締め付けられる。
さようなら友よ。
またお会いしましょう。
桜が咲く頃に、温かい季節に。
またこの場所であなたのお姿を見れる日を心待ちにしております。
ですから生きることを投げ出さずに。そうすれば何時か芽がでるのです。
生きてください。一分一秒でも長く。
さようなら友よ。
この場所で
ここから始まり、どこかで終わる。
いつの日か訪れる「別れ」で躊躇するよりも、時には進んでみたいもので。
世界へ踏み入る最初の一歩を、そっと。
【この場所で】
この場所には思い出がたくさんある。
私とあなたとの出会いはここ。
あなたと初めてデートもここ。
ここであなたとピクニックもした。
それから初めて会ったこの場所で
あなたにプロポーズをした。
教会が近くにあったからあなたとの結婚式はここで挙げた。
家族が増えてからも、ここでピクニックをした。
しかし
「また一緒にお出かけしようね。」
と言った我が子の願いは
あなたの裏切りのせいで叶わないものとなった。
この場所には思い出がたくさんある。
だからあなたをずっとここにいさせてあげる。
《この場所で》
久々に実家に帰ってきた
周りも家も何も変わっておらず懐かしさを感じた
親におつかいを頼まれスーパーに寄った
そういえばよく子どもの頃秘密基地に行っていた
久々に行きたくなり行ってみた
仲良かった友達と6人で頑張って作って
学校があった日も休みの日も必ず会っていた
懐かしいな
また“この場所で”会うことができたら……
「ご飯をちょーだい」と猫が鳴く。
「散歩の時間」と犬が急かす。
友だちへの返信はもう少ししたら。
あの人への恋文は一体、いつになるのやら。
太陽が西に傾いて
また春が近づく、冬の終わり。
窓を開ければ景色が見える。
扉を開けば世界に繋がる。
幕が開けば何が始まる?
――いつか、またいつかね。
この場所で きみの声に出会えたら
ゆっくり夢の続きを話してみたい。
自分の生まれた街、大嫌いというわけじゃないけど大人になってもこの場所でずっと生きていくと思うと寒気がする
この場所で
笙野を読んで
ド氏を読む
宿る魂の
タペストリー
*ド氏はドストエフスキーのこと。
この場所で
やさしい太陽浴びて
その光を吸い込んで
深呼吸 深呼吸
あたたかい
ありがとう
今日は風が強そうだ。
隣のビルの屋上で日除け用の暗幕がたなびいている。
長く続いていた雨も近頃は休みがちで、窓から見上げた空は薄曇りのくせに白々と明るい。たぶん外の気温は三十度近いだろう。
クーラーの効いたホテルの客室でベッドに転がりながら、そんなことを考えた。
雨季と乾季。ここに来る前は概念でしか理解できなかったことが、ようやく季節として理解できるようになってきた。梅雨が永遠にあけないような3ヶ月。慣れないがゆえの新鮮さで、毎日続く雨が妙に楽しかった。
小さい頃から雨は好きだ。雨が降ると両親が仕事をやめて帰ってくるから。人間って案外幼い頃の好き嫌いを引きずるものだな。
ここでは一年中二十度を下回らない気温も、存外私の体には合っていたようで、冬の寒さにさらされるよりはずっと調子がいい。
あぁ、なんだかお腹が空いてきた。お昼を食べに出かけなくては。ご飯だけは日本が恋しい。
静かに暮らし 静かに生き
やがて生涯を終える時は共にしましょう
#この場所で
この場所で
出会い、学び、過ごした。
お別れも、この場所なんだね。
じゃあ、再会は別の場所にしよう。
この場所は
直ぐまた、別の子たちの
居場所になるんだから。
【お題:この場所で】
約束などしなくても、
ここに来ればきみがいる。
わかっている。
もう動かない、喋らない、
腹も空かない、冷たい石の下のきみ。
わかっているけれど。
それでもきみの名を呼び、語りかけ、
好きだった珈琲を置く。
いつかこの場所で、
ふたたびきみの隣に眠れる日を待ち侘びて。