『この場所で』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
この場所で
いつも過ごすこの場所
楽しいときも嫌なことがあったときも
変わらず受け止めてくれるこの場所がとても好き。
毎日ありがとう
これからもよろしくね
この場所で
胸のつかえはそのままなのに
なぜか笑える気がしてる
あいかわらず濁っているのに
飲み干してしまえそうだ
錯覚でも歩いて行けるだろうか
とりあえず
やさしい無関心さの充満するこの
喫茶店で待ち合わせる
この場所で育って13年。
まだ見つけられていないことのほうが多いだろう。
自分は朝の通学路でのんびり歩くことが一番好きで
何も気にしなくていい無心になれる時間。
この通学路でも色々見つけたいな
【この場所で】kogi
空から幾何学模様が落ちてきた。
突然の飛来物がやって来るのはこの場所では、日所茶飯事であり、今更慌てることではない。しかし、今回の飛来物はなかなかに珍しい。
「文字の出来損ないだ」と思考の番人が思う間もなく、幾何学模様は海へと姿を消した。
文字や言葉を取り入れた海は荒れるものだが、幾何学模様の処理に困っているのか、または判定外なのか荒れる様子はない。
「本体が不調のようだな」
「私達思考系は体調に左右されるからね。言葉を紡ごうとしても解けてしまうのでしょう」
ポツリと呟いた言葉だったが、隣に立つ初代は聞き逃さなかったらしい。
相変わらず耳聡い。
「また思考の海が汚れる。って怒らないの?」
初代が意地悪そうな目をしてコチラを見てくる。
「別に」
素っ気なく返すと初代がにんまりと笑っているのが見えた。気にせず言葉を続ける。
「本体が、文章に向き合う事に意味があったように、俺がこの場所でこうしていることにも意味があった。それを知った今ではもう何とも思わんよ」
淡々と紡いだ俺の言葉に初代は
「成長したわね」
と微笑んだ。
「…思考の海が汚れてもまた本体が綺麗にするしな」
俺の言葉に初代は、一瞬きょとんとし、堰を切ったように笑いだした。
この場所でこうして他愛のない会話をする相手も戻ってきた。
どんなに無駄に見えることも、そこに意味を持たせれば無駄ではない。
初代の明るい笑い声を聞きながら、俺は穏やかな心象風景に身を委ねた。
この場所で咲けと言うなら
さっさと萎れて種になる
そうしたら
風が種になった私を運んでくれる
それをずっと繰り返す、たどり着くまで
この場所で
ふと目が覚めた、倦怠感。
それに何かに失敗したようなパッとしない思考。
…病院だ。
なんとか親戚の人に家まで送ってもらった。
病院の人も親戚の人も、みんなして暗い顔してたな。
部屋まで戻ったが、思考の霧はなかなか晴れそうにない
自分の部屋だしなにかをきっかけに戻ると思ったのに。
探索していると、
あ…これ、。なるほど……。
持っていくか。
なにがしたいか、入院する前は何をしてたのか。
考えがまとまってきた。
……
そうだ、ここだ。ここからするのが1番目立つんだ。
そうして僕の体は、宙を舞う。遺書を持って。
「ははっ…!またこの場所だ!」
この場所で
この場所で出会えた人は数多いる。なんでも話せるような子がいれば、なんとなく気に入らない子もいた。
この場所で何人もの人との別れがあった。頼れる人や憧れの人。
この場所で色々な思い出が生まれた。内容も思い出せないようなたわいのない会話や一致団結した思い出。
言葉では言い表しきれない様々なことがこの場所であった。
私たちは今日、この学校を卒業します。
例えば燃えるような夕焼け空。
例えば萎れて散った一輪挿しのガーベラ。
例えば永遠に続くかのように錯覚する踏切の警告音。
ひどく哀しくなる瞬間が日常生活の中に何度もある。
そんな時、私は自分がどうしようもなく独りぼっちだと感じる。
東京にはこんなに人が沢山いるのに、私はどこまでも孤独だ。
「なんか、寂しいな」
会社帰りに何気なく寄ったコンビニの駐車場で、缶コーヒーを飲みながら、その人は言った。
その瞳は、私と同じ哀しさをたたえた静けさに満ちていて。
きっと、私だけじゃないんだ。
あの人も。この人も。
それなら、もう少しやっていけるかもしれないって、そう思ったんだ。
...久しぶりにここ歩いたな。
帰省して二日目。買い物帰りにふと思い立って学生時代の通学路を歩いてみた。
今日は夏の太陽が照りつけて蝉の音もうるさい。
すれ違うお散歩中の犬もバテているようだ。
アイス片手に坂を下る。
そういえば、夏期講習の帰りもよくアイスを食べてたっけ。
秋には部活仲間とのすれ違いで一人で帰った日もあった。あの時食べた肉まんは何だかしょっぱかった。
恋人と初めて手を繋いだのもこの通学路だった。
冬だというのに手汗が止まらなくて笑われてたな。
春になると角の公園に寄ってよく花見してたっけ。
「この場所で」過ごしたのだ、青春時代を。
何だか鼻の奥がツンとした。
最近仕事詰めすぎて疲れてたのかもな。
やれる所までやってみよう、いつでも帰ってこられるから。
いつかまた、あなたに会えたなら、
僕は、何も言わずにあなたをただ、抱きしめたい
二人だけの、二人しかいない、この場所で。
あなたを感じていたい。
もう二度と会えない、そう思ったときから
この場所で会っていた時間がうそみたいで。
あなただから、僕は心を許せた。
なぜなのか、わからないけど、
この場所は、いつまでも大切な場所。
今日も、僕は一人。
離さないと言えば、よかった。
あなたを抱き寄せたぬくもりを覚えている。
春風の匂いと、晴れた空の明るさ。
少し濡れた足元の土の頼りなさ。
遠くに聞こえた、タイトルも知らない歌の音色。
胸の奥を叩く心臓の熱さと、吐息の震え。
この場所で、あの日、二人で感じたなにもかも。
わたしはまだここにいて、覚えている。
あなたが、いつでも戻ってこられるように。
#この場所で
【この場所で】
これは、私が体験した不思議なお話。
子供の頃、私は廃神社で遊んでいた。その神社は階段が長く、裏は林になっている。健康目的の年配以外立ち寄ることの無い場所で、ちょっとした隠れ家気分だった。
ある時、私がその場所に行くと小さな男の子が居た。少し驚いたが、話しかけるとすぐに仲良くなった。
男の子はいつも決まって日の出てない曇りの日に現れる。子供の直感とでも言うのだろうか、私はその子が普通の人では無いと薄々感じていた。
しばらくした頃、私は親の都合で引っ越すことになり、この土地を離れることになった。
男の子に告げると、彼は寂しそうな顔をした。
そこで、ある提案をした。タイムカプセルだ。
お菓子の缶にそれぞれ宝物を入れ、10年後にまた来るから、一緒に開けようと彼に伝える。
しかし、彼は寂しそうな笑顔を浮かべたまま頷くことは無かった。
それから10年たった今、私は再びこの地を訪れた。以外にも、廃神社はそのまま存在していた。
天気は曇りだが、彼が現れることは無かった。
私は10年前の記憶を頼りにお菓子の箱を見つける。
蓋を開けると、私の入れたおもちゃと、少量の動物の毛が入っていた。
この場所で…絶対に…
あの人にチョコを渡して告白する!!
この場所は私が初めてあなたを見た場所
そして恋に落ちた場所
あなたとの関係が新しく始まるのも終わるのもどちらでもここがいい
だから…真っ直ぐ目を見て私!
口を動かせ!
考えてきた言葉を綴って!
………好きです。
私の恋人になってくれませんか
生きることにも、死ぬことにも、私はあまり頓着がない。
だけど、息絶える時は痛くもなく苦しくもない死に方がいいなあ、とは思っている。
例えば大勢の人に見送られる、温かく幸せな死に方であったとして、私はそれを良しとするのかを考えた。
答えは、否。
それまでに苦痛があれば嫌な死に方だと断言する自信が私にはあった。
最期だけ良ければ良いんじゃない。
最期に辿り着くまでが良くなければ、私は良い死に方だとは言わない。
終わりよければ全てよし。
心底、私とは相容れない言葉だろう。
けれど、結局のところ今日を生きる私は、良い幕引きだと言えるよう、せいぜい今を頑張るしかないのだ。
この場所で、醜くとも必死に足掻くしかないのだ。
苦痛のない死に方を求めて、生に満足したと言えるように。
だから息絶える寸前くらいは最高の憎まれ口を叩いてやる。
「死ぬために生きるなんて、馬鹿みたいだ」
盛大に笑って、私の生きた矮小な人生を馬鹿にしてやろう。
そのために、今日も私はこの場所で呼吸をするのだから。
この場所で
もうずいぶんと前になるけれど
私にとってこの場所は少し距離をおいていた時間が長すぎて、敷居が高いと感じていた場所でもあった
なのに久しぶりに訪れたこの場所で、あなたと初めて出会った
それから一年も経たないうちに、この場所でお世話になった方々に見守られ結婚式を挙げていたっけ
絶対に結婚なんてしないと思っていたはずなのに不思議で仕方ない
大きな何かに二人動かされたとしか思えない
けれど今となっては、あの時この場所にあなたと私を巡り合わせてくれたことに感謝している
平凡で慎ましく、派手なことなんて何にも無くたって、上手くいかないことがあったって、小さな幸せに目を向け見つけては笑いあう毎日
今、この瞬間に感謝しながら日々を過ごせていることが、当たり前でなく奇跡というのだろう
ありがとう
#この場所で
『春になったら、この場所で会おう』
そう言って廻った4度目の春
待ち続ける私に、見かねた彼の家族が
告げた真実
約束の春に彼は旅立った·····
それでも、春を迎える〖この場所で〗
いつか君と出会ったこの場所で、
再び君と出会えることがあったなら、
きっとどんな夢よりも幸せでしょう。
私はただその時を待ち続けている。
幾百星霜、君の姿を探し続けている。
約束を交わした君の言葉だけを信じて、
( その時が永劫叶わないと知りつつも )
君を疑わないそれだけが私の真実だから。
やがてこの地もかつての面影をなくし、
私の知らない人波で埋め尽されるでしょう。
それでも私の想いはここへ留まり続け、
いつか人の口の端から伝え聞く物語に、
私の知らない君が気づいてくれるのなら、
―――…私は、ここから君を見守るよ。
【この場所で】
『中央広場』
正午を少しまわって お日様が首を傾げてる
鳩たちはベンチを囲む できるだけ最高のランチを夢見て 青空将棋で王手がかかる ケータリングのバインミーの売れ行きは好調だ 今日なんて日は会いたい人に会えるかな 何年かぶりの口笛で 呼びかけたい人がいる
「この場所で」
この場所で私は生きる
この場所でいろんな人に出会う
この場所で記憶をつくる
この場所で好きなものができる
この場所で
君は死んだ
私の目の前から消えてしまった
段々と体がボロボロになっていった
遺体も
骨も
肩身すらも残らなかった
この場所にカフェを建てた
君を忘れないために
誰かに覚えてもらえるように
忘れてしまうことが
本当の死なのだから
お題『この場所で』