【この場所で】
これは、私が体験した不思議なお話。
子供の頃、私は廃神社で遊んでいた。その神社は階段が長く、裏は林になっている。健康目的の年配以外立ち寄ることの無い場所で、ちょっとした隠れ家気分だった。
ある時、私がその場所に行くと小さな男の子が居た。少し驚いたが、話しかけるとすぐに仲良くなった。
男の子はいつも決まって日の出てない曇りの日に現れる。子供の直感とでも言うのだろうか、私はその子が普通の人では無いと薄々感じていた。
しばらくした頃、私は親の都合で引っ越すことになり、この土地を離れることになった。
男の子に告げると、彼は寂しそうな顔をした。
そこで、ある提案をした。タイムカプセルだ。
お菓子の缶にそれぞれ宝物を入れ、10年後にまた来るから、一緒に開けようと彼に伝える。
しかし、彼は寂しそうな笑顔を浮かべたまま頷くことは無かった。
それから10年たった今、私は再びこの地を訪れた。以外にも、廃神社はそのまま存在していた。
天気は曇りだが、彼が現れることは無かった。
私は10年前の記憶を頼りにお菓子の箱を見つける。
蓋を開けると、私の入れたおもちゃと、少量の動物の毛が入っていた。
2/11/2024, 2:30:57 PM