『いつまでも降り止まない、雨』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
夏の昼下がり。
昨日の夜から降り出した雨はまだ止まず、ぱらぱらと軽やかな音で雨をはじく窓からは、うす暗い光がさしこんでいる。
キャミソール1枚で過ごすには少し肌寒い気温だ。
くしゅん、と小さくクシャミをすると、ユキは読んでいた本を開いたまま伏せて、おいで、と穏やかな声で言いながら私に向かって手を伸ばす。
私は素直にベッドとブランケットの間に潜り込み、ユキの体温を感じるように彼の腰に腕を回して寝転んだ。
ユキは満足そうに微笑み、右手で私の髪を優しくなでながら、左手に本をとり、物語のなかに戻っていく。
ユキはとても活動的な人間で、友達も多いし、趣味も多い。
休日はだいたい外出してしまう。もちろん、私も連れ立って外に出かけることもあるのだが。
でも、雨の日の休日は違う。
日がな一日、私たちはベッドの上で大半を過ごすことになる。
雨が降り続くかぎり、ずっとユキの体温を感じることができる距離にいることができる。
愛しいという気持ちが溢れてきた私は、好きよ、とユキを見つめて呟いた。
ぼくも好きだよ、ユキはそう言いながら、同じように右手で私の頭を撫でた。
【いつまでも降り止まない、雨】
今日の散歩は行き先変えてバスに乗る。
ショッピングモールは買い物のあてもなく、曇り空のようにどんよりしていた。湿気を帯びた帰りの道は降りそうな雨が背中を押してバス停に辿り着いた。何事もないような、それでいて物憂げな何かが動き出さないかと今日の明日を思っている。
あの子に思いを告げたあの日
傘を指していても腰まで飛び散る強い雨が降り東から弱々しい風が吹いていた。
言葉を作っていくだけで心臓がお祭り状態だった。
音にするときはもっと騒いだ。
その子の目、口、仕草を見ているだけで微笑ましく、緊張して、焦った。
雨の中行くあても考えたらなしに定期券とスマホ、財布を持って電車に乗り込んだ。
傘と靴と服の前の方が濡れていて少し寒かった。
いや、気づかなかった。
心が海に沈んでいくような感覚が強まっていって何もわからなかった。
駅を降りてはただ歩き続けるだけ。
雨と風が強まっていき、傘はさしていても服も靴も髪も濡れていった。
涙が出ているのかすら分からないまま知らない場所を歩き続け
「自分がいなくなったら気にしてくれるかな?」
なんて言葉を雨が掠めて行った。
いつでも降り止まない雨
いつまでも降りやまない雨
人を好きになるっていう経験をしてからずっと
降り続けている
一瞬晴れ間が見えたと思っても
厚い雲が瞬く間に覆っていく
いつだったか、すごく綺麗な日差しが
雲の隙間から差したのを見た
すごく綺麗だった
今度はいつ見えるようになるかな
いつになったら
雨はやむのかな…
いつまでもなりやまない、雨。なんかの歌の歌詞でありそうな今日のお題。いつまでもなりやまない雨の中、傘もささずにお前を待った。みたいな。尾崎豊感ある。
そういえば最近音楽って買わないな。CDとかのことだけどもしかして今の時代じゃCDって通じない?CD はもう死語か、死語なんだろうな。年取ったって実感するね。
今の時代音楽を買うとしたらネットで買いきりかサブスクなのかな。それともまさかCD がまだ生きていたりするのかな。時代についていけてないからわからん。
アニメの売り上げだとまだDVDだかブルーレイの売り上げ語ったりするよな。よく考えたらブルーレイがなにかよくわかんないけど。DVDの上位互換のイメージしかないけど実際はどうなんだろ。
なんにせよもう物理的にそういった類を買うことなくなったからわからないや。もう時代は電子書籍とかサブスクとかだし。ゲームもダウンロードで買うようになったからな。
今はもうなんでもデータで済ませる時代よ。昔はCD とか買ってたけど今は現物は邪魔でうっとおしいだけだ。音楽もユーチューブでただで聞く時代だし。
なんか話が雨というより音楽になってたな。まぁいいか。
そんな時は、外に、ぼんやりと想いを飛ばしてみる。気持ちが少し落ち着く。
ザーザー降りの雨の日 思い出すことがある
20歳の時 好きな人と同じ電車に乗り
同じ駅で降りて 2人で親が迎えに来てくれるのを待っている間に告白
「好きな人いるからごめん」
……知ってた
同じクラスのあなたより背の高い子だよね
いつも目で追ってたから
あなたの親が先に迎えに来て帰ったあと
1人で雨が振る中
♪雨は 冷たいけど 濡れていたいの
思い出も涙も 流すから
と森高千里の歌を歌って いたことを
今でも キュンとせつなくなる
『いつまでも降り止まない、雨』
結婚の 約束の日は 晴れだった
あなたの死から 続いている雨
雨粒と 孤独を撫でる 真夜中に
眠くなったら 寝ようと思う
絶対に 止まない雨は ないと言う
この世界には 絶対はない
#29「いつまでも降り止まない、雨」
-先輩の車の中-
大学の授業もサークルも終わり帰宅する時、いつも優しい先輩が車に乗せてくれる
私は自然とその先輩に惹かれていた
ある日、約半年間仲良くしてもらっていることもあり、告白に挑戦してみることにした
「私は先輩の事が好きです。付き合ってもらえますか?」
初めての告白だった
緊張しすぎて意識が半分ないみたい
先輩は少し考えて答えを出した
彼「俺も君のことが好きだよ。付き合ってみようか」
-3ヶ月後-
ファミレスにて
彼「えっとね…このままの関係はあまりよくないと思うから別れようか」
私「え…」
彼「今の関係を俺は恋人というより兄妹だと思ってる」
私「兄妹…?」
……と話が進んでいくうち、離れろと無言の圧をかけられ私は別れ話を了承した
その日から私の心は雨はいつまでも降り止まない
雨が、降る。
雨が降っている。
……未だ、降り続けている。
「おはよー!」
「おはよー」
「おはよう!」
「ねぇ、知ってる? 最近の怖い噂」
「えっ、どんなの?」
「知ってる知ってる! なんか、この辺りに殺人鬼が出るんでしょ?」
「そうそれ! 最近また、被害者が出たらしいよ。しかもこの学校の生徒なんだって!」
「えーっ! なにそれ、超怖いじゃん!」
「そんな噂あったんだ」
「てかさー、○○遅くない?」
「確かに。そろそろ来ないと遅刻だね」
「えっうそ、私ここにいるよ!」
「連絡もないし……」
「何で!? ねぇ!」
「寝坊とか?」
「あはは、ありそー」
「……ぁ、そっか。そうだった……。わたし、殺されちゃったんだ」
厚い雲に覆われた空から降りしきる雨の中、屋根のついた小さなバス停のベンチに座っていた私は、次に来るはずのバスの到着を待っていた。
「こちらご一緒してもよろしいですか?」
そんなさなかに急に声を掛けられびっくりする。今の今まで辺りには自分しかいないと思っていたから余計にだ。
いつの間に現れたのだろうか。長い裾の薄手のコートに、鍔の広い帽子を目深に被った、いかにも紳士風な背の高い男の人が、目の前に立っていた。
私は小さく頷いてベンチの端の方へと移動する。男は軽く会釈を私に返し、空いたスペースに腰を掛けた。男は手に大きめの黒い傘を持っていた。それを杖のようにして地面に立て、持ち手の部分に両手を重ねる。不思議と男の傘は全くといっていいほど濡れておらず、よく見れば男の着ている衣服にも雨に打たれたような痕跡はない。いっこうに降り止まないこんな雨のなか、男はいったいどうやってここまで来たのだろうか。
「あの・・・・・・」
「どのくらいですか?」
「えっ?」
こちらから話し掛けようとする前に、男の方から私に問い掛けてきた。
「どのくらいで次のバスは来そうですか?」
男の質問に私は近くにあったバスの時刻表へ目を向けた。そこでふと違和感に気付く。
(あれ・・・・・・?)
眺めた時刻表には何も書かれておらず真っ白で、よく見たら停留所の名前すらも書かれていないことに気付く。ここがいったいどこで、私はいつからバスが来るのを待っていたのか、急に思い出せなくなる。
「・・・・・・あの、すみません。わかりません」
私は正直に男へと告げた。俯いた私の答えに彼がふと息をついたのが分かる。「そうですか・・・・・・」と、穏やかな声が鼓膜に届いたと思ったら、「それは良かった」と安堵したような響きが遅れて聞こえた。
私は返ってきた意外な答えに顔を上げる。目深に被った帽子のせいで男の目元は隠れて見えなかったが、その口元は僅かに笑んでいるようだった。
「それならあなたは大丈夫だ」
何が大丈夫なのか、私にはよく分からない。きょとんとする私をよそに彼は続ける。
「この世界での行き先が空白ならば、あなにはまだこの世界での行き先がないということです。それならあなたは元いた現実へ戻れる」
私は首を傾げた。彼の言葉の意味を半分も理解できないけれど、かろうじてこれだけは訊いてみた。
「けれどこんな土砂降りの雨のなか、どうやって帰れば?」
彼は今度こそ分かりやすくニコリと笑った。
「大丈夫。もうすぐ雨は止みますよ。もし心配でしたら、これをあなたに差し上げましょう」
男は持っていた大きな傘を私のほうへ差し出した。私は咄嗟にそれを受け取ってしまう。それを見届けた男は、すっと立ち上がった。
「さあ、もうお行きなさい」
男はバス停から少し出たところで足を止め、外の世界を指し示すように片手をそちらへ向けて広げていた。私は男の片腕が雨に濡れてしまうと慌てて立ち上がり傘を広げたが、私が彼の肩に傘を傾けようとしたところでやんわりと男に背中を押され、私はバス停の屋根から外へと出る。
「いつかまた会う日までは、どうかお元気で」
そんな声が聞こえて振り返ったら、バス停に男の姿はもうなかった。開いた傘に雨が当たる音がする。けれど先程よりも弱まった雨音に、私は帰らなければならない場所があることを思い出した。
【いつまでも降り止まない、雨】
天のからの雫
満たされれば恵み
超えれば刃
大地に伝うは
嘆きか 慈しみか
想いを癒やす
晴天を望む
―「いつまでも降り止まない、雨」―
いつまでも降り止まない雨
私たちは想像出来ないだろう。
雨は必ず止むもの。
でも私は時々こんなことを思う。
晴れの日はすっきりした気持ちになり、雨は憂鬱になる。
では、ずっと雨ならばどんな気持ちになるだろうか。
そんなこと誰も分からない。
分からないからこそ考える。
降り止まない雨は私たちにどんな影響を及ぼすのだろうか。
分かりはしない。
『いつまでも降り止まない、雨』
ずっと降っているね
いつから降り始めたんだっけ
忘れちゃったな
まだ、雨は止まないんだってよ
何でだろうね
ねぇ
何でだろう
『いつまでも降り止まない、雨』
嫌な予感はしてた。
ゴロゴロと鳴り響く雷に、地面に強く打ち付ける雨。
朝はこれでもかというくらい晴れていたのに。
傘、持ってきてない。
絶望した気でいると、女の子が声をかけてきた。
「良かったら、どうぞ。」
傘を貸してくれた。
「あ、ありがとう、」
その言葉だけ聞くと、女の子はそそくさと去っていってしまった。
「今度、ちゃんとお礼しなきゃな」
金曜日の放課後、僕はそう心に誓った。
いつまでも降り止まない、雨。
ずっと心に降っている、雨。
止むことを知らなくて、ずっと濡れたまま。
でも、自分で傘をさすことは出来ないし、傘をさし出してくれる人もいない。
あーあ、、このままじゃ風邪ひいちゃうな。
縁側に座って叔父が本を読んでいる。
叔父は本が好きな訳ではない。
でも、夏目漱石を読むから子供の頃は本が好きだと思っていた。
叔父は、三行読んでは外を眺める事を繰り返している。
でも、雨が降り始めたら本を閉じてしまった。
雨の音を聞いているのか蛙の音を聞いている。
叔父はしばらくすると傘を2本持って出掛けて行った。
なんだか嬉しそうに。
それからは、いつまでも降り止まない、雨。
叔父は傘と本を閉じて縁側から雨を眺めてる。
いつまでも降りやまない雨はない
必ず 晴れる日が来る
いい時 悪い時
その時 その時だね
夕暮れ過ぎの公園
隙間なく体を寄せ合い傘をさす
止まない雨とワンコインの傘がつくる
二人だけの世界
閉じた瞼をそっと開くと
吐息の熱でビニール傘が曇っていた
この瞬間をきっと一生忘れないのだろう
ぼんやりした頭で考える
冷静で他人事のような感覚
この現実を確かめるため
もう一度瞼を閉じた
いつまでも降り止まない、雨
かつて、世界は青い空を持っていた。
変わりゆくソラというもの。
煌めいて、すべてを照らす強い光。
みんながみんな、手を取り合って生きてきた。
世界が、曇天に包まれた。
頻りに降ってくる雨。
誰もが最初は
早く晴れればいいな
と
最小の憂いを胸に秘めた。
せめて、一筋の願いが
曇天に包まれぬように。