まつれん

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あの子に思いを告げたあの日
傘を指していても腰まで飛び散る強い雨が降り東から弱々しい風が吹いていた。
言葉を作っていくだけで心臓がお祭り状態だった。
音にするときはもっと騒いだ。
その子の目、口、仕草を見ているだけで微笑ましく、緊張して、焦った。


雨の中行くあても考えたらなしに定期券とスマホ、財布を持って電車に乗り込んだ。
傘と靴と服の前の方が濡れていて少し寒かった。
いや、気づかなかった。
心が海に沈んでいくような感覚が強まっていって何もわからなかった。
駅を降りてはただ歩き続けるだけ。
雨と風が強まっていき、傘はさしていても服も靴も髪も濡れていった。
涙が出ているのかすら分からないまま知らない場所を歩き続け
「自分がいなくなったら気にしてくれるかな?」
なんて言葉を雨が掠めて行った。



いつでも降り止まない雨

5/26/2023, 2:04:08 AM