utatane

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夏の昼下がり。
昨日の夜から降り出した雨はまだ止まず、ぱらぱらと軽やかな音で雨をはじく窓からは、うす暗い光がさしこんでいる。
キャミソール1枚で過ごすには少し肌寒い気温だ。

くしゅん、と小さくクシャミをすると、ユキは読んでいた本を開いたまま伏せて、おいで、と穏やかな声で言いながら私に向かって手を伸ばす。
私は素直にベッドとブランケットの間に潜り込み、ユキの体温を感じるように彼の腰に腕を回して寝転んだ。
ユキは満足そうに微笑み、右手で私の髪を優しくなでながら、左手に本をとり、物語のなかに戻っていく。

ユキはとても活動的な人間で、友達も多いし、趣味も多い。
休日はだいたい外出してしまう。もちろん、私も連れ立って外に出かけることもあるのだが。
でも、雨の日の休日は違う。
日がな一日、私たちはベッドの上で大半を過ごすことになる。

雨が降り続くかぎり、ずっとユキの体温を感じることができる距離にいることができる。
愛しいという気持ちが溢れてきた私は、好きよ、とユキを見つめて呟いた。
ぼくも好きだよ、ユキはそう言いながら、同じように右手で私の頭を撫でた。

【いつまでも降り止まない、雨】

5/26/2023, 2:37:58 AM