小石 涼

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 縁側に座って叔父が本を読んでいる。
 叔父は本が好きな訳ではない。
 でも、夏目漱石を読むから子供の頃は本が好きだと思っていた。
 
 叔父は、三行読んでは外を眺める事を繰り返している。
 でも、雨が降り始めたら本を閉じてしまった。
 雨の音を聞いているのか蛙の音を聞いている。
 叔父はしばらくすると傘を2本持って出掛けて行った。
 なんだか嬉しそうに。
 
 それからは、いつまでも降り止まない、雨。
 叔父は傘と本を閉じて縁側から雨を眺めてる。

5/25/2023, 10:11:26 PM