『いつまでも捨てられないもの』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「おい、エリオ。これ、なんだ?」
「ん?なんですかボス?……あっ!それ!」
襟尾が手で開くのを静止しようとする前に、津詰は"それ"を見てしまった。
「これって、昔の俺?なんでこんなもん持ってんだよ」
「あちゃー、バレましたか、じゃあ、しょうがないですね」
襟尾は顔を下に下げて、赤面して言った。
「オレが初めてボスの顔を見た、講義のプリントです。20年前のボスが逮捕した事件って、結構勉強になるらしくて、講義に取り上げられたんですよ、そこでオレは、ボスに惚れました。捨てたくても捨てられないんです」
「ははーん、そういうことか。可愛いヤツめ」
津詰は襟尾の髪をわしゃわしゃと描き撫でて宥めた。
まだ自分が小さい頃に誕生日プレゼントで貰ったものはなかなか捨てられない
いつまでも捨てられないもの
過去の記憶。
俺はあのとき何になれただろう。
水が落ちて波紋となって広がってく。
私はあのとき何になれただろう。
誰かに褒められたかったのかな?
僕はあのとき何になれただろう。
解らない。 ❧
いつまでも捨てられないもの(個々の自由)
ぜったいぜったい、ぜーーーっっったい、捨てちゃダメ!!!
せっかくの日曜日。
いつまでも布団の中で微睡んでいようと目論んでいた俺は、リビングに響く双子らの怒号で叩き起こされた。
―――捨てるな? って、何をだ何を。
眠さに目を擦りながら階下に降りていくと、双子がでかい縫いぐるみを抱え込んで憮然としている。
「………朝っぱらから何を騒いでんだお前らは」
「ぬいぐるみ捨てるとかいうから、そししてた」
「だいじなこなのに、すてるとかきちくなこと言う」
………縫いぐるみ、ねえ。
つと見遣ると、薄汚れているどころか明らかに“汚い”と表現するのが最適なそれが双子達の腕の中にすっぽりと収まっている。
「だいぶキてるなそれ。そりゃ捨てるって言われるわ」
「ずっと一緒にいきてきたのに、そんなことするわけない。にいにくずすぎ」
「誰がクズだ。だったらせめて洗えよ」
「あらったら形くずれて見るもむざんになる。むり」
両側から二人にぎゅうと抱きつかれる、大きなクマの縫いぐるみ。これほど愛を込められて、何とはなしに嬉しそうに見えるその顔がいじらしい。
「………。まあ人間ひとつやふたつ、捨てられないものもあるからとっとけばいいんじゃね」
ファブって天日干しして、コロコロガンかければちっとはマシになるだろ。
そう助言してやると双子の表情が途端に華やぎ、わかったそうする!と二人は同時に素直に頷いた。
これで一件落着。よかったよかった―――と再度二度寝をしようと二階へ上がりかける俺の横を、母親が何かを手に持って通り過ぎた。
「え、なに。どうすんのそれ」
「え? 捨てるのよ、決まってるでしょ」
捨て………る?
「は!? ダメに決まってんだろ、何勝手なことしてんだよ!」
俺は鬼の形相で母からそれを引ったくる。
「にいにそれなに?」
「だいじなもの?」
―――尋ねる双子を他所に、俺は母に詰め寄った。
「昔から使ってるタオルケットだって知ってんだろ!? これじゃないと俺、眠れねーから!」
………。このすっごいぼろぼろの?
………。このくまさんよりねんきの入ってる?
タオルケット………。
にいに、と双子が兄の服の裾を両端から引っ張る。
「あ? なん、………」
「「すてな」」
………。
双子の容赦ない一言に、俺は無言でその場に固まる。
―――ハイハイと母親に無慈悲にそれを回収された後、どんまいと二人から優しく背中をさすられ、俺はこの裏切り者めと心の中で散々呪いの言葉を吐いていた。
END.
いつまでも捨てられないもの
色々あるけど…
小学生の時に用意してもらった
裁縫道具
裁ちばさみやまち針には
旧姓のシールを貼ったまま
あまり得意ではなかったので
わりと綺麗なまま
✴️122✴️いつまでも捨てられないもの
『いつまでも捨てられないもの』
親から頂いたものたち
親の匂いがするもの
初めて一人暮らしをするときに
母が買ってくれたフライパン
同じ趣味を持つ父が
撮ってくれたDVD
夫婦で旅行に行ったときのお土産
直筆の手紙
写真
洋服
・・・
引っ越しのたびに
思い切って捨てようと
どこかで見切りをつけないと
と思うのだけれど
結局
箱の中にそっと忍ばせる
私には捨てられないものなんかない
だって未来の私には必要のないもの
過去に囚われたくない
過去は関係ない
過去 現在 未来
あなたはドコにいますか?
いつまでも捨てられないもの
捨てられないもの。
どこにおいたかはわからない。
私の記憶。 〈いつまでも捨てられないもの〉
私のいつまでも捨てられないもの。それは、私の記憶。
当たり前かもしれないけど、記憶は、体験したこと、
見たこと、感じたことなど全てを持っている。
ものよりも、自分の記憶の方が、より精密に物事を
覚えている。何のものにも変えられない、とっても
大切だと感じるもの、それが記憶。
私は、一瞬一瞬を大切に、悲しかったこと、
苦しかったこと、楽しかったこと、嬉しかったこと、
色んな感情を感じていきたいと思う。
いつまでも色んな記憶を感じられるように。
雑記:
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日本銀行岡山支店の見学で娘が学んだこと
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今年の夏休み、娘と一緒に日本銀行岡山支店に見学に行ってきました。日本銀行は全国に32カ所あり、岡山支店はその15番目にあたります。大理石でできたとても立派な建物で、外観からもその威厳を感じました。
見学の最初に、新しいお札についての映画を見ました。映画では、偽造防止のためにどんな技術が使われているのかを詳しく学びました。日本のお札は、世界でもトップクラスの偽造防止技術が施されているそうです。
その後、岡山支店の中を見学しました。支店には「発行課」、「業務課」、「総務課」という3つの部署しかなく、思っていたよりもコンパクトでシンプルな構造でした。娘も、もっと多くの部署があると思っていたようで、少し驚いていました。
見学の最後には質問コーナーがありました。最近、娘は自分の好きなお菓子の量が減っていることや、ももの値段が去年よりも高くなっていることに気づいていて、「円の価値が下がっていると、これからの日本はどうなるの?」と質問しました。解説員の方から「円の価値が下がると、物の値段が上がることがある」と教えてもらい、娘は少しずつ理解しているようでした。
また、見学の中で、自分が人生で稼ぐことのできる合計金額をお札の紙で視覚化するという体験がありました。その大量のお札を目の前にしたとき、娘は「これが私の人生で稼げるお金なんだ」と感じ、肌でその重みを実感したようです。
今回の見学を通して、娘はお金についてもっと知りたいと思うようになったようです。まだ小学生ですが、お金の大切さや価値について少しずつ理解し始めていることが、私にとってもうれしいことでした。
私がいつまでも捨てれないのは、元カノとの思い出である。いつまで経っても忘れられないのは未練があるからだという意見もあると思う。しかし、私にとってそれは特別なものだった。大学受験が落ち着いた高校三年生の春頃、私は人生で初めて彼女が出来た。沢山デートをして、沢山はしゃいで、沢山笑いあって、沢山スキンシップをした。当時は人生で1番幸せな時間でした。付き合って初めてのデートでチームラボという東京にあるデートスポットだった。しかし、当日券は全て売り切れており、入れなかった。そこで、お台場に行ってお散歩しよ。と彼女から提案があり、その日は結局お台場デートをした。スポッチャやスタバ、海など楽しめるものは全て楽しんだ。辺りが暗くなり、海の近くにはカップルしかいない状態だった。海を見ながらイスに座って今後のデート先や次会う日、将来の夢や結婚の話など今後のことを話した。僕の中でこの人と一生一緒にいるんだなと思っているときだ。話の会話が切れると海を見つめていた。すると彼女が突然。「ねぇ...」と言ってきて、私が彼女の方を振り向いた時です。「チュ」と唇を重ねてきた。当然私はこれまでキスの経験がなかったので、驚いた。びっくりした私は顔を離してしまった。「ごめん。嫌だった?」と彼女に言われた。私は驚きのあまり言葉を詰まらせたが、首を横に振った。そして私は、気が付くと彼女にキスをしていた。数年経った今でも覚えている。あの時の心情、彼女の柔らかい唇を。私が初めて自分からキスをした日。そう。私がいつまで経っても捨てれないのは、元カノとの''思い出''だ。
いつまでも捨てられないもの
あの人への想いをいつまでも捨てられそうにない
サンクコストというのがあってね
今までかけた労力と時間を加味すればするほど
たとえそれに価値が伴っていなくても
捨てられなくなる
そう、例えばこの服
型が古くて多分袖を通すことはもうない
けれど、それを手に入れる過程に
大きな犠牲が伴っていたら
捨てるのを躊躇してしまう
執念のようなものにも当てはまる
この資格を得るために
この仕事に就くまでに
どれだけの人との関わり
努力、負債を抱えたか
たとえそれが益をもたらさなくても
恩を受けたこと
かけた時間とお金
全てを捨てて辞めてしまうことができない
いつまでも捨てられない
それもサンクコスト
でも立ち止まれない
この会社と心中できない
ごめんね
そう言って彼女は辞めていった
全ての人間関係を絶って。
僕はまだ
捨てる決心がつかずにいる
いつまでも捨てられないものは、高校時代のボキャブラリーノートです。ボキャブラリーがない僕は、大学受験の国語対策のために、日常生活で出てきた知らないボキャブラリーを覚えようとつくりました。自分の周りの人たちは僕が常識的な言葉をあまりにも知らないものだから面白がって「〜は知ってる?笑」「〜はどう?笑」と色々な言葉を教えてくれました。そのたびに僕はノートにそれらの言葉とその意味を書き留めていたけど、次第に周りの人たちが勝手に僕のノートにいろんな言葉とその意味を書き留めるようになりました。具体的な内容は覚えていないけど、国語の試験では絶対に出てこないようなサブカル系の用語や流行り言葉、造語や下ネタ、誰かが誰かにつけた変なあだ名とかで埋め尽くされて、ボキャブラリーノートはもはや皆の落書き帳と化しました。知的でくだらないユーモアが詰まった落書き帳ーーーあれから9年の月日が経ちましたが今でも捨てずに持っています。
いつまでも捨てられないものがある。
それは、
昔小さいとき友からもらった
折り紙である。
捨ててしまおうと何度も思うけれど、
その友との思い出が
よみがえってくるため、
捨てられずにいる。
人形 〘 いつまでも捨てられないもの 〙
私のお人形さんは、私と共に成長する。
見た事は無いけどそんな気がするんだ。
可愛らしくて包容力のある、
あの、大きなくまのお人形。
「今日も可愛いね」
君の真黒いボタンの目を見て、語り掛ける私はおかしい人。
そう思われていると思う。
けど私にとってこの子はとても大好きな友達。
今まであった中で一番優しくて心許せるたった一人の友達。
だから私は手放せないの。
だから私は手放せないの。
だから私は……
手放したくなかったの。
ゴミ箱にポイと捨てられている君を見て、
私の目からはひたすらに涙が零れ落ちる。
確かに私ももう一緒に居られないけどさ。
齢15歳の私にかせられた余命1ヶ月という重石。
こんな事しなくても良いじゃん。
余計なお世話だよ。
いつまでも捨てられないもの
そんな物いつまでも持っている?
手に握っていたペンを取り上げられ床に投げつけられた上に、足で踏みつぶされた。
この手では、そのペンは握れない。わかっている。もう紙もない、紙の代わりもない。生活に必要な物も品質は最低限だ。それでも、ペンだった物を見つめてしまう。
ペン先と軸が金属だ。再生に回そう。そう思って、アームを伸ばそうとすると先に拾われた。
もらってやるよ。落として壊れて捨てたんだよな。
ニヤニヤしながら回収箱へ入れて背を向けて他の物を探しに行った。
そうやって、君が失ったものへの気持ちをごまかせばいい。自分は代償を求めない。
君は靴を履けない、スプリンターだったって?靴は今存在しない。今、君が足につけているのは自分と同じベアリングの入ったローラーだ。自分はそれにプラスで手も腕もスプリング丸出しのアームだ。身体もほとんど置き換わってしまって脳がそのままだ。君はまだ生身が多いから失った足や出来なくなったスプリント競技への想いが強いんだね。
表情筋が豊かだからうらやましい。自分にはないから。
さてと、どうしてこんな身体に皆がなったかを記録しよう。身体の前のパネルを開ける。楽しかった生身の時の記録は終わった。アームの先を削ったらペン先みたいになったから、まだ書ける。自分は書く事は捨てられないよ。誰が見てくれなくてもね。
「大好きなゆうたくんへ!
今日早出になった!
起こすのもなんか…って思ったから先いくね!!
朝ごはんとお弁当は冷蔵庫に入ってるよ!
お仕事頑張ってね。 みきより」
この置き手紙を見直す事に涙が出る。
なぁ、みき。
あの日お前が俺の事を起こしてくれたら、こんなことにはならなかったかもしれないんだぞ。
そう思いながら俺は今、とまれを指す赤色に背いて走り出した。
「今行くよ。」
思い出と共にあるものは捨てることはできない
自分が歩んできた道のりを示すものだから
そしていつか見返すのだろう
こんなこともあったのだと
思い出させてくれるものがあるのだ
どんなものでもいいのだ
心に残る想いと、捨てられないモノに抱かれて。
時の経つのも忘れていたいほどの古い手紙や昔の写真の中には、大切な思い出を開くカギとなる。
それを捨てるなんて私には出来ない。
だってそれは、私の宝物だから