『あなたに届けたい』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【後で書きます…!】
2026/1/31 「あなたに届けたい」
「あなたに届けたい」
いつか見る景色
想像しなかったくらい
輝いている
苦しさも
悲しさも
乗り越えたら
砂浜の砂みたいに
きれいに流れて行く
気持ちは風化していく
残ったキラキラ輝いた
モノ達を
あなたに届けたい
「あれ?なんだろ、この紙」 _______________________________________________________________________________________________ あなたに届けたい物リスト
・私の本当の気持ち
・愛
・手紙
・宝物
・私
_______________________________________________________________________________________________
「…あぁ、こんなもの書いたっけ」
あなたが引っ越してから5年たつね
今日会いに行こう。そう言って毎回先延ばししてたなぁ
「元気かな…そうだ!」
「ここら辺に、あれ?…あっ…あった!昔使ってたガラケー!電池あるかな?」
_______________________________________________________________________________________________
…ピロン オカエリナサイ
懐かしい機械音声が部屋全体にこだまする。
アタラシイメッセージガロッケントドイテイマス
それはすべて、あなたからだった。
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ゴネンマエノメッセージデス
「元気?もう引っ越してから二ヶ月たつけど全然慣れないよ〜😅返信待ってるね(^^♪」2013年2月9日
ヨネンマエノメッセージデス
「あれ?もしかして忘れちゃった?え〜ひどいなぁ…ほんとに忘れてるわけないよね⁉️それともスルー?来年までに返事してよ〜?」2014年2月8日
サンネンマエノメッセージデス
「もう忘れちゃったってこと?💦来年もメールするからね〜絶対返信来ると思うから待ってるね!👋」2015年2月10日
ニネンマエノメッセージデス
「誕生日ぐらい祝ってほしかったなぁ〜…もう17歳だよ?機種変したの〜?じゃあまた来年、返事ないかいつも見てるからね」2016年2月12日
キョネンノメッセージデス
「ねぇ…もう忘れてるんだよね、?無視じゃないと良いけど返信待ってるよ」2016年2月6日
ミッカマエノメッセージデス
「返事してね」
ピロン アタラシイメッセージガトドイテイマス
「やっと既読〜やっぱ忘れてたのか〜良かった〜見てるなら返事してね!」
久しぶりのあなたからの連絡。涙をこらえながら一つメッセージを送った。
「忘れてたー!このガラケーあるんだった!今度からはちゃんとメッセージ送る!てかラインにしない?」
「ok!あ、てか明日そっち久しぶりに行くんだよね〜!楽しみ!」
「うん!楽しみ!じゃあおやすみ〜」
「うん、おやすみ〜」
明日ホントの気持ちあなたに届くかな?
【あなたに届けたい】
そう思えたことが私への贈り物
そのお返しとして
知られるのが怖い
嫌われるのが怖い
傷つくのが怖い
弱い自分を見せるのが怖い
当たり前だ
信じていても裏切られることを知っている
素の自分で居れば居るほど深く傷つくことも知ってる
だからずっとそこに壁はあった
誰と接していようが何をしていようが
壁は変わらずそこにあった
なのに
いつからだろうか
そこにあったはずの壁が無くなっていたのは
いつからだろう
弱さを見せてもいいだなんて、思い始めたのは
不思議だね
きっと君は変わらず手を差し伸べてくれるのだろう
だったらもういっそ弱さも不安も全部
#あなたに届けたい
そう思ったんだよ
衆院選で街が賑やかになっている… 選挙カーで候補者の名前を繰り返し流してたり駅前で自らの公約を伝えたり… 候補者の皆さん頑張ってるな〜 さて私の1票どうするかな…
ポポヤ
私は絵画である
私は旋律である
私は詩である
私は物語である
私は美しくなければならない
私は洗練されてなければならない
私は終わらなければならない
私という創作物を終わらせる
誰がどう思うかはわからない
ただ、あなたに届けたい
あなたに届けたい
ここでの投稿を始めようと思ったのは、純粋に文章を書くのが好きだから なにを書いてもなにを思っても否定されない安心できる場所で気持ちをそのまま吐き出してみたかった。この20年
どっちかと言えば、苦しいことの方が多かった
本音を言ったら涙が出る 人の機嫌に振り回される 環境の変化にものすごく弱い。ほんとは一番分かってたいのに自分のことが分からない、ついていけない そんな中でこれからどうやって付き合っていこうかな…そう思ったときにふと見つけたのがここでした。私が書いた作品で ちょっとでも元気になってもらえたり、ひとりじゃないんだなって気づける人がもしかしたらいるかもしれない。今までの経験とか感じてきたことが誰かの寂しさ、不安、孤独感をほんのちょっとでも軽くするかもしれないって思ったから毎日続けてます。そんなの綺麗事だとか、分からないくせに言うなとか思う人もいると思うけど、それでもいい。私自身が苦しいなって思ったときに寄りかかれるような場所がほしかっただけ。ここには、今までずっと心のどこかではかけてほしかった でも自分ではかけれなかった、そんな優しくなんてできなかった そんな作品を置いてます。こんな投稿でよかったら
いつでも見にきてください笑 いつもいいねありがとうございます!ではまた明日
「あなたに届けたい」
あなたに届けたい
汗水垂らしながら接客しているあなたを応援したくて毎回伝票の裏に密かにメッセージを書いていることを。
深夜零時過ぎでもパソコン画面と睨めっこをしている社会人の貴方を応援したくて愛情をたっぷりと込めたおにぎりと珈琲をお盆に乗せて机の傍に置いていることを。
子供が泣き喚いた事を叱りもせず母親の役割として受け入れ長時間なだめ続けていた為、目の下にクマができ疲弊して寝ている貴方を敬いたくてフカフカな毛布をかけてあげ「お疲れ様」と声をかけていることを。
色んな貴方の頑張る姿を人は必ず見ているということを
だから、、そんな貴方に私からお願いがあります。
どうか、、どうか、、、、
一人で抱え込まないでください。
抱えすぎた荷物を一人で取り払おうとすると貴方の精神や耐力を徐々に蝕んでいき暗闇に待っている無心が貴方を道ずれにしようと狙ってきています。
「どうでもいい。」となる前に誰でもいいんです。
SOSをしっかり発信して自分の生を叫んでください。
最後に貴方は生きる価値があります。
その価値はお金よりも大切で尊いものです。
生きる選択は他人ではなく自分自身で決断することに意味があります。
最後に私からお節介を焼かせてください。
貴方には沢山の味方が付いていることをお忘れなく。
それでは、、、、また。
大好きです
この気持ちがいつか
伝えられますように
放っておくとどこまでも1人で無理をし続けるアイツ。
ここ連日また他のやつの尻拭いで遅くまで残っている。
今日もまた1人で暗くなった部屋で1人パソコンに向かっている。
開け放たれたドアに気持ちばかりのノックをしてそのまま側まで歩み寄る。
多少の物音には気付きもしない。
デスクに向かうアイツに影を作って話し掛ける。
「またお前1人でやってるのか?他のやつは?」
軽く周りを見渡せどやはり誰も居ない。
「みんな用事あるし」
パソコンを見つめたまま、
「何より、俺がやった方が早いよ」
一拍間を開けて言った。
「でもそれはお前の仕事ではないだろう?」
「誰の仕事でも同じだよ」
やはり自分の仕事ではないらしい。
返事は返ってくるが目線はずっと正面を見続けている。
室内にはキーボードを弾く音とその横の資料をめくる音だけが鳴り響いている。
「お前だけがそんなに頑張らなくてもいいんじゃないのか」
横目でちらりと覗いたその横顔の目の下のクマがより一層濃くなってる気がする。
「そのうち過労で倒れるぞ」
「自分の体は自分で分かってるから大丈夫」
何を言ってもその姿勢は変わらない。
仕事が終わらなくても死なないのに。
もっと周りを頼ればもっと上手く生きれるのに。
コイツは本当に不器用過ぎる。
軽くため息を吐く。
「ご飯は食べたのか?」
「今日も元気に10秒チャージだよ。楽でいい」
本気でコイツは…。
手に下げてた袋からおにぎりを取り出してビニールを剥ぎ取って問答無用で口に差し出す。
「もういいからとりあえずこれ食え。資料寄越せよ、俺が手伝ってやる」
「別にいいのに」
非難めいた言葉を投げたが素直におにぎりを手に取って食べ始める。
お腹は空いてるのだな。
だったらちゃんと食事らしい食事をしろよ。
とは思うのだが、あえて口には出さない。
静かに食べ始めたのを見守る。
そしてコーヒーも差し出す。
それも素直に受け取った。
「まだおにぎりもサンドウィッチもあるからな、好きなだけ食え」
残りの袋を横に置いた。
「ありあとー」
口に含んだまま喋るな。
「で、資料はどこにある?」
よこせと言わんばかりに隣に座りパソコンのスイッチを入れる。
おにぎりを口に入れつつまた画面に視線を定めたままで資料をこちらに渡してくる。
「お前ヒマなの?わざわざ毎日俺んとこに来るなんて」
その間抜けな質問に怒りさえ湧いてくる。
「暇じゃねぇよ」
ふぅんと曖昧な相槌を打ってまた仕事に戻った。
もうたぶん俺の声は聞こえなくなってるだろう。
「お前に少しでも俺の気持ちが伝わればいいのにな」
ため息と共にその声は消えてなくなった。
(あなたに届けたい)
『あなたに届けたい』
大好きって気持ちを
話したいって思う気持ちも
知りたいって気持ちも
知って欲しいと思う気持ちも
全部まとめて
大好きなあなたに届けたい
届けられたら貴方は振り向いてくれるのかな
届けられるはずもないけれど
それでも今日も
あなたを想う気持ちは消えずにここにある
《あなたに届けたい》
書きたい気持ちはある!!
2026.1.30《あなたに届けたい》
130.タイムマシーン『こんな夢を見た』『逆光』
こんな夢を見た。
夢の中で、俺は見渡すかぎりの大草原に横たわっていた。
いつから居たのかは分からない。
だが、とても居心地が良く、いつまでも身を委ねられる気がした。
だが、一つ奇妙な点があった。
その草原は闇の様に黒かった。
緑色の草は一本も生えておらず、黒い草しか生えていない。
異様な風景であったが、不思議と嫌な感じはしなかった。
夢だったからかもしれない。
どれくらいそうしていただろうか。
ふと、視界の隅に動くものがあることに気づく。
ゆっくりと顔を向けると、そこにヤギがいた。
ムシャムシャと草を食べている。
ヤギが草を食むのは道理だが、なぜか説明のできない焦燥感に駆られてしまう。
追い払うべきか迷っていると、ヤギがこちらに気づき顔を上げた。
「どうも、おじゃましてます」
そう言って、お辞儀するように頭を一段下げる。
俺も釣られて頭を下げると、ヤギは満足そうな笑みを浮かべて言った。
「実は私、未来から来ました」
「未来?」
「はい、タイムマシンで」
『ヤギがタイムマシンに乗って過去へ』
荒唐無稽な話だが、ここは夢の中。
俺は疑うことなく、ヤギの言葉を信じた。
「なぜ過去へ?」
「もちろん、草を食べに来ました」
「それはおかしい。
お前のいた未来でも、草はたくさん生えているだろう?」
俺がそういうと、ヤギは悲しそうな目をして言った
「残念ながら、私のいた未来ではこの草原はないのです」
俺は思わず目を見開いた。
うっかり夢から覚めてしまいそうになる。
「なぜそんな事に?
こんなに豊かに生い茂っているのに……」
「分かりません。
少しずつ数が減っていき、私のいた未来ではほとんど絶滅してしまいました」
「そうか……
ならば防がないといけないな。
前兆のようなものはあったのか?」
「そうですね。
発端は、白い草が生え始めた頃でしょうか。
始めは数も少なく気にも留めてなかったのですが、次第に数を増し、段々と黒い草が生えてこなくなり……
ああ!!!」
突然ヤギが叫び出す。
「どうした?」
「あ、あれを見てください」
ヤギの視線を追った俺は、息をのんだ。
この草原の悲劇の予兆、不吉の象徴。
白い草が、ポツンと一本だけ生えていた。
「もうダメだ、おしまいだ」
「落ち着け、まだ一本だけだ。
あれさえどうにかできれば――」
だが、それ先は言うことが出来なかった。
黒い草が、見る見るうちに枯れていったからである。
「馬鹿な、早すぎる」
俺が嘆いている間も、黒い草がどんどん枯れていく。
そして枯れた跡からは白い草が芽吹き、草原が白く染まっていく。
その光景に恐怖を感じたが、自分には止める術がない。
そもそも何が起こっているか分からないからだ。
だが恐怖は終わらない。
その白い草すらも枯れ果て、大地がむき出しになり――
◇ ◇ ◇
「――ろ。
おい、起きろ!」
「うーん」
体が揺らされる感覚で、意識が夢の世界から浮上してくる。
さっきまで見ていた光景が夢であることに気づき、俺は心の底から安堵の息を漏らす。
「うなされていたぞ。
大丈夫か?」
「あ、ありがとう。
悪い夢を見ていた」
そう言いつつも、目の前の人物が誰か分からない。
家族の誰かだろうが、逆光で眩しくて顔が見えないのだ。
「早くリビングに来い。
母さんがご飯を作っているから」
「うん」
そこで声の主が誰か気づいた。
父親だった。
しかし父親の顔は、逆光で未だに見えない。
なんでこんなに眩しいのか、不思議に思った。
そして、すぐに気づく。
父親の頭が光っているのだ。
正確には、父親の毛の無い頭に、蛍光灯の光が反射しているのである。
それに気づいた時、俺は猛烈な不安に襲われた。
聞いたことがある。
夢は、体が発するメッセージであると。
その時は眉唾だと思ったが、今なら信じることができる。
そして確信した。
さっき見た夢は、紛れもない体からのSOSであるということに。
「顔が真っ青だぞ。
本当に大丈夫か?」
「大丈夫だよ」
「水でも取ってこようか?」
「いや、それよりも……」
俺は自分の頭を触りながら、震える声で言った。
「育毛剤、使っていい?」
『あなたに届けたい』
「やっと、君に届けられる」
男は悦びに震える手で、その小さな小包を丁寧に包んだ。中身は、彼女がずっと「欲しい」と言っていたものだ。
二人が別れてから半年。彼女は男からの着信を拒否し、居場所さえ教えなかった。
けれど、そんなものはどうとでもなる。男は彼女の新しいアパートも、新しい恋人の存在も、すべてを突き止めた。
「君はいつも、僕に『心』が足りないって言っていたよね」
男は独り言をつぶやきながら、真っ赤なリボンを結ぶ。
彼女が去り際に叫んだ言葉を、男は一言一句忘れていない。
――あなたには人の心がないのよ!
あんなに欲しがっていたのだから、きっと喜んでくれる。
男は、数時間前まで彼女の隣を歩いていた新しい恋人のことを思い出す。
あそこから取り出した、まだ温かく脈動していたソレも……
翌朝、彼女の家の玄関前に置かれた箱からは、甘い香りに混じって、わずかに鉄の匂いが漂っていた。
小さな箱に、ひとつひとつ星の欠片を入れていく。
赤や青、黄色に緑。鮮やかに箱が彩られていく様に、思わず笑みが溢れ落ちた。
くすくす、ひそひそ。
聞こえるのは欠片の囁く声。煌めく度に、様々な声が聞こえてくる。
笑い、歌い。時に泣いて、祈りの声を上げる。紡がれる言葉たちは、どれもが澄んだ感情を伴って部屋に響いていく。
「たくさん集めたのね」
声がして、欠片を入れる手を止め振り返る。
楽しそうに笑みを浮かべ、彼女は籠の中からそっと欠片の一つを手に取った。
「あなたのことだから、楽しい感情だけを詰めるかと思っていたわ」
「そうしようと思ったけど、こっちの方が箱に入れた時にとても綺麗に見えるから」
欠片で満ちる箱を見せれば、彼女は確かに、と頷いた。
一色だけでも、星の欠片は美しい。けれどもこうして様々な色を集めた方が、より綺麗に見える。
そのことを教えてくれた誰かがいた。それが誰だったのか、思い出せないのが少しだけ苦しい。
箱を閉じて、金色のリボンを巻いていく。
「ちゃんと届くかな」
この瞬間は、何度繰り返しても不安になる。
自分にできるのはこうして星の欠片を箱に入れ、リボンをかけるまでだ。届いているのかどうかまでは、分からない。
「届くと信じたら、ちゃんと届くわ」
そんな不安を、彼女の柔らかな声が解かしていく。頭を撫でられて、心地良さに目を細めた。
届けばいい。そんな思いを込めて、リボンを結ぶ。綺麗に仕上がった箱を見て、大丈夫だと言い聞かせるように強く頷いた。
ふわり。
風もないのにリボンが揺らめいた。端からゆっくりと、箱が霞んで消えていく。
届くべき所へ届くのだろう。消えていく箱を見ながら、届きますようにと密かに願う。
誰に届くのかは分からない。誰に向けて届けようとしているのかも分からなかった。
「届くといいな」
もう一度呟いて、新しい箱に手を伸ばす。
「大丈夫よ。でも無理はしないでね」
彼女は笑い、もう一度頭を撫でてから去っていく。
彼女はとても心配症だ。こうして何度も様子を見に来てくれる。
「もう大丈夫なんだけどな」
何がかは、もう覚えていない。忘れてしまったのだから、きっと大丈夫なのだろう。
じくりと痛む胸に気づかない振りをして、再び箱に星の欠片を入れていく。
もう大丈夫。
呪文のように繰り返せば、少しだけ呼吸が楽になれたような気がした。
煌めく星空の下。月明かりを浴びてふわりと舞い落ちる雪に手を伸ばし、男は静かに目を細めた。
微かな声。何かを願う言葉が響き、雪と共に溶けていく。
空を仰げば満天の星に混じり、風花が舞っている。幻想的な光景に、だが男の表情は変わらない。
星が一つ流れた。瞬く間に山の向こうへと過ぎていき、刹那の光を地に灯す。新たな命の芽吹く音が、風に乗り遠いこの場所まで届いていた。
「頑張っているな。生真面目なのは相変わらずか」
誰にでもなく呟いて、男は溶けた雪を惜しむかのように水となって流れたその跡をなぞる。
「健やかでありますように」
聞こえた祈りの言葉を口にする。辺りを舞う風花が、言葉に呼応するかのように淡く光を湛えて落ちてくる。
どうか、と願う囁きは、どれもが柔らかい響きを持っている。愛しい人にあてた祈りを宿した雪に、男はそっと息を吐く。
白く曇る吐息に、男もまた祈りの言葉を口にする。
「どうか、心穏やかに。再び出会える時まで、悲しみがその身を苛むことがないように」
懐かしく、愛おしい人へと向けて。届かぬと知りながら、届いてほしいと願いを込めた。
星が煌めいた。澄んだ音を立てるかのように、小さな光がいくつも瞬いていく。
星を見上げる男の口元が、微かに緩む。望郷の思いを宿した目が、静かに揺らいでいる。
「あとどれだけの夜を過ぎれば許され、帰ることができるのだろうな」
目を伏せ、男は呟いた。
星と雪に見守られながら、男は歩き出す。
当てもない旅を、一人続けていく。
ふと、誰かに呼ばれたような気がして顔を上げた。
辺りを見回すが、誰もいない。彼女が戻って来た様子もなかった。
「気のせいかな?」
そう思いながらも、一度止まった手は動かない。何かが気になり、心が落ち着かない。
無意識に胸元のペンダントを握り締める。いつの間にか持っていたこれは、輝きを失った星屑で作られている。
目を閉じて、深呼吸を繰り返す。次第に心が落ち着きを取り戻し、目を開けペンダントに視線を落とす。
思いや感情を宿さない、ただの抜け殻。それなのに、何故こんなにも愛おしく感じるのだろうか。
籠の中の星の欠片に手を伸ばす。中から赤く煌めく欠片を取り、箱に入れるでもなく掌に乗せて眺めた。
掌から伝わるのは、愛の詩。聞き入りながら、ペンダントの星屑にかつて宿っていたものは何だったのかと思いを馳せる。
忘れてしまった誰かからもらったのだろうペンダント。禁忌を犯してまで届けようとした思いは何だったのだろう。
手の中の赤い欠片を見つめながら、その誰かに届けられたらいいのにと密かに思う。
星の欠片を、私的に贈ることは許されない。それを知りながらもそう思うのは、誰かを愛しているからだろうか。
ふっと笑みを浮かべて、欠片を箱の中に入れる。
記憶から抜け落ちてしまった誰か。愛おしく、大切な人。
箱に思いを宿した星の欠片を入れながら、今日もまた、箱を誰かに届けたいと願っている。
20260130 『あなたに届けたい』
海面に映した顔で道筋を
祈りも満ちて凪いだ十秒
"あなたに届けたい"
あなたに届けたい
「ハァ、ハァ、ハァ」
今俺は、駅に向かって走っていた。
「何で…だよ」
今朝起きたとき母に
「お隣さん、出発しちゃったわね」
と、言われたから。
「何で、何も言わずに引っ越しなんて…お前は俺の、親友だろ?」
母から
「え?何も聞いてなかったの?てっきり、知ってると思ってたわ」
と言われた俺の、ショックは大きい。
「一言、直接会って言ってやらなきゃ」
必死になって足を動かし、駅が見えたとき、あいつがいるのを見つけた。
「おい」
あいつが行ってしまわないように、大きい声を出すと、あいつが振り向く。けど、俺の姿を見たあいつは逃げるように駅に入ろうとした。
「おい、待てって」
が、あいつが入るのを腕を掴んで止めたのは、あいつの母親だった。
「ありがとうございます。待っていてくれて」
肩で息をする俺にあいつは顔を背ける。でも
「逃げないできちんと話しなさい。あなたに届けたい想いがあるから、わざわざ来てくれたんでしょ」
母親に促され、俺たちは2人きりで話すことにした。
「何で、何も言わなかったんだよ」
2人きりになっても俺の顔を見ず、俯くお前にそう言うと
「言えるわけないだろ?同じ高校に入って同じ部活に入ろう。って約束したのに、引っ越すなんて…」
絞り出すような声に
「バカだな。引っ越すのはお前のせいじゃないだろ?気にすんなよ」
お前の肩を叩くと
「でも…」
お前は顔を上げたけど、泣きそうな顔をしている。
「お前が遠くに行ったとしても、親友なのは変わらない。それに、同じ場所で何かする。なら、高校じゃなくても、大学でも、会社でもいいだろ」
ニッと笑うと
「うん。絶対どこかで一緒に何かしよう」
お前の表情が和らぐ。
「ああ。約束だからな」
笑顔になったお前を駅で見送り
「想いが届いて良かった」
とホッとしながら家に戻るのだった。
【お誕生日】
「よし、準備OK」
部屋をぐるりと見渡す。壁には豪華な装飾、机の上には彼の好きな料理たち。いい匂いを漂わせる料理たちに頬が緩んだ。
今日は彼の誕生日。いつも支えてくれる彼に感謝を伝えたくてこんなに合成にしてしまった。
彼との付き合いは長いけれど、いつもこの時間は緊張してしまう。大丈夫かな、喜んでくれるかな?
その時、玄関の扉が開く音と「ただいまー」という声が聞こえた。私は扉の前に立ち、彼が来るのを待つ。足音がどんどん近くなっていくごとに、私の心音も早くなっていく。
そして、扉が開かれた。
「お誕生日おめでとうー!」
さぁ、あなたにとびっきりの感謝を
【あなたに届けたい】
「だいきらい。2度と会いにこないで」
幼かったわたしの一言を受けて、義姉は姿を消した。
兄の葬儀の2日後のことだった。
幼いわたしは兄が病死したのは、ずっと彼女のせいだと思っていた。大好きな兄を取った彼女をうらみ、それでも優しくしてくれるから嫌いになりきれなくて、もやもやしていたものが兄の死をきっかけに表面化してしまった。
私の言葉を聞いた彼女は老婆のようにうつむき、何も言わずに去っていった。そして行方をくらましてしまった。
後悔したけれど、もう遅い。やさしかつた義姉はどこかに行ってしまった。誕生日の夜にプレゼントのお礼を伝えた電話番号にかけても、誰にもつながらない。
あれから10年。わたしは彼女に電話をかける。つながらないとわかっているのに、それでも彼女に謝りたくてコールする。
分かってる。わたしがやっていることはただの自己満足で、なんとか綺麗な結末に取り繕いたくてあがいてるに過ぎないんだと。
それでも義姉の教えてくれた言葉が背中を押す。
わたしたちの体を作る構成分子は星屑なんだと。右腕と左腕は宇宙のどこかから訪れた違う星屑のカケラなんだと。
もしかしたら、そう、本当にもしかしたらわたしの左腕と義姉の右腕は同じ分子で出来ていて、それを伝って声が届くかもしれない。
私の祈りは星屑を通して時を越え、願い奇跡にたどり着くかもしれない。
長いコール音の後、誰かが優しい声で応答してくれた。あの時の義姉の声だった。