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あなたに届けたい

「ハァ、ハァ、ハァ」
今俺は、駅に向かって走っていた。
「何で…だよ」
今朝起きたとき母に
「お隣さん、出発しちゃったわね」
と、言われたから。
「何で、何も言わずに引っ越しなんて…お前は俺の、親友だろ?」
母から
「え?何も聞いてなかったの?てっきり、知ってると思ってたわ」
と言われた俺の、ショックは大きい。
「一言、直接会って言ってやらなきゃ」
必死になって足を動かし、駅が見えたとき、あいつがいるのを見つけた。
「おい」
あいつが行ってしまわないように、大きい声を出すと、あいつが振り向く。けど、俺の姿を見たあいつは逃げるように駅に入ろうとした。
「おい、待てって」
が、あいつが入るのを腕を掴んで止めたのは、あいつの母親だった。
「ありがとうございます。待っていてくれて」
肩で息をする俺にあいつは顔を背ける。でも
「逃げないできちんと話しなさい。あなたに届けたい想いがあるから、わざわざ来てくれたんでしょ」
母親に促され、俺たちは2人きりで話すことにした。
「何で、何も言わなかったんだよ」
2人きりになっても俺の顔を見ず、俯くお前にそう言うと
「言えるわけないだろ?同じ高校に入って同じ部活に入ろう。って約束したのに、引っ越すなんて…」
絞り出すような声に
「バカだな。引っ越すのはお前のせいじゃないだろ?気にすんなよ」
お前の肩を叩くと
「でも…」
お前は顔を上げたけど、泣きそうな顔をしている。
「お前が遠くに行ったとしても、親友なのは変わらない。それに、同じ場所で何かする。なら、高校じゃなくても、大学でも、会社でもいいだろ」
ニッと笑うと
「うん。絶対どこかで一緒に何かしよう」
お前の表情が和らぐ。
「ああ。約束だからな」
笑顔になったお前を駅で見送り
「想いが届いて良かった」
とホッとしながら家に戻るのだった。

1/31/2026, 9:16:04 AM