『あじさい』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
雨の中傘を差しながら二人で歩いていると道の傍らに咲く花に彼女が気づき吸い寄せられるように近寄って行った。
「あじさいが見れるようになるから梅雨っていいよね。」
同意できない。彼女の感性はときどき僕とは合わない。僕はそれだけではまったく梅雨を許せない。季節を楽しめない僕は彼女の感性を羨ましく思った。
「あ、見て。かたつむりだ。かわいい。」
同意できない。彼女の感性はときどき僕とは合わない。僕にとってはむしろ気持ち悪い。可愛いという言葉を聞いて僕はつい前から思っていたことをこのタイミングで彼女へぶつけてしまった。
いつも可愛いって言ってくれるけどそれってかたつむりと同じような可愛さの意味で言ってる?
彼女はよく僕を可愛いと言う。外見も内面もしゃきっとできずどろどろとしたなめくじのような僕にだ。前からそれが不思議で仕方なかったのでつい口を滑らせ聞いてしまった。ああ、面倒くさいなめくじな質問。彼女は即答した。
「うん、そうだよ。」
そうなんかい。
と僕も反射的に言うとすぐに冗談だよと彼女は笑った。彼女があまりに早くそして真顔を作って答えるから僕も笑った。それから二人の笑いがおさまった後で彼女はいたずらっぽい目をこちらに合わせて言った。
「 ?」
僕は同意した。
貴方はあじさいが好きだったね。
夏の時期になると、私をあじさい畑に連れて行って、笑顔を見せてくれたね。
初夏の雨、夏の日差し、あなたの笑顔。
私の好きなもの。
でも、今となってはあなたは好きなものを見せてくれない。
初夏の雨、夏の日差し、遺影のあなたの笑顔。
そんなあなたにあじさいを飾る。
あじさい
あじさいは、土壌が酸性では青、アルカリ性ではピンクになるといわれている。この性質をいかしたミステリーものを、何回か見た記憶がある。
要は、あじさいの下に死体が埋まっていて、そこだけ色の違うあじさいが咲いている、というものだ。
それから、色が変わる、ということから心変わりする、人間関係が変化するという象徴にもよく使われる。
当のあじさいは、そんなことに使われているのもいちいち気にはしないだろうが。
あじさいの花びら(正確には萼が発達したものらしい)の瑞々しさと、ミステリアスな物語の対比。何度も創作に使われるのはこういうところに魅力があるのかなと思う。
という話を年上の彼女にした。
コーヒー淹れたよ。 彼女がカップを運んできた。
ありがとう。 僕が手に取ろうとすると、
ちょっとまって。 と言って、スプーンでブラックコーヒーをかき混ぜて、生まれた渦の中にミルクを流した。
僕、ブラックでいいんだけど。
ほら見て。茶色に変わったよ。
うん、わかるよ。
色、変わったよ。
うん。
いろ、変わっちゃったね。 彼女が虚ろな目でつぶやいた。
な、なに?なんですか。どうしたの?
……プリン。
あっ、と思わず声が出た。忘れていた。こっそり食べたから後で買い足しておこうと思っていたのだが。
彼女は、今度は自分のカップをかき混ぜて、ミルクを入れようとしながらこっちを見た。
私のも変わっちゃうよ。ほら。いろ、変わっちゃうよ。もしかしたら、私の心も……。
ごめんなさい、ごめんなさい。す、すぐに買ってきます。
【旧地獄(地底)で暮らす少女さとり】
『ペラ、ペラ。パタン』
さとり「ここまでにしておきましょう。」
私は読んでいた本を閉じ、重たい腰を上げる。外からお燐の心の声が聞こえてくる。どうやら私を呼ぼうとしてる。
猫燐「さとり様。さとり様〜。今よろしいですか?」
そんな軽快な声がドアの向こうから聴こえる。
猫燐(さとり様今大丈夫かな?)
ふふ、大丈夫よお燐。私は返事を返した。
さとり「えぇ。構わないわよ。」
そう言うと、キキっとドアの古さを感じさせる音が聞こえる。
猫燐「失礼します。さとり様、今日のスケジュールは覚えてますよね?」
さとり「覚えてるわよ。」
猫燐「そのことで一点付け加えたいことが…。」
さとり「なるほど、紅魔館に行く際贈り物を持って行くと。」
猫燐「はい。それもさとり様ご本人が作るケーキとかどうでしょうか。
じめじめどんよりした日々の中で、その色だけが綺麗に輝いていた。
「その色、綺麗だね」と言ったら、君は嬉しそうに「でしょー?」と言った。
髪を青紫に染めていた。どうやら、あじさいをイメージしたらしい。
暗い雨の中でも美しく咲く花。君にぴったりだね。
でも、何色でも綺麗だって思ってしまうんだけどね。
『あじさい』
老人になっても悲しくなると知る
自分がいつの間にか老人となってる事を知る
分厚く強固になる皮膚と同じに心も分厚く強固になると思ってたのに
傷つくんだな
脆い硝子だった心はひび割れぐらぐらに撓み抽出液を塗り固めぶよぶよとなんだって飲み込む気持ちの悪い心になったと言うのに
まだ傷つく
まだ傷ついてしまう
何気ない言葉に悲しくなる
もらえない手に立ち竦む
早く早く早く!思い通りに動かなくなった手脚を無様にうごかして早く早く早く早く早く早く早く
投げられた言葉に悲しくならない心手に入れなくては
もらえなくなった手の代わりの頑丈な杖を生やさなくては
やっぱり傷つかないロボットになりたい
あじさい
いつもの時間
いつもの坂道
いつものあじさい
いつかと違う
移ろう彩り
見つけて思わず
喜び微笑む
題:「紫陽花」
『今日も、一日を通して雨になるでしょう。お出かけの際は足元に十分、お気をつけください。以上、天気予報でした』
テレビから聞こえてくる天気予報を確認して、身支度を整える。
カメラをバッグにしまい、大きめな傘を手に取り外に出た。
目的は、雨に濡れても美しく咲く花を撮る事。
「雨なのに出かけるの?」
「紫陽花が今見頃なんだ。君も行くかい?」
「行かないわ。まだ寝ていたいもの」
「わかったよ」
ベッドに横になりながら、眠たそうな目を擦っている恋人にキスを落とし家を後にする。
目的地は近い。
今が満開だとニュースで観てから早く行きたくて仕方なかった。
カメラを片手に、満開に咲きほこる紫陽花をまずは目に焼きつける。
色鮮やかに咲き乱れている紫陽花たちは、雨にあたりイキイキとしている。
彼女にこの景色を見せたいのに……
出不精な彼女のために、緑色の紫陽花をみつけカメラに収める。
「気に入ってくれるかな」
今から現像が楽しみだ。
2024年6月14日
SIVA5052
あじさい
(本稿を下書きとして保管)
2024.6.13 藍
「あじさいって、君に似てる」
(小さな花が寄り集まって丸くなって、咲く場所に合わせていろんな色に着飾るところが健気で可愛いから)
「へえ、そうなんだ?」
(本当は豆粒より小さな花なのに萼を広げて取り繕ってるところとか?)
あじさい…
雨が紫陽花を輝かせるように、人を輝かせるのは恋である
(名無しの格言)
友達に孫ができた、この年になって思う。
「恋は遠い日の花火ではない」
っていうコマーシャルが刺さったのは、
一般的中高年の私らにとって、恋が遠い日の花火だからだ。
命短し恋せよ乙女…(。・ω・。)ノ♡
『あじさい』
梅雨は嫌いだ
雨よ降らないで
じとじとした暑さの中
上品に咲く紫陽花があると
一気に梅雨を風情が彩る
お気に入りの傘で雨の中
この時期だからこそ咲く花を見れば
梅雨も悪くないなと思えるのだ
毎日の忙しさにくたびれて
毎朝の憂鬱な移動の中で
ちょっとした喜びをくれる紫陽花の花
朝、雨が降るとなんだか憂鬱な気分になる。
雨が滴るあじさいは迚も綺麗なものだけれど、浮気、と云う花言葉と相まってなんだか泣いているようでどうも良い気分にはなれなかった。
あじさいが泣いているように見えて、悲しくなってしまう。
青、紫、ピンクえとせとらと沢山の色で彩られた近所に植えられたあじさいは見事なものだ。ほぅっとため息をついてしまいそうなほど美しい。
雨が嫌いな訳では無い、梅雨は好きな季節だ。
あじさいが嫌いな訳でもない、花の中では好きだ。
それでも何となく憂鬱な気分になる。
可笑しいでしょうね。何の矛盾かしら。
梅雨もあじさいも大好きなのに、憂鬱になるのは、この上なく悲しい。
私は今日も矛盾を抱えて生きていきます。
美しいあじさいのように、然し、何処か悲しく、悲恋に満ちたあじさいのように、私は生きていきます。
私が何処にいるかご存知かしら。
もう二度とお目にはかかりません。
あじさい…
道ばたに あじさい灯す 雨あがり
見つけた人は 幸せになれ
急な夕立なので、小さな折り畳み傘で帰らなければならなくなった。
私は梅雨は大嫌いだ。
ずっと雨に降られている気がするし、心なしか気分も悪くなる。それに、偏頭痛も酷くなる。できれば梅雨なんて、1日でも少ない方が私はありがたい。
ふと道端の花を見た。
見事なほどに水色のあじさい。形容するなら、夏の昼頃の空の色。太陽が空の頂点にいる時の、透き通った青い空。
梅雨のせいで空はねずみ色の雲に覆われて、空が見えない日が続いていたけど、このあじさいの色が、私に夏が来ること、そろそろ空も見られると教えてくれたんだ、多分。
夕立は少し穏やかになり、雲の隙間から太陽が顔を出した。そして、虹がねずみ色の空を彩っていた。
いつまでも君との関係が続くと思ってた。
だけどそんなことはないこと無かった。
1週間前、君が他の女とデートしていたのを
見つけてしまった。
あのときの君は私とのデートの時以上に
とても楽しそうだった。
私は今までたくさん君に尽くしてきたのに
裏切るなんて
どうしようかと考えている時、
君が花言葉に詳しかったことを思い出した。
だから君に紫陽花送ろう。
たとえ君が私が気づいていることを知っても
君なら私よりもあの女を選ぶだろう。
だから君に紫陽花はぴったりなんだ。
「移り気」で「冷酷」な君に
夏がすぐそこまでやってきている
今日も雨。
雨は好きだ。
人によっては憂鬱になったりするのかもしれないが
私は静かな雨音に耳を傾けながらの読書も悪くないと思っている。
しかし私ももう歳だ。
出不精とゆうのは体を壊す一因になりかねない。
私の好きな天気で散歩も悪くないだろう。
妻が好きだと言う少しだけ可憐な気もする雨傘を差し
そっと家から出てみる。
いつも通りな道は水溜まりが出来て
いつも猫が居る高い塀はじっとりと濡れて
いつも子供の声が聞こえる公園は閑散としている。
公園には紫陽花が咲いていた。
梅雨も終わり日差しが肌を焼くような猛暑
孫が遊びに来て宿題の自由研究をやっている。
鈴の音を転がすかのような声が言う
『公園に行こうよ、おじいちゃん!』
彼女の可愛らしい水筒を首から下げさせ
元気に飛び出す彼女を見ながら
そっと家から出る
いつも通りな道は蝉の声が聞こえ
いつも猫がいる高い塀は触ればやけどしそうな暑さ
いつも子供の声が聞こえる公園はいつもより元気な声が聞こえる。
『あ!みて、紫陽花だ!』
日がジリジリと照りつける中で
今にも枯れそうな紫陽花はそこに確かに咲いていた。
雨に抱かれた紫陽花は
まるで
恋する乙女のよう
胸に秘めた想いを
隠しきれないほどに
雨の雫で色を増す
# あじさい
緑の美しい葉の上に
ぽっかり浮かぶ玉ような
紫陽花の花
色も形もそれぞれ
土の状況によっては
咲いてから
色を変えたりもする
思うままに
しなやかに
今を咲き誇る
その姿に
しばし
足を止める
あじさい
昨日水辺に咲いてて
ふと梅雨を感じた。
季節の花だったり、
季節の色、匂い、文化…
色んな事に頭を使える人って
素敵だと私は思う