SIVA5052

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題:「紫陽花」

『今日も、一日を通して雨になるでしょう。お出かけの際は足元に十分、お気をつけください。以上、天気予報でした』

テレビから聞こえてくる天気予報を確認して、身支度を整える。
カメラをバッグにしまい、大きめな傘を手に取り外に出た。
目的は、雨に濡れても美しく咲く花を撮る事。

「雨なのに出かけるの?」
「紫陽花が今見頃なんだ。君も行くかい?」
「行かないわ。まだ寝ていたいもの」
「わかったよ」
ベッドに横になりながら、眠たそうな目を擦っている恋人にキスを落とし家を後にする。

目的地は近い。
今が満開だとニュースで観てから早く行きたくて仕方なかった。
カメラを片手に、満開に咲きほこる紫陽花をまずは目に焼きつける。
色鮮やかに咲き乱れている紫陽花たちは、雨にあたりイキイキとしている。

彼女にこの景色を見せたいのに……
出不精な彼女のために、緑色の紫陽花をみつけカメラに収める。

「気に入ってくれるかな」

今から現像が楽しみだ。



2024年6月14日

SIVA5052

6/13/2024, 10:28:09 PM