題:「私の日記帳」
私の日記帳は真っ黒だ
毎日あったことを事細かに書きすぎて、書いてる手の腹まで真っ黒になるくらいだ
人に見せろと言われたら?
……まぁ、見せられるさ、大丈夫
実名は書いていないし、なんたって小説風な書き方だから、これがまさか日記だとは思わないだろう
そう……
これは、“日記帳”という題名の、リアルな小説さ
2024年8月27日
SIVA0502
「もぉー!今日も暑すぎん?」
ワイシャツをうちわ代わりにパタパタさせながら、天を仰ぐ彼女。
「こーんな暑い日には、プール行きたぁい!よね?」
「え、プール?」
「いいじゃん」
「やだよ」
「なんでよー!」と、言いながらパタパタ仰ぐ。
そのはだけたワイシャツの胸元が気になりながら、視線のやり場に困り「でも、雨が降るってさ」なんて言えば
「うっそー!」
ガッカリ肩を落とす。
雨はいつまで続くか分からない。
「……明日、もし晴れたら、さ……」
(一緒にプールに行くか)
「ん?なぁに?」
(今更恥ずかし過ぎて、言えない)
下を向き言葉をつまらせてると、顔を覗かれ「明日、もし晴れたらさ、プール、一緒に行く?」汗ばんだ顔だけど、整った目鼻立ちに見惚れ返事が遅れた。
目を丸くしている俺に、ニンマリ笑顔を見せる君。
「可愛い水着、着るからね」
今夜は眠れるだろうか。
2024年8月2日
SIVA5052
カランコロン 下駄鳴らす
気になるあの娘がやってくる
僕の前に立つ君が 乱れた御髪を直す姿に
一人ソワソワソワ 胸踊る
手を伸ばし 手を繋ぎ 汗ばむ互いの熱感じ
人混み揉まれ 綿菓子買って
聴こえる夏の夜空から 花火と一緒に盆踊り
あの娘のしなやかな踊り姿眺め ふと気付く
(あぁ なんて日だ やっぱりあの娘が好きなんだ)
帰りに言おう “君が好き”
2024年7月29日 SIVA5052
題:「1年後」
「じゃあ、また……」
「……うん、また、約束、ね」
あの言葉から1年経った。
俺は約束の場所で、彼女を待つ。
来るとは思っていない。
けど、どこか片隅では期待している。
「嬉しい」
後ろから声が聞こえた。
俺も嬉しい。
向き直り、1年経った彼女の大人びた姿をみて俺はまた恋をした。
2024年6月24日
SIVA5052
題:「紫陽花」
『今日も、一日を通して雨になるでしょう。お出かけの際は足元に十分、お気をつけください。以上、天気予報でした』
テレビから聞こえてくる天気予報を確認して、身支度を整える。
カメラをバッグにしまい、大きめな傘を手に取り外に出た。
目的は、雨に濡れても美しく咲く花を撮る事。
「雨なのに出かけるの?」
「紫陽花が今見頃なんだ。君も行くかい?」
「行かないわ。まだ寝ていたいもの」
「わかったよ」
ベッドに横になりながら、眠たそうな目を擦っている恋人にキスを落とし家を後にする。
目的地は近い。
今が満開だとニュースで観てから早く行きたくて仕方なかった。
カメラを片手に、満開に咲きほこる紫陽花をまずは目に焼きつける。
色鮮やかに咲き乱れている紫陽花たちは、雨にあたりイキイキとしている。
彼女にこの景色を見せたいのに……
出不精な彼女のために、緑色の紫陽花をみつけカメラに収める。
「気に入ってくれるかな」
今から現像が楽しみだ。
2024年6月14日
SIVA5052