『あじさい』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
君の冷たい肌に触れた。
しっとりと滑らかな白い肌。
君の黒い髪を撫でた。
いつまでも撫でていたくなる、やわらかい猫っ毛。
君の鼻をつまんだ。
高い鼻、綿が詰められてて、ちょっとブサイク。嘘、どんな姿でも君は可愛いよ。
君を囲う色とりどりの花達。
君が寂しくないように、君が好きだと言っていたコ達を沢山入れてもらった。
お棺の中の君の、安らかな顔を見つめる。
転寝しているような、美しい寝顔。
もう二度と見ることは叶わない君の顔を、この目に焼きつけるように。
テーマ「あじさい」
「あじさい」
色濃く鮮やかだった思い出は
涙に打たれて色が流れて
あなたの顔さえ霞んでいく
笑顔も泣き顔もぬくもりも名前を呼ぶ声も
もう思い出せないのに
褪せた花が束になって
あなたをぼんやり思い出す
あなたなんかあじさい
今だけ
あなたを描いた水色が
目からこぼれても
涙の季節を抜けたら
色づくものか
思い出してやるもんか
私の心が紫陽花
場所によって
その色に染まるの……
学生時代……
どこか浮いてしまって
周りと馴染めなかったこともある
彼氏が出来て
彼好みに染まった
別れることになって
昔の私ではなく
また別の……色をつけた
私の心が紫陽花
接する人によって
その色を変えていく
友達
恋人
先輩
後半
上司……
皆が私を変えていく
些細なことで怒ったり
笑ったり、泣いたり、叫んだり
些細なことで恥ずかしくなったり
様々なことで色を変えていく
私の心が紫陽花──
(2023.06.13/あじさい)
あじさい
学校終わり小雨が降っていたので
傘を並べて友達と帰ってたら、
道端に綺麗なあじさいを見つけたの。
私
「小さなお花が集まってとっても仲良しさん。」
彼
「もしかしたら沢山のお花の中に
君とそっくりなお花の子がいるかもしれないね。」
私
「きっと隣にはお母さんとお父さんがいるの。」
彼
「その子は好きなお花の子はいるかな。」
彼はその子の声が聞きたくて
そっとあじさいに耳を傾けた。
そうすると小さな小さな声が聞こえてきたの
「私あなたが好きだったの。」
参考にしたあじさいの花言葉
「一家団欒」「移り気」
今日のおやつは
あじさいゼリー
見た目に涼やかで
とてもきれいな青紫
心が洗われるような
やさしい色合いだった
私の分はないので、食べていないけれど
梅雨時のささやかな癒やし
あじさいは好きな花
「あなたって、紫陽花みたいだね」
「服の色とか?」
「んーん、違う」
分からなくていいよ
夜の音に 息を溶き
貴方の鼓動に 身を寄せる
眠らぬ街 艶やかに笑う声
夜空と踊る 星の子達よ
照らす 肌は陶磁器のやう
はだけた着物に 泳ぐ目が
妖しい瞳に 囚われて
月が綺麗ですね
唐紅に染まる口元 紡ぐ静かな言の葉は
月は手の届かぬから美しい
嗚呼 まだ夜半ば
朝は遠く
お題【あじさい】
タイトル【香り玉】
あじさいは花が大きくて美しいのよ
紫や青紫の美しくて
梅雨時期に咲くから
“雨の花”とも呼ばれてるのよ
お寺や庭園に植えてあるものなの
私達にとってあじさいは
馴染み深い花の1つなのです
『 紫陽花 』
梅雨になるとよく色んな家の庭から顔を出していたりする。
そしてリトマス試験紙を思い出すのだ。
ここのはアルカリ性の土壌?とか。
酸性が強いから、こんなに青いのかな?とか。
あれ?リトマス試験紙って
アルカリと酸性の色逆だっけ。
なんて頭の中でぐるぐる···
だけど雨の日のその佇まいは
只々美しい。
わたしのお気に入りは中性色。
あじさい
俺はもう見ることはできないあじさい。
でも見えなくていい。
あじさいはとても綺麗だったから。
ただそれだけで好きだったから。
見えなくなってから知った真実。
あじさいは恋運を下げる花であるということ。
花も人間も同じ。
知らなくていいことはたくさんあり
それはいつも内面に潜んでいること。
その色と同じように、
心に多彩な思い出を刻む花
#あじさい
ふつう、梅雨だから、6月だから
あじさいが咲いているんだと気がつく
しかし、私はあじさいが咲いていることで
ああもう梅雨なのか、もう6月かと気がつく
桜だって、紅葉だっていっしょ
植物からこっそり時間を教えてもらうんだ
_あじさい
あじさいの葉っぱの上で、
カタツムリ二匹が踊っている。
色鮮やかな水色や紫色の花々は、
雫をくっつけておめかししている。
サァサァと降る小雨は、
その空間に合うようなBGMに変わる。
今日もまたどこかでやるみたい。
是非、雨の日の舞踏会へ来てみてはいかが?
〜あじさい〜
『ひねくれてる』
知ってた?あじさいって
酸性の土だと青色に咲いて、
アルカリ性の土だと赤色に咲くんだって。
ひねくれものだよねぇ~。
なんちゃって。
あじさいを見ると、梅雨が来たなぁって凄く思います。
お題:《あじさい》
雨の季節のお楽しみ
ちょっとそこまでのお散歩で
万華鏡の世界に入れるの
あお、むらさき、ぴんく、しろ…
みどりから咲きこぼれるのは
『 カ ラ フ ル 』
日ごとに表情を変えるから
何度だって会いに行く
庭先の紫陽花の葉をもいで
水たまりに浸けた人差し指で葉をなぞる
すぐに砂をかければ
文字が浮かび上がる
ぼんやりと
くっきりと
乾いてしまう前に
それとも
乾いて消えて
わからなくなるように
歩いたり立ち止まったり
あなたに渡した紫陽花の葉は
雨の中で泳いでいる
くっついていた砂も想いも流されて
跡形もなく流れていく
「あじさい」
前住んでいた街に
紫陽花が綺麗に咲く
道があった。
あの時は
青や紫の花が多かった。
今年も
綺麗に咲いてるのかな?
引っ越してきた街にも
紫陽花が綺麗に咲く
公園があった。
青も紫もあったけど
赤や白の花もたくさんあった。
紫陽花は
土によって
花の色が
変わるらしい。
さて
わたしは
この街で
どんな色に染まるのかな?
#あじさい
お題 あじさい
僕の知り合いには、花好きな人がいる。
彼の庭には、季節ごとに沢山の花が植えられていて、近所でもちょっとした名物になるほどの美しさらしい。
春には桜、夏に月下美人、秋に彼岸花、冬には椿。
何度か彼のお宅にお邪魔させて貰ったが、なるほど噂に違わぬ素晴らしさ。
いつからか、季節の変わり目には必ず彼の家を訪ねるようになっていた。
「紫陽花、今年は咲くのが遅いね。」
それは、例年通り彼の庭を訪ねた時の事だった。
陰鬱な雨の続く水無月の中で、彼の庭を見て心を落ち着かせようと思ったのだが、
「実は最近、庭の調子が悪くてね。」
申し訳なさそうな顔の彼の後ろには、鮮やかな緑葉を茂らせた紫陽花の生垣。
その光景を見て最初に思ったことは、純粋な驚きだった。
毎日の手入れを怠ったことのない彼が間違えるなんて、珍しいと思ったのだ。
「悪いけど、また来週来てくれ。来週中には咲くはずだから。」
その言葉を信じ、私はひとまず家へ戻った。
それから約一週間後、彼は逮捕された。
殺人と、死体遺棄の罪だそうな。
ふと、あの紫陽花は何色に咲いたのだろうと考えた。
窓には水滴が流れ落ちた。
梅雨の時期に入り、雨が降る日が続いた。
私は、6月のこの時期になると、必ず行くところがある。
私は、傘をさして歩いた。
歩いた先は、公園だ。
ここの、公園は6月の時期になると、名前通りの公園になる。私は、歩いて、公園の中央までたどり着いた。
ドーム城のような、形に盛り上がったところ見た。
そこには、なん万本と連なるある。「あじさい」がある。
私は、この目の前に広がる、あじさいを見るのが好きで好きでたまらなかった。
上から落ちてくる、雨粒が大きく開いたあじさいの花に当たり、葉、茎と流れ地面にたどり着く。
私は、耳を澄ました。雨音とあじさいたちが奏でる音に。
最後に深呼吸をして、私は歩きだした。
公園の名は「あじさい公園」安直だが、地元民しか知らない。公園だ
#019 『一度だけの理由』
紫陽花が咲く頃になると、そろそろ実家に顔を出さなきゃと思う。
実家は居心地のいい場所ではなかったから、お盆や年末年始でさえ、理由をつけて帰省しないことの方が多かった。年に一度も顔を出せば十分だよという姉の言葉と距離に甘えて、今年はまだ一度も帰省していない。
夫と娘の都合を聞いて、姉の都合を聞いて、それから駅前の和菓子屋の営業日を確認した。今年も取り扱いの始まった紫陽花のお菓子の画像をうっとり眺め、帰省という儀式の後の唯一のお楽しみに想いを馳せる。
アレルギーで洋菓子が食べられないわたしにとって、そのお店のお菓子は洋菓子にも負けないくらいキラキラして見えた。私が子供の頃は全然そんなじゃなかったけど、キラキラの路線に足を踏み入れてからは、昔ながらの定番のお菓子と並行して、色鮮やかで華やかなお菓子展開を継続しているらしい。
中でもわたしが一等お気に入りなのは、淡く色づけた寒天を細かく刻み、白餡を包んだお菓子だった。洋菓子店のショーウィンドウに張り付いてたわたしがアレルギー持ちと知った和菓子屋のご主人が特別に作ってくれたものだった。
駅前に降り、梅雨の合間のじっとり重い空の下からお店に入れば、色鮮やかな練り切りをはじめとしたお菓子ぎ所狭しと並んでいる。
「いらっしゃーい、……あら! 久しぶりやね」
年に一度しか顔を出さないのに、女将さんは今も顔を覚えてくれていた。
「紫陽花のお菓子、今年もいただきに来ました。自宅用に六個と、それからお土産でこっちの……」
この時期にしか立ち寄らない事情を聞きもせず、女将さんは愛想よくお菓子を包んでくれる。
「いつもありがとうね。またご贔屓にね」
紙袋を手に店を出ると、来た時には視界から外れていた駅舎の横で色鮮やかな紫陽花がさざめいていた。
お題/あじさい
2023.06.13 こどー