『「ごめんね」』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【「ごめんね」】
「ごめんね」
そう言った時の、あいつがどう返したか、どんな顔だったか、全然覚えていない。
ただ、近くを走る電車の音、強かった風、窓から差し込む夕日がやけに眩しかったこと、そんなのばかり記憶にある。
もう会えないかもしれないから、もう一緒に活動できないだろうから、だから。
「ごめんね」
自分が泣かなかったか、笑っていられたか、それも覚えていない。
半袖
「そういえば君は半袖の服をあまり着ないよね。」
彼女の夏の装いは七分袖くらいがほとんどで、よっぽど暑い日以外では半袖を着ていない気がした。
「…うん。」
「どうして?半袖姿もかわいいのに。」
無理強いする気はないけれど。本音を言うともっと半袖の服とかスカート姿とか見たい。眼福だ。
「…腕太いから。」
「え、そんなことないって!」
「そんなことある…。」
「俺は好きだよ?君の二の腕ってむにむにでやわらかいからさ!あ、もちろんそこだけじゃないよ?足もおなかもおしりもむちむちで全部好き。それにさ、二の腕のやわらかさって胸の…いてっ!」
左肩に走った痛み。かわいい手でかわいい物理攻撃をされたようだ。へへ、かわいいなあ。
どれ、そのかわいい顔を見てやろう。ううん?
何故か彼女は真っ赤な顔で俺をにらんでいる。
「………ばか。」
「え?!え、なんで?!いや俺は馬鹿だけど!ああ待って!ねえ!」
ふたりの狭いベッドの上に小さなふて寝山がこんもりとできていた。ああかわいい。あわよくば、このまま。
「ねえ…本当だよ?君のぷにぷにしたところ大好きだよ?かわいいよ?今だって…うしろからぎゅーってしてさわりたい…だめ?」
「…だめ。」
「なんで…。」
嘘なんかついていない。本当に君の全てが愛おしくて大好きで食べてしまいたいくらいなのに。
「……謝れ。」
「え。」
「……ごめんなさいは?」
「…ええ…。あ、と、その…。」
「ごめんね」
「オ.ポノポノ」という言葉があります。
「ありがとう、ごめんなさい、許してください、愛しています」と心の中で唱えるおまじない。
これは、自分に対しての言葉。
インナーチャイルドを癒したり
ワンネスの意識で行うと、これは、宇宙全体に届く魔法の言葉。
「ごめんね」
僕は言葉でも心の中でも謝ってばかりだ。
僕は人に嫌われるのが嫌いだから。
だから、ちょっとしたことで相手を傷つけてしまったのではないかと不安になり、ごめんねと謝ってしまう。
でも、誰かが言っていた。
謝るよりも、感謝の言葉を述べようって。
相手が何か指摘をしたなら、ありがとうを。
相手に申し訳なく思ったのなら、日頃の感謝を。
ネガティブな言葉よりも、ポジティブな言葉を返せば、相手も自分も晴れやかな気持ちになれるんじゃないかと思います。
洗濯の 上手ヘタない 現代だ
毎日の 悩み事あり 乗り切るぞ
唯一、日本語で多く使う言葉。それは「ごめんね」
言い方を丁寧に変えても、意味は同じ。
しかし、それには中身のないモノが多い気がする。
相手の機嫌を取るために、自分を保身するために
使われることが多い。それを言う私も、自分のために「ごめんね」を使っている。
嫌われたくないから「ごめんね」
1人になりたくないから「ごめんね」
大切にして欲しいから「ごめんね」
便利であり、不便な言葉だ。
やすっぽいの
感情が。
くっついたり、はなれたり。
/『ごめんね』
まだ子供が小さかった頃、私は自分の性格的なこともあって、なかなか子育てに向かい合うことが出来なかった
自分の思い通りにならない毎日に苛立ち、時には子供の存在を疎ましく感じることさえあった
そんなある日、子供のとった態度がいつも以上に癇に障り、激昂しながら突き飛ばしてしまった
驚きと恐怖の表情で子供は泣き叫んだ
ひとしきり泣いた後、子供はしずしずと私のそばに来て消え入りそうな声で言った
「 生まれて来て、ごめんなさい」
私が今まで生きてきた中で、一番言わせてはいけない「ごめんなさい」だった
あれから長い時が流れた今も、その時の子供の表情とあの時の声は、私の心に大きなトゲとして刺さったままだ
むしろそのトゲは抜いてはならないと、自分が子供に与えた大きな傷として向き合い続けて生きている
そして、今では心根の優しい立派な大人に成長してくれた事への感謝と謝罪の言葉を毎日のように心の中で繰り返している
「ごめんね」
『ごめんね』
「ごめんね パジャマは持ち帰るよ ありがとう!!!」
ホテル清掃中に部屋から回収しなければならないパジャマが見つからず探していたところ、そのような意味合いが英語で書かれているメモをテーブルの上に見つけた
そこにはこれで勘弁してくれと言わんばかりに百円にも満たない額の小銭も乱雑にメモの上に添えられていた
どうしてもパジャマが欲しい
→でも売ってなさそうだし買えなさそう…
→じゃあ盗むしかない
→でも黙ってやると後で色々と揉めそう…
→💡
→メッセージとお金を残せば言い訳になるはず!
→よし盗もう!
そんな思考回路が見えてきてなんだか笑えてきた すべて勝手な推測だが盗人のくせに微妙にナイーブな思考パートが挟まって完全には猛々しくはないのが余計に面白く感じる
そして盗んでおきながらごめんねという謝罪から始まり最後に駆け抜けるような感謝で〆るメッセージに二度笑った
まったく持ってヒドイやつだがどこか愛くるしさがある
おかげでメモと小銭だけで知らない誰かに親しみを覚える貴重な経験をさせてもらったよ ありがとう!!! ゆるさん
「ごめんね」…。
言われたところで、私の気持ちは変わらない。
本当に悪いと思っているのなら、私の心に付けられた傷を無くしてみてよ。
できないくせに。
「ごめんね」
ごめんね
無能でごめんね
役立たずでごめんね
人の気持ちが考えられなくてごめんね
空気が読めなくてごめんね
鈍感でごめんね
厚かましくてごめんね
図々しくてごめんね
謝ってばかりでごめんね
迷惑ばっかかけてるのに
みんなの前から消える勇気もなくてごめんね
なんて弱音を吐いたらみんなは許してくれるのかな
みんなは助けてくれるのかな
みんなは優しい言葉をかけてくれるのかな
そんな優しいはずのみんなに怯えながら
今日も弱音を隠しながら生きるよ
隠し事ばかりでごめんね
臆病でごめんね
みんなを信じられなくてごめんね
人間としてどこかが欠落しててごめんね
あと1年は取り繕ってみせるから
その時が来るまでは普通の人間でいてみせるから
だから
あと1年いっぱい迷惑をかけることになるだろうけど
ごめんね
懐かしいな、僕の故郷、いつぶりにここに帰ってきたのかな?いや、そんなことは後で考えよう
今はあの子に会いたい!どこだろう!
……あれ?何か違う、?
こんなに人が居ない…いや、どうして誰も居ないんだ?
無邪気に遊んでた子供も、おばあちゃんや大人も
あの子もなんで誰も、居ないんだ?
どうして……あぁ、そういえばそうか、だって今はあの時からもう100年も経ってたのか、身体が変わると年齢も分からなくなるな…
あはは…じゃあもうあの子は居ないのか
そっか……ちゃんと言いたかったな…
待たせてしまったこと本当に
[ごめんね]
ごめんの言葉が降参を意味した時、私は怒りと悲しみで落胆した。
ごめんの言葉が仲直りの意味だった時、私は友達と呼べる関係に喜びを感じた。
「ごめんね」の言葉が私の口から出た時、現れた変化に素直さを感じた。
心と言葉を一致させることは、簡単じゃなくて
『ごめんね』
私、秘密にしていることがあるの
秘密にしていることをバラすと
YouTubeコメント欄で誹謗中傷になったから、
言いたいけれど、言わない
言わない方が良い
『「ごめんね」』
友達が海へ消えていった。
まだ見つかっていないらしいが、夜近くの道を車で走っていた人が見かけたらしい。
一人のはずなのにやけに楽しそうで。時折誰かと話している素振りも見せた。何か練習でもしてるのかと思ったら、海から現れた手に引かれて消えた。
見間違いだと思うんだけどね、とその人はこっそり私たちに教えてくれた。
「人魚さんがね。私を仲間にしてくれるんだって」
不思議ちゃん。それが友達の第一印象だった。
「人魚なんていないよ」
「ええ? いたよう。話しかけられたんだよ」
「嘘だあ」
私が眉をひそめると、少し考えて友達は言った。
「じゃあ私が仲間になれたら、菜乃ちゃんに海から声をかけるよ」
友達が消える数日前のことだ。
きちんと話をすればよかった。ごめんね。
どこでそんなこと話したのか聞けば良かった。ごめん。
一緒にいけばよかったね。
「ごめんね」
どんなに後悔を重ねても、まだ友達の声は聞こえてこない。
こんな時代に産んでしまってごめんね
そんなことないよ
母さん
僕はまだ産まれたばかりだけど
母さんと一緒にいけるなら嬉しいよ
だから次はもっと沢山遊んでね
戦時中、一人の女性と一歳くらいであろう子どもは静かに息を引き取った。
ごめんね…
ごめんねで許してもらえない朝の何かを削って這うかたつむり
あの時「ごめんね」が言えたなら
私とあの子はハッピーエンドだったのに
私は私を許せない。
何気ない一言で険悪になったあの日。
いつの日かあの子の隣はいつも私で
私の隣はいつもあの子で
仲良しだった。
次の日になれば普通になってると思ってた。
「ごめんね」の一言が言えたなら
今頃私たちは
家に帰った後の話でもしているんだろうね。
─────『「ごめんね」』
ごめんね、なんて言うなよ、
どうせ思ってない癖に、
お前が勝った、そして俺が負けた、
ただそれだけだ、
だから、言うな!
俺が惨めになるから
「ごめんね」
なんて言葉、私たちの中で交わしたことがあったかしら。いや、待たせてごめんね〜!くらいはあるよ、そりゃあ。でも明確な謝罪の言葉としては、なかったんじゃないかな。
きっとそんな言葉が必要ないくらい、お互いを考えていたのよね。