フィロ

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まだ子供が小さかった頃、私は自分の性格的なこともあって、なかなか子育てに向かい合うことが出来なかった
自分の思い通りにならない毎日に苛立ち、時には子供の存在を疎ましく感じることさえあった


そんなある日、子供のとった態度がいつも以上に癇に障り、激昂しながら突き飛ばしてしまった

驚きと恐怖の表情で子供は泣き叫んだ

ひとしきり泣いた後、子供はしずしずと私のそばに来て消え入りそうな声で言った

「 生まれて来て、ごめんなさい」



私が今まで生きてきた中で、一番言わせてはいけない「ごめんなさい」だった



あれから長い時が流れた今も、その時の子供の表情とあの時の声は、私の心に大きなトゲとして刺さったままだ
むしろそのトゲは抜いてはならないと、自分が子供に与えた大きな傷として向き合い続けて生きている

そして、今では心根の優しい立派な大人に成長してくれた事への感謝と謝罪の言葉を毎日のように心の中で繰り返している

「ごめんね」





『ごめんね』




5/29/2024, 11:51:39 PM