粉末

Open App

半袖


「そういえば君は半袖の服をあまり着ないよね。」
彼女の夏の装いは七分袖くらいがほとんどで、よっぽど暑い日以外では半袖を着ていない気がした。
「…うん。」
「どうして?半袖姿もかわいいのに。」
無理強いする気はないけれど。本音を言うともっと半袖の服とかスカート姿とか見たい。眼福だ。
「…腕太いから。」
「え、そんなことないって!」
「そんなことある…。」
「俺は好きだよ?君の二の腕ってむにむにでやわらかいからさ!あ、もちろんそこだけじゃないよ?足もおなかもおしりもむちむちで全部好き。それにさ、二の腕のやわらかさって胸の…いてっ!」
左肩に走った痛み。かわいい手でかわいい物理攻撃をされたようだ。へへ、かわいいなあ。
どれ、そのかわいい顔を見てやろう。ううん?
何故か彼女は真っ赤な顔で俺をにらんでいる。
「………ばか。」
「え?!え、なんで?!いや俺は馬鹿だけど!ああ待って!ねえ!」
ふたりの狭いベッドの上に小さなふて寝山がこんもりとできていた。ああかわいい。あわよくば、このまま。
「ねえ…本当だよ?君のぷにぷにしたところ大好きだよ?かわいいよ?今だって…うしろからぎゅーってしてさわりたい…だめ?」
「…だめ。」
「なんで…。」
嘘なんかついていない。本当に君の全てが愛おしくて大好きで食べてしまいたいくらいなのに。
「……謝れ。」
「え。」
「……ごめんなさいは?」
「…ええ…。あ、と、その…。」


「ごめんね」

5/30/2024, 1:01:58 AM