春過ぎて。

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8/24/2024, 4:36:39 PM

「もう、行くのか?」

成瀬が来年東京に行く、そう聞いたときは実感が沸かず適当に流していた。別れの言葉も、俺の気持ちも。
…去年からわかっていたはずなのに、なぜ俺は言わなかったのだろう。

「ねぇ、遥斗…」

名前を呼ばれ、はっと顔を上げる。これが最後のチャンスだ。
しかし俺の声は俺の意思に反抗し、発したはずの言葉には音が乗らなかった。

「あの、な。成瀬…俺、」

それでも無理矢理音を乗せた声で俺は言う。

「…っ俺!成瀬のことが」

そこまで言い、顔をあげる。すると、電車のドアが閉まっていくのが目に入った。

「遥斗…ばいばい」

俺が、最後まで言えなかったばかりに……。言えたら、"またね“とその言葉が聞けたのだろうか。

過ぎていく電車を横目に、俺はホームを去った。

そんな、やるせ無さだけが残る夏だった。

#やるせない気持ち

8/23/2024, 10:40:28 AM

君の目から溢れ出る宝石は、集めても集めても君の心をもとに戻すには足りなかった。

「私ね、明日この世から消えてなくなっちゃうの」

いつもと変わらないトーンでそう告げる君が本当に明日いなくなってしまうのか、それを一番わかってるのは僕なのか君なのか。

きっと、君なんだろうな

「ねぇ、明日海に行こう」

わけがわからない、「なんで君は嫌いな海で消え…」そう聞こうとするも束の間

「だって遥斗、明日誕生日でしょ?」

やっぱり、君が明日いなくなるのを一番わかってるのは僕かも知れない。
まぁいい、とりあえず明日、僕は君と海へ。

君が最期に選んでくれた、海へ。

僕の大好きな、海へ。

#海へ

8/23/2024, 5:38:50 AM

「助けなんていらないわ、一人でできる」

その言葉が彼女なりのsosだと知るには、もう何もかもが遅すぎた。

「こんな時まで、自分の気持ち偽ってんじゃねぇよ」

ーー賢くない俺がその言葉を裏返して受け取ることができないなんて、一番わかってるのはお前だろ…

#裏返し