__-中学生の憂鬱-

Open App
10/31/2021, 4:06:37 AM

懐かしく思うこと

懐かしく思うことは、故郷のことっすかね。
オレ、家飛び出した時にこっちの世界に来たんで、多分家族に何も言わずにお別れしちゃったんすよ。
だから、家族を持った今でも故郷のことは、懐かしく思えるんす。
             第6代目勇者 __。

懐かしく思うことは無い。
何故ならば、懐かしい思い出なんぞ、失ってしまっている。妻も娘も、あの忌々しい勇者に倒され、我もあと少しで朽ちてしまう。懐かしく思うことでは無いが、国外に逃がした息子のことが気がかりでならん。あやつは、切れ者だか人間の娘を好いておる。問題にならんと良いがの…。
             第9代目魔王 __。

懐かしく思うことは、勇者様と旅した日々ですわ。
あの頃は、皆若かったですし、力も有り余っていましたから。邪悪なる魔王を倒すべく、召喚された勇者様は、勇ましく男らしい方でした。当然、異性の方にモテていらっしゃって、あの王女殿下からも、言い寄られておりました。ですが、故郷に好きな人がいるから。と、帰られてしまわれました。私は、神聖者でしたので、恋をするということはありませんでしたが、あの時初めて勇者様にときめきを感じたのを今でも思い出します。今頃勇者様は、何をなされておられるんでしょうね。
    第7代目 勇者殿に祝福を与えた聖女 __。

懐かしく思うこと…ね。親友と過ごした日々かな。
あの頃は、とても楽しかったよ。あぁ、もし過去に戻れるならば、あいつと過ごした日々に戻りたいよ…。
             中学生の憂鬱 __。

10/29/2021, 10:29:20 AM

もうひとつの物語

__。
それは、禁忌を犯した者の名である。
それは、かつて神だった者の名である。
それは、偉大なる功績を残した者の名である。
それは、かつて聖女と呼ばれた者の名である。
それは、かつて魔王と呼ばれた者の名である。

ただ、その名を口に出してはいけない。
口に出してしまったら最後、
その者を見た者はいなくなるという。

__。
この名は、最高にして最悪な諱である。

10/28/2021, 11:53:28 AM

暗がりの中で

__っ!
居ないはずのお前の声がした。

今何時だろう。ずっと部屋にこもり、プログラムをいじっている。母さんも兄さんも心配して、
大丈夫なの?とか何かあったのか?とか
問いかけてくるが、今の俺は精神があまり不安定な状態だから、強く言い返してしまった。
あいつにも結局、サヨナラなんて言えなかったし…。
俺は、どんどん闇と同化していく感覚に陥っている。目の前が真っ暗で、少しも寂しいと感じない。何を言っても、何をしても、何もかえってこない。そんな空っぽな日々を過ごした。
そんなある日、珍しく外に出てみた。
意外と俺だとは、認識をせず通り過ぎるのは、寂しいな。まぁ、俺が選んだ道だから、と己に自己暗示を無自覚にもかけていたのかもしれない。
俺は、しばらく歩いたあと、かつて通っていたあの学校の前に行ってみた。ちょうど、下校時刻らしく、まばらだが人がいた。
その中に、友だと思っていた、侑輝がいた。
隣のヤツと楽しそうに話しながら、帰っている。
俺は、なんであの時声をかけなかったんだろうと後悔してしまった。声をかけていれば…、まだ繋がっていたかもしれない。闇と同化した俺には、もう関係ない。踵を返し、帰ろうとした矢先、侑輝がいた方から、 __? と声がした。
俺は、急ぎ足で家に帰ったが、相手の方が一回り上だった。玄関の前に、あいつがいる。喧嘩別れしたあいつが。なんでいるんだよ。と悪態をつきながら目につかぬように、慎重に来た道を戻った。どこまで歩いただろうか。俺は、ネオンがぎらつく街にたどり着いた。
さすがのあいつも追ってはこないだろうと、踏んでいたが、暗い路地の裏で、あいつの声がした。
さすがに戦慄したが、なんだか言い争っている声だったから、そこに向かったら、無惨にも抵抗せずにただ殴られているあいつの姿があった。
俺は、怖くて声が出せずにそのまま過ごした。その時、ふとあいつと目が合った。あいつは、切羽詰まった声で、__!逃げろ!と、叫んだ。
あいつを殴ってたヤツらは、こちらをふりかえっていたが、俺の姿が見えないと知ると、またあいつを殴った。俺は、そんな恐怖に脅えていたが、ふと、こんなことあったな。と思った。その時だった。頭に衝撃が走って、道端に倒れてしまった。

俺は、あいつが暗がりの中で必死に叫んでるあの声が、倒れて意識を手放そうとしていても頭にこびりついて離れなかった。

10/28/2021, 9:14:11 AM

紅茶の香り

…李姫先生…、あたし…っ
あらあら、そんなに泣いて。どうしたの?
っ…あたし、失恋しちゃった…。
失恋ねぇ…、どうして失恋しちゃったの?
センパイ…っ、好きな人がいる…らしくて。
そっかー、悲しかったね。紅茶でも飲んで落ち着きなさい。
ありがとう…ございます…っ。
李姫先生は、あたしが泣き止むまで、背中をトントンしてくれた。

あたしの初めての失恋は、ダージリンの香りがした。

10/26/2021, 11:48:50 AM

愛言葉

なぁなぁ、あいことばって、知ってる?
合言葉?山、川 みたいな?
うーん、そうじゃなくて…、なんと言うか…。
じゃあなんだ?他にあいことばという言葉はないんじゃないか?
いや!婆さまから、聞いたんだ!ほんとにある!
なに、その自信wまぁ、信じてあげるよ。
ちょ、同情の目、やめろよ〜w

なぁ、お前が探してるあいことばって、これじゃないか?
"愛言葉"
っ!そう、それ!よく見つかったな。
いや、普通にあいことばって入れたら、上がってきた。
そっかー、ありがとな!__。
うん、じゃあおやすみ、また明日な。
おう!おやすめー。
(そっか、愛言葉…か)
(…え、月が綺麗ですね。って、あなたを愛してますって意味だったのか!?オレ…あいつに、月、キレーだよなって言っちゃったじゃん…。)
っ〜!なんであいつのことで、
こんなに悩んでるんだよ〜っ///

Next