__-中学生の憂鬱-

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暗がりの中で

__っ!
居ないはずのお前の声がした。

今何時だろう。ずっと部屋にこもり、プログラムをいじっている。母さんも兄さんも心配して、
大丈夫なの?とか何かあったのか?とか
問いかけてくるが、今の俺は精神があまり不安定な状態だから、強く言い返してしまった。
あいつにも結局、サヨナラなんて言えなかったし…。
俺は、どんどん闇と同化していく感覚に陥っている。目の前が真っ暗で、少しも寂しいと感じない。何を言っても、何をしても、何もかえってこない。そんな空っぽな日々を過ごした。
そんなある日、珍しく外に出てみた。
意外と俺だとは、認識をせず通り過ぎるのは、寂しいな。まぁ、俺が選んだ道だから、と己に自己暗示を無自覚にもかけていたのかもしれない。
俺は、しばらく歩いたあと、かつて通っていたあの学校の前に行ってみた。ちょうど、下校時刻らしく、まばらだが人がいた。
その中に、友だと思っていた、侑輝がいた。
隣のヤツと楽しそうに話しながら、帰っている。
俺は、なんであの時声をかけなかったんだろうと後悔してしまった。声をかけていれば…、まだ繋がっていたかもしれない。闇と同化した俺には、もう関係ない。踵を返し、帰ろうとした矢先、侑輝がいた方から、 __? と声がした。
俺は、急ぎ足で家に帰ったが、相手の方が一回り上だった。玄関の前に、あいつがいる。喧嘩別れしたあいつが。なんでいるんだよ。と悪態をつきながら目につかぬように、慎重に来た道を戻った。どこまで歩いただろうか。俺は、ネオンがぎらつく街にたどり着いた。
さすがのあいつも追ってはこないだろうと、踏んでいたが、暗い路地の裏で、あいつの声がした。
さすがに戦慄したが、なんだか言い争っている声だったから、そこに向かったら、無惨にも抵抗せずにただ殴られているあいつの姿があった。
俺は、怖くて声が出せずにそのまま過ごした。その時、ふとあいつと目が合った。あいつは、切羽詰まった声で、__!逃げろ!と、叫んだ。
あいつを殴ってたヤツらは、こちらをふりかえっていたが、俺の姿が見えないと知ると、またあいつを殴った。俺は、そんな恐怖に脅えていたが、ふと、こんなことあったな。と思った。その時だった。頭に衝撃が走って、道端に倒れてしまった。

俺は、あいつが暗がりの中で必死に叫んでるあの声が、倒れて意識を手放そうとしていても頭にこびりついて離れなかった。

10/28/2021, 11:53:28 AM