No.314『ただ君だけ』
他には何もいらないから、ただ君だけが生きていてくれればよかった。
だけど、世界は残酷で僕から君を奪っていく。
もう一生この世界に期待なんてしてやるもんか。夢を見てやるもんか。
じゃあな、クソな世界。
No.313『届かない……』
空に手は届かない。
星にも手は届かない。
私の周りには手が届かないものばかり。
でもそれは仕方がない。だからいつからか手を伸ばす事をやめた。
もう私は諦めてしまったんだ。
ああ、でもあなたには手を伸ばしたかった。
私の一番だった人。
私の最愛だった人。
彼はもう遠い遠い空の向こう。
彼だけは諦めたくなかった。いつか会える日を信じて天国に手を伸ばす。
それが届かない事を知りながら。
No.312『手紙を開くと』
隠すように引き出しの奥にしまってあった手紙を見つけた。
あいつのことだからかっこつけたかったんだろう。
あいつは少しイタイ奴だった。
その手紙を開いてみる。
「私の大切な人に幸あれ」
は、はは…ほんとにイタイ奴だよ、お前。小説の読みすぎだっての。そんなお前に便乗してやるわ。
「お前がいないこの人生に幸せなんてねえんだよ」
溜まってた涙がこぼれ落ちた。
No.311『すれ違う瞳』
あなたの目は私の何もかもを見透かしそうで怖かった。
私が隠す秘密もあなたに対する想いも、全て。
だから私はあなたから目を逸らす。
No.310『好きになれない、嫌いになれない』
自分のことが大嫌いだった。
ずっと前から私は自分が嫌いなんだと思っていた。
でも違った。
私は、自分のことを好きになれなければ、嫌いにもなれていなかった。
自分を本当に嫌うなら自分を殺してしまえばいいだけなのに、私はどうしても自分を殺せなかった。
結局私は自分が大事でどうしても嫌いになりきることなんてできていなかった。
これは、こんな面倒くさい私の面倒くさい人生の話。