No.267『願いが1つ叶うならば』
私がこの題名を見てすぐに思い出したのは、傘村トータさんの「たった一つ願いが叶うなら」という曲。
「 なんのために僕は生きて
なんのためにこんな必死に
なんのために傷つきながら
なんのために声を出して
なんのために息を吸って
なんのために心があって
たった一つの願いはそう
自分で叶えるから 」
初めてこの曲を聴いた日からこの歌詞が頭から離れない。
たった一つの願いを叶えるために今日を、明日を、未来を生きていこうとそう思えた、私にとってとても大切な曲。
No.266『嗚呼』
嗚呼…なんてつまらない人生なんだろう。
なんてくだらない人生なんだろう。
こんなふうに考えてばかりいる私はきっと人生の不適合者だ。
きっとこの先にも輝かしい未来なんてものはない。
それが分かっているにも関わらず私はどうして今を生きているんだろう。
嗚呼、誰か私を殺してくれないかな。
なんて考えた私を殴りたくなった。
自分で死を望んでいるくせに、自分で自分を殺そうとせず誰かに殺させるなんて…結局私は死ぬのが怖いんだ。
No.265『秘密の場所』
ここは君と僕だけが知る秘密の場所。
不自由に囚われる僕たちが自由を得られる唯一の場所。
君と僕が笑顔の仮面を外せる特別な場所。
でもある日から君はここに来なくなった。
家の使用人が話しているのを聞いた。
隣の家のご令嬢が別の家に嫁いでいったんだって。
……ああ、こんな狭苦しいところから君の手を取って逃げ出してしまえばよかった。
…この場所が特別だったのは君がいたからだったなんて気づくのが遅すぎた。
No.264『ラララ』
ラララ。
どこからか聞こえるそんな歌声が気になって声の主を探す。そうして僕は君に出会った。
優しく、でもどこか悲しそうに歌う彼女に一目惚れした。
彼女の歌が終わったタイミングで声をかける。
「君の歌、すごく上手だね!」
そう言った僕に彼女は悲しげに笑う。
「…これは私の大切な人に向けて歌った歌なの。彼に届いてくれたかな?」
一目惚れした彼女にはすでに大切な人がいた。当然のようにショックを受けるも、今は彼女に慰めの言葉をかけることに専念した。
「大丈夫だよ!君のそのとても素敵な歌ならきっとその人に届いてる」
彼女はまた悲しげに笑った。
するとどこからともなく鐘の音が聞こえてきて僕は帰らないといけない時間になった。
じゃあ、と挨拶して彼女に背を向ける僕に向かって彼女が呟いた言葉は僕には届かない。
「……歌が届いても、あなたが私を忘れているんだからそれは届いていないも同義じゃない…」
No.263『風が運ぶもの』
風よ。どうか…どうかこの手紙を彼女の元へ運んでくれ。
きっと彼女は僕がそっちに行くことを許してくれない。
彼女は誰よりも心優しい人だから。
だから僕が行けない代わりにこの手紙を。
風であれば天国まで届くだろう?