M.I.

Open App
2/19/2025, 8:09:16 AM

No.247『手紙の行方』

約束、守ってくれてありがとう。
これはさ、私にとってとても大切なものなの。
だからこれは私と一緒のお墓に入れてって言ったら君は泣いちゃったんだよね。
いやだ、君と一緒の墓になんか入れてやるか、ねえ、そんなこと言ってないでさ、生きてよ……!!
ってそう言いながら泣いちゃった。
でもごめんね。それはできそうにないの。
だから強引にその約束を結ばせた。
酷い人間でごめんね。
でもどうしても君が私にくれたラブレターと一緒に眠りたかったの。それと一緒に眠れば私は安心していられるから。ずっと君のそばにいられると思ったから。
無理矢理の酷い約束だったけどさ、守ってくれて本当にありがとう。

2/18/2025, 8:03:59 AM

No.246『輝き』

お前の持つ輝きが欲しかった。
お前の輝きが羨ましくて羨ましくて仕方がなくて、毎日のように妬んだ。
ある日お前が言った。
「なんでそんな顔してんの?」
いつもなら笑って誤魔化したけどその日は誤魔化せなかった。正直に白状する。
「お前の輝きが欲しい」
ああ、どんな反応を返されるだろう。とても怖かった。
「……俺はお前の輝きが羨ましいよ。俺もお前の輝きが欲しい。でも俺たちの輝きを交換したら、それはもう自分の輝きとは言えないだろ。お前だけが持ってる輝きを誇れよ。俺に羨ましがられるような輝きを持ってんだから」
はは、そういうところだよ、本当に。
ほんと、かっこよすぎだわ…。

2/17/2025, 7:28:31 AM

No.245『時間よ止まれ』

時間よ止まれ、なんて言ってる子供を見下ろした。
そんなことがあり得るわけないのに。
そもそも時間を止めて何になるの。
時間が止まったって過去に戻れるわけでも、過去を変えられるわけでもない。
その時を残しておきたいなら写真を撮ればいい、それだけだ。
ああ、本当に夢も理想もないんだね、私は。
ほんと、嫌な奴だよ。

2/16/2025, 4:58:41 AM

No.244『君の声がする』

君の声がする。優しくて温かくて大好きな声。
同時に悪意に満ちた声が聞こえた。君を醜いと罵る声。
「醜い……?っふざけるな!!醜いのはお前たちの心だろ!?」
思わず言い返してしまった。すると奴らは矛先を僕に向けた。目が見えない奴が何言ってやがる、と。
「確かに僕は生まれつき目が見えないけど、僕はこれでよかったと思ってる。だってお前らみたいな見た目で全てを決めるような人間にならずに済んだからね」
そう言い返せばそいつらは呆れたように笑いながらその場を去った。
「っごめんね…ありがとう……」
そしたらまた君の優しい声が聞こえた。
「やっぱり君って本当に綺麗だね」
僕がそう言えば彼女は嬉しそうに笑った気がした。

2/14/2025, 1:49:49 PM

No.243『ありがとう』

私は自分を酷い人間だと思う。
だって「ありがとう」って言葉をすぐに言えないから。
何かしてもらった時に何故か「ありがとう」っていう言葉がすぐに出てこない。
心のどこかで助けてもらって当然とか考えてるのかな?
本当に酷い人間だね。
特別が当たり前になってしまっている今に感謝もせず生きてるなんて、なんで私はこんなんなんだろう。
もういやになった。

Next