No.242『そっと伝えたい』
そっと伝えたい。「君が好きだ」って。
でも僕はそれすら叶わない。
だって僕には声がないから。
「月が綺麗ですね」なんてことも言えないし「死んでもいいわ」なんてことも言えない。
え?伝える方法は声だけじゃないだろうって?
はは、違うよ。伝えちゃダメなんだ。
だって僕の存在は君の足枷にしかならないんだから。
それなら何も伝えず、僕はどこかに姿を消そうかな。
No.241『未来の記憶』
どんなに科学が発展しても未来の記憶が見えることはなかった。
でもたとえ未来の記憶が見えたとしても私はきっと同じ選択をする。
その選択をしないと私は大切なものに出会えないだろうから。
No.240『ココロ』
僕はココロを持っていて君も心を持っている。
でも同じものを持っているはずなのに僕は君の心を理解することができない。
僕たちの違いはなんなのかな?
君に尋ねてみた。
「本物と偽物」
君はそう答えた。
ああ、そっか。いくら君たちに姿形を似せても僕は結局本物にはなれないんだ。
その時、偽物のココロがキュッと締め付けられる感覚がした。
No.239『星に願って』
ねえ、お星さま。
私もお星さまになれるかな?
私は生きてても何も役に立たない人間なの。
誰かに言われたのか、自分に言われたのかはもう忘れちゃった。
でも、お星さまになれたら人の役に立てるよね。
暗い道を照らすことができるよね。
そしたら、役立たずじゃなくなるよね……?
No.238『君の背中』
僕は君よりも少し低いところから君の背中をただ見ていることしかできない。
自分の足で前へと走っていく君に、誰かに手伝ってもらわないと動くことすらできない僕。
こんな僕たちが一緒の道を行くなんていうのが間違いだったんだよ。
ごめんね。僕は君の自由を奪っていた。それに気づかず、僕はずっと放してあげられなかった。
大丈夫。そのまま走っていってくれて構わない。
本来君は自由が似合う人なんだから。
僕は君の背中を見届けた。