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2/19/2025, 1:12:00 PM

「あなたは誰?」

嘘だと思ってた。貴方は神様から、記憶を奪われてしまったって。

家族のことも、自分のこともある程度は覚えているのに、私と共にすごした学校生活のことだけ、ぽっかりと忘れてしまっているらしい。

でも、それはもしかしたら貴方にとっては、思い出したくもない、忘れても良かった思い出かもしれない。

だから、私は泣かないし、貴方の前で悲しい顔もしない。

また、最初からやり直そう。

「こんにちは、よかったら私と、友達にならない?」

虐められていた貴方、それを止められなかった私。

ある日、貴方は屋上から飛び降りた。

一命は取りとりとめたけれど、学校で過ごしていた貴方という存在は死んでしまった。

でも、きっとそれでよかった。

貴方はそれを望んでいた。

「うん、ちょうど、暇してたの」

そういう貴方の手には、昔っから何度も読み返してた小説が握られていた。

「名前は?あなたは、誰?」

もう一度、貴方は私に問う。

私は、少しカッコつけるように、あの時の、貴方に初めて話しかけた時とおなじ自己紹介をした。

「その小説の、著者です」

2/19/2025, 4:00:12 AM

幼少期の頃、一緒の病室で入院してた友達からもらった手紙。

部活の先輩、後輩から貰った手紙。

当時親友と呼びあってた同級生から貰ったハガキ。

たまに忘れてしまいそうになる、かつて一緒に過ごしてた人達の存在を。

当時は嫌いだったはずなのに、また会いたいなんて身勝手なことを思ってしまう。

だから、手紙の行方は、私の心の中に。

2/14/2025, 12:55:29 PM

大人になればなるほど、言いにくくなる言葉ってなーんだ。

『ありがとう』

1/27/2025, 12:54:20 PM

今日、久々に学校を休んだ。

なんとなく、だるくて、やる気が出なかったから。

毎朝そうだったけど、今日は本当に休みたかった。

親にそのことを伝えるために、小さな勇気が必要だった。

よかった、伝わって。

小さな勇気に裏切られると、大きな傷が残るけれど、成功した時は、心は大きく癒される。

1/25/2025, 11:23:00 AM

「ねぇ、あの話書き終わった?」

小説を書くのが趣味な貴方。貴方はこの前、力作が出来そうと、目を輝かせ声を弾ませていた。

「実は、まだ」

貴方は、ただそれだけ言った。でも、どこか悩んでいるようにも見えた。

「へぇ、 なにか行き詰ってるの?」

「うぅん、話の構成もオチも決まってるし、あとは書くだけなの」

「じゃあ、ほぼ完成してるようなもんじゃない」

私がそう言っても、貴方はまだ浮かない顔をしている。私は貴方の返事をゆっくり待った。

お月様が、夜の海を無機質に泳いでいる。その周りにはキラキラ光る深海魚たちもいる。星座に詳しくないけれど、オリオン座がある事だけわかる。でも、無数に光るそれらは、冬でしか味わえない儚さを感じさせる。

すると、貴方はいきなり口を開いた。

「この物語を、終わらせたくないの」

「終わらせたくない、って?」

「最近の楽しみが、この物語を書くこと、考えることだったのに、こんなあっさり終わらせていいのかなって」

それを聞いた時、あぁ、貴方っぽいなと思った。

物語の終わりは、貴方にとって生きる意味を失うことになるのかもしれない。

「この物語は、私が死ぬまで終わらない物語にしたいの」

誰にも読まれなくたっていい。と、貴方はよく口癖のように言っていた。小説を書くのは、自分を見つけるためであって、他人に見せるためではないと。

もしかしたら、見つかりそうなのかな。なんて、思っても見るけれど、きっとまだまだ時間はかかるだろう。

それを私は、こうやって静かに見守り続けていこうと、静かに決心した。

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