「わぁ、綺麗」
勉強のし過ぎで凝り固まった体をほぐそうと、少し塾から外に出てみたら、周りの木に色とりどりの光たちが宿っていた。
イルミネーションって、こんなに綺麗なんだ。
すると、私の肩を優しく誰かが叩いた。
「塾帰り?」
最近会えてなかった、幼い頃からの友達だった。
「ううん、まだ勉強してるところ」
「そっか。大変だね」
「そんなことより、見て。イルミネーション綺麗じゃない?」
「ね、とても綺麗」
そういう貴方から、少し緊張したような、そんな声が出ているのがわかった。
今年ももうすぐ終わり。
この儚い光たちが懸命に光るように、私達も最後まで足掻いていきたい。
誰でもいいわけじゃない。
貴方がいいの。
わがままかもしれないけれど、そんな私を許して。
だって、こんなに、貴方のこと考えちゃう。
貴方に、愛を注がれたい。
貴方に、愛を注ぎたい。
駄目ですか。
心と心が通い合うとか、よく分からない。
言われた事はあるけれど、イマイチ、ピンと来なかった。
でも、きっとそれは、私が自分の心に無関心だったからかもしれない。
相手の心と、自分の心。
どちらも同じくらい、愛して、癒して、抱きしめてあげたい。
否定されるのが嫌だから。
冷たい目で見られるのが怖いから。
だから、何でもないフリをする。
何でもないフリをするのは、得意だから。
だからか、自分の気持ちを言葉に表すのが苦手になった。
ずっと、モヤモヤしてる、この感じ。
どんなに話そうとしても、考えても、悩んでも、ずっと変わらないこのモヤモヤ。
霧の中を歩いてる感じ。
私は今、どこにいるんだろう?
貴方はいつも、人混みの中で私と手を繋いでくれるよね。
「だって、背が小さいからどこにいるか分からなくなるんだもの」
「なにそれ。背が高いのが悪いんじゃん」
「はいはい。ほら、こっち」
私は方向音痴だから、貴方のそばにいないとすぐに迷子になっちゃう。
「それに、貴方急にどっか行っちゃいそうで怖いんだよね」
「どういうこと?」
「いつもぼーっとしてるし、色々溜め込んじゃうし。そのうち夜逃げしそう」
「それとこれとは話別でしょ」
「ううん、違くないよ。これで貴方はひとりじゃないって、思えるじゃない」
なにそれ、私はまた小さく笑いながら言った。
今度は私から、手を繋ぎたいな。