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12/9/2024, 11:26:46 PM

貴方はいつも、人混みの中で私と手を繋いでくれるよね。

「だって、背が小さいからどこにいるか分からなくなるんだもの」

「なにそれ。背が高いのが悪いんじゃん」

「はいはい。ほら、こっち」

私は方向音痴だから、貴方のそばにいないとすぐに迷子になっちゃう。

「それに、貴方急にどっか行っちゃいそうで怖いんだよね」

「どういうこと?」

「いつもぼーっとしてるし、色々溜め込んじゃうし。そのうち夜逃げしそう」

「それとこれとは話別でしょ」

「ううん、違くないよ。これで貴方はひとりじゃないって、思えるじゃない」

なにそれ、私はまた小さく笑いながら言った。

今度は私から、手を繋ぎたいな。

12/8/2024, 12:14:52 PM

貴方はいつも謝ってばかり。

謝る必要なんてないのに。

「謝らなくていいんだよ」

そう言ったら、貴方は泣きながら、

「ありがとう、ごめんね」

だってさ。

もう、だから謝らなくていいのに。

12/8/2024, 1:11:01 AM

部屋の片隅で、こっそり想像する。

私に彼氏が出来て、沢山愛されて、幸せな日々を送る妄想。

あぁそうか、これは妄想なのか。

勝手に1人で寂しくなってる。

どうして、今になってこんな寂しくなるの。

11/17/2024, 11:52:15 AM

慌ただしい夏が終わって、ようやく秋っぽくなったと思ったら、もう季節は冬になるらしい。

「冬になったら、何やりたい?」

「うーん、何もしたくないなぁ」

「冬眠?」

「あ、いいね。冬眠したい」

今年の夏、貴方は忙しそうにしていたから、燃え尽きてしまったのかもしれない。

涼しくなり始めてから、貴方はなんだか元気がなさそう。

「冬が一番好きなのに、夏で全力出しすぎた」

「部活も勉強も頑張ってたしね」

「頑張れてたのかなぁ。大した結果は出なかったし」

「じゃあ、今年の冬は来年に向けて冬眠だね」

「そうもいかないよ。来年に向けて頑張らないと」

「一睡もしなかったら、いつか倒れちゃうよ」

「だって、みんな、急かすんだもの。私だって、出来たら布団でぬくぬくしてたい」

貴方は冗談っぽく笑ってみせる。

いつも、冬になったら笑顔が耐えなくなる貴方なのに、今年は、なんだかいつか消えてしまいそうな、そんな弱々しい笑顔だった。

11/15/2024, 1:26:49 PM

「あれ、子猫なんて飼ってたっけ?」

「拾ったの。親猫が、この子の近くで亡くなってたから」

相変わらず、貴方は優しい。

スマホに映し出された、小さな三毛猫の写真を、貴方は愛おしそうな目で見つめていた。

「それに、三毛猫って、よく幸運を呼ぶとか言うじゃない?私はこの子自身が、私自身の幸運なんじゃないかなって思うの」

相変わらず、貴方は難しいことを言う。

とても小さくて、ボロボロな幸運でも、貴方はすぐに気づいて優しく拾い上げる。傲慢な私とは大違い。

そんな貴方の笑顔は、子猫のようにどこか愛おしく思えた。

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