ななせ

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7/9/2024, 7:46:53 AM

人がみな、寝静まろうと
蝿がたかろうと、見苦しくもなく
構わず咲く街灯のひかり
近視の目にはぼんやりと開く
それを捉えることなど、出来はしないのだ
嫌に美しく物悲しく
さまざまの夢を映し出す
夢か現か永久の物語


お題『街の灯り』

7/7/2024, 2:15:37 AM

部屋で一言も交わさずに見た映画も、
半分こで飲んだフラペチーノも、
2人でこっそり出た夜の明るさも、
笑いながら歌ったカラオケの曲も、
1つの傘で帰った日の心臓の喧騒も、
教室からグラウンドを眺めていた時間も、
ケンカ中なのに玄関で待ってたことも、
触れてそのまま繋いだ手の温もりも、

好きな人との思い出として覚えてるのは私だけ
全てに付箋を貼って、覚えているのは私だけ
あなたにとって全部、「友達」としての思い出だったんだろうね。
私のと違って、ずっとキラキラしてたんでしょ
LINEで返信するの10分待とうとして、結局5分で返したことも無いんでしょ
嫉妬させたくてやった他に親友がいるアピールも気にしてなかったんでしょ
ずるい
本当に私だけだった
全部私だけのものだった


お題『友だちの思い出』

7/4/2024, 10:39:06 PM

あの夏のあの夕べ
寝ているあなたの頬を撫で
そっと頬を触れ合わせたことも


あの午後の図書館の中
あなたの返した本を真っ先に手に取って
腕の中で抱きしめたことも


あの春の綺麗な空の下
友達に話しかけるふりをして
あなたを横目で見ていたことも


あの校舎のあの廊下
震えないように気をつけて
ようやく出した声のかすれも


あの冬の冷たい雨の日
降りしきる水の中で
こっそり呟いた2文字も

誰も知らない
私も知らない
みんな忘れた
みんな知らない

知っているのはただおひとり
そのおひとりも、話してくれはしないのだ


お題『神様だけが知っている』

7/1/2024, 10:39:27 PM

窓越しに見えるのは、
向かいの座席で寝ているおじさん。

窓越しに見えるのは、
有名でもない小さな山。

窓越しに見えるのは、
派手なネオンのエスニックバー。

窓越しに見えるのは、
二、三軒ばかりのマンション。

窓越しに見えるのは、
2匹のメス猫の戯れ。

窓越しに見えるのは、
疲れた顔のおばさん。

窓越しに見えるのは、
夢か現か透明の景色。


お題『窓越しに見えるのは』

7/1/2024, 7:30:14 AM

僕たちは赤い糸で結ばれてるんだよ。
違うよ、白い糸だよ
何それ?だってほら、こんなに真っ赤なんだから。
ううん。白いよ
君が見てるのは違うものじゃないの?
ううん。君と同じものを見てるよ
じゃあ、赤くないとおかしいよ。
おかしくないよ。だって、白い糸が赤く染まってるだけだもん
何の赤なの?
君の血液よ
どうして染まるの?
私たちに結ばれてるのはただの糸だもん。運命の糸なんかじゃないもん

少女は少年に背を向けると、小指に結ばれた糸を解いて駆けて行った。
少年は倒れたまま動かず、日は暮れる。


お題『赤い糸』

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