あの夏のあの夕べ
寝ているあなたの頬を撫で
そっと頬を触れ合わせたことも
あの午後の図書館の中
あなたの返した本を真っ先に手に取って
腕の中で抱きしめたことも
あの春の綺麗な空の下
友達に話しかけるふりをして
あなたを横目で見ていたことも
あの校舎のあの廊下
震えないように気をつけて
ようやく出した声のかすれも
あの冬の冷たい雨の日
降りしきる水の中で
こっそり呟いた2文字も
誰も知らない
私も知らない
みんな忘れた
みんな知らない
知っているのはただおひとり
そのおひとりも、話してくれはしないのだ
お題『神様だけが知っている』
7/4/2024, 10:39:06 PM