愛と平和なんて幻想だと世の中を斜めに見ていた時は思っていた。今は斜に構えていない訳では無いけど割と分別が着くようになったと思う。思いたい。
愛が大事だとか平和が大事と謳われるけど実現するのは難しい。実際のところ、世界平和なんて夢のまた夢で世界平和が実現しないのは愛が足りないなんてとこだろう。
結局、人は無関心でいられたら平和は成り立つし関心がある人達だけでよろしくやってくれたら愛が成り立つんじゃないだろうか?
斜に構えてみた自論でしかないし、それが正解だとは思わないけどあぶれ者をいかに無視するかというのが大事だと思うんだ。もしくは建前の愛を与えること。
平和とか愛とかっていかに人が優しくなれるかとひと匙のずるさを上手く注げるかだと思うんだよ。
愛と平和
あまりにも濃い2週間だった。
人生経験が豊富だと胸を張って言えるぐらい濃い経験をした。キミは遠くへ行ってしまったけど思い出の中のキミはとても生き生きとしていて思い出す度に僕のずっと近くにいる気がするんだ。
眠そうに欠伸をかみ殺すキミも、不貞腐れているキミも、満面の笑みを浮かべているキミもありありと思い出すことが出来る。
僕は足でまといになったはずだ。なのにキミは僕を守ってくれた。
近くにいるだけでいいんだ、いてくれお願いだ。と優しさの中に焦りを滲ませた顔でキミは言っていたね。僕はキミがそんな顔をするのを初めて見てびっくりしちゃったのを覚えてるよ。
キミとの思い出が色褪せていくにどれくらいの年月がかかるだろう?一生かけても到底無理かな?キミのことを忘れようだなんて何回もやってみたよ。でも出来なかった。心の奥底で僕がそれを拒否していた。
過ぎ去っていく日々の中にキミを見出してしまう僕をキミは笑うだろう。でも僕なりに不格好に生きてみるよ。
過ぎ去った日々
「お金より大事なものはなんですか?」
面接官からそう問われた時、私は頭が真っ白になった。この会社を選んだもの稼げそうだからだ。お金より大事なものなんてない。お金は裏切らないの精神でここまで来た。
お金より大切なもの…あるのだろうか?あるのだろうけど私の価値観がそれを否定している。強いて言うならなんだろう?信頼とか?分からない。
右の人が答えている。次は私の番だ。どうしよう。
「では佐藤さん、お答え下さい。」
「私は…」
お金より大事なもの
ほんとに綺麗。月を肴にするなんて罰当たりかもしれないけどお酒が進むの。
あなたってそんな顔をするのね。私今夜はあなたに恋しちゃうかもしれないわ。こんな月が綺麗な日には酔いが回るのも早いみたい。
月夜
この教室も今日で見納めか。3年間通いつめたこの学校とおさらばする日になってしまった。
友達なんてろくに出来ず、だらだらと1人で過ごすことが多かったけど中々いい高校生活だったんじゃないだろうか?
ぼーっと窓際の席から空を眺めていると岩下くんが教室に入ってきた。もう生徒は全員帰ったものだと思っていたから少し驚いたけど特に話す用もない。ただただ気まずい時間が流れるだけだった。
岩下くんは少し不思議な人だった。友達もいるし勉強も中々できる、至って普通の人だ。しかし何故か不思議な雰囲気を持つ人だった。言葉に表すのは難しい。何故か惹き付けられるような人だった。
岩下くんは自分の机から何かゴソゴソと取り出しお、あったと呟いて嬉しそうにしていた。どうやら忘れ物を取りに来たらしい。無意識にぼーっとその様子を眺めていると岩下くんがこちらに近づいてきた。
「いやーもう卒業だよ、早いなー。」
と一言。まさか話しかけられると思わなくてそうだな、と短く返した。それからこれからどうするのかと他愛もないことを話し、少しして岩下くんは教室から出ていった。
たったそれだけだけど僕は今でも時々岩下くんを思い出す。彼が纏っている不思議な雰囲気も顔も声も鮮明に覚えている。
友達と呼ぶのはおこがましいだろうか?絆が出来たというのもおこがましだろうか?でも僕には確かにそこに絆があったと思いたかった。
絆