すれ違い
世の中は、常にすれ違いが起きている。
家族とのすれ違い。
友とのすれ違い。
好きな人とのすれ違い。
恋人とのすれ違い。
夫婦のすれ違い。
上司や部下とのすれ違い。
我々が生きていくなかで、結局"すれ違い"がなければ成立しない。
と、私は思う。
秋晴れ
夏が終わり、秋がやってきた。
熱帯夜から解放され、私は喜びを隠しきれない。
私の家はそこそこのお金持ちで、夏になれば北半球に行き、冬になれば南半球の国にいることが多い。
これから始まる短い秋の空を見ながら、私は今日も元気に過ごしていけるように祈る。
忘れたくても忘れられない
俺には、3歳からの幼馴染がいた。
名前は香織。
奇跡的に、保育園から高校まで同じ学校だった。
高校卒業と同時に、俺は県内にある理系国立大学。
香織は、都内にある国立の医学部に進学したため、会う機会も少なくなった。
大学に入学して初めての冬が訪れた。
その日は実習で帰りが遅くなってしまった。
電車に揺られながら、俺はスマホをいじっていた。
すると、母からメールの通知が届いた。
それを開くと、思いもよらないものだった。
『香織ちゃんが、交通事故に遭って亡くなったって』
嘘だろ、と思った。
か、お、り、が、死、ん、だ…?
そのメールが信じられなくて、病院の名前を聞いて急いで向かった。
病院に着くと、父母と妹が廊下で立ち尽くしている姿を見つけた。
部屋の中から、おばさんの泣き声が聞こえてくるのがわかった。
「母さん、香織は?」
「…あそこよ。行ってきなさい」
母が指差した方向へと、足を進める。
その足は、今まで感じたことのないくらい重かった。
部屋に入ると、白い布を被った遺体があった。
「宏太くん。きてくれたのね……香織の顔、見てあげて」
おじさんが、布をめくってくれた。
そこには、長年見てきた幼馴染。もう開くことのないその目を見て、俺はもう悲しみを超えた感情が込み上げてきた。
泣きたいはずなのに、涙は出てくることはなかった。
葬式が終わってからの日々は、あっという間だった。
俺は月命日になると、必ず香織の墓を訪れることにした。
仏花を片手に、月に一度、香織に会いにいくことは習慣となっていた。
「香織。今日は雲ひとつない青空だぞ」
俺は今日も、香織に言葉をかけていく。
彼女の分も、俺は生きる。
そう心に誓った。
やわらかな光
静かに輝く冬三日月 凍える空
頼りない月明かり ゆらゆら揺れてる
心の奥 滲むために 抗えずに頷いてた
あなたがいまそっと与えてくれる
あなたが光だった
凛として咲いたあの花のように
今日を生きる溢れる想い
愛しさで
高く高く
空高く飛び立つ
空高く羽ばたく
誇り高くありたい
そうやって生きていくことが、私の理想