冬になったら
冬になったら、世界は白い毛布に包まれたように静かになる。冷たい空気が頬を刺すたびに、冬の到来を肌で感じる。木々は葉を落とし、裸の枝が空に向かって伸びる姿はどこか力強く、美しい。吐く息が白くなり、厚手のコートに身を包みながら、雪道を歩く音が心地よく響く。
冬になったら、家の中では暖かい飲み物を片手に、本を読む時間が増える。こたつの中で家族と過ごす時間や、窓の外の雪景色を眺めるひとときは、何にも代えがたい幸せだ。
冬になったら、厳しい寒さの中に潜む温かさや、自然の美しさに気づくことができる。冬の冷たさは、心を穏やかにし、ゆっくりと流れる時間を感じさせてくれる特別な季節だ。
眠りにつく前に
あなたのことが好きだから、お別れ。
だけどね。
きっと昨日の私も、今日の私も、明日の私も、何度だってあなたに恋する運命なんだ。
鍵のかかった私の記憶。その扉を開くのは、いつだってあなただけなんだ。
鳥かご
所詮、籠の中の鳥だ。
籠の中で小さな反抗するくらいが、関の山なんだよ
すべてを受け入れたような酒井様の表情は穏やかで、ただその時が来るのを待っていた。
「願わくば、天下人となられた家康様のお姿をこの目に焼き付けたかった。もっと欲を言うならば、家康様と隠月殿のややを…」
「ふざけるな……!勝手に死ぬなんて許さない」
「その命令は聞けません」
柔らかく微笑んだ酒井様が、家康様にそっと手を伸ばす。
まるでいとし子に触れるかのように家康様の頭を優しく、優しく撫でた。
「あなたはもう大丈夫。決して、一人ではないのですから」
「……勝手なことばかり言いやがって……」
「ほほ……老いぼれとはそういうものです。…隠月殿、家康様のことをどうかよろしくお願いいたします」
「はい…」
酒井様は安心したように笑みを深め、もう一度家康様を見つめた。
「あなた様は前に進んでください。死にゆく者のために、立ち止まったりしてはいけませんよ」
「当たり前だろ」
「そう……それでいいのです…………」
「酒井様…っ」
「……」
障子越しに差し込む茜色の夕陽が、微笑みを浮かべたままの酒井様を照らし出す。
徳川に、家康様に一生を捧げた忠臣は、主に見守られながら畳の上で安らかに生涯を閉じた。
カラフル
目覚めた心を、何色に染めてみようかな
今日は何色に染めてみようかな