束の間の休息
俺はある日、領地内の温泉へと足を運んでいた。
部下には「やめておけ」と止められたが、静止を受けずにやってきた。
しかし、その温泉にはライバルである男がいた。
お互い今は丸裸。刀は抜けない。
このまま共に過ごしている方が都合がいい。
この瞬間は、無礼講ということにしておこう。
俺は今日も、湯に浸かりながら疲れをとる。
力を込めて
闇の中を、ただひたすら走っていた。
探しているのは、「彼」の姿だ。
先に歩いてしまっている彼に追いつきたくて、
私は力を込めて、名を呼び続けている。
過ぎた日を想う
愛する人は、武将でした。
その人は言いました。
「戦とは関係のないところで、幸せに生きて、それから死ね」と。
けれど私は、最愛の人のもとにいることを選んだ。
それから数年。
過ぎたこの月日を想い返すと、私の人生はとてつもなく幸せだった。
星座
夜空いっぱいに輝いていた星たちが、自分の役割の終わりを知ってか、皆消えていった。
夜明けのカーテンが開く前に一番星、二番星が少しずつ消えていった。
あの星座の名前が何というのかも、もう思い出せない。
踊りませんか?
今日は舞踏会の日。
英国でも伝統ある我が一族は、毎週のように舞踏会が開かれていた。
貧富の差が激しく、金持ちは毎日旅行に出掛けているが、貧しい人々は一生懸命働いていても1日暮らしていけることがやっとだった。
そんな状況下の中で、心から舞踏会なんて楽しめるはずがない。
皆が音楽に合わせて踊っているなか、私は椅子に腰をかけてその様子を見ていた。
「ご一緒に、踊っていただけませんか?」
そんな私に声をかけてきたのは、背の高い男性だった。
「いえ、私は…」
答えを迷っている私に、男性は気遣ってくれたのだろう。
「では、庭園で星空を見ませんか? 今日は天気がいいので、よろしければいかがですか?」
「……ご一緒させてください」
庭園に出ると、星は綺麗に瞬いていた。
「綺麗ですね…」
「あなたの方が、何倍もお綺麗ですよ。王女」
「いえ、そんなこと…」
「私の人生の中で、一番輝いている。あの星空のように」
「ふふ、お上手ですね。でも、ありがとうございます」
「次の舞踏会でも、またお付き合いくださいますか?」
「ええ、もちろんです」
私と彼は、再び満天の星空を見上げた。