夢じゃない
朝起きて、夢で良かったと息を吐く瞬間がある。悪い夢を見るのは良い意味だとよく言うけど、どうしても未だに信じられない。
夢と現実の境目が曖昧な私は、目覚めたあと心臓のドクドクが中々引かないから辛くて嫌だった。
私が貴方に酷いことを言う夢をずっと覚えてる。一言一句、間違わないようにと何度も唱えて、心をちょっぴり痛めながら記憶する。星がチカチカ鼓動を早めたら、スマートフォンから聞こえる貴方の優しい声に、この夢を教えるために。
貴方にこんなことを言われたの、と私がいうと、貴方は決まって、そんな事絶対言わないよといってくれる。ずっと大切にするよと。ずっと、なんて嫌いな言葉だった。でも貴方は好きみたいだから、私も次第に好きになった。貴方は、ずっと、私とずっと一緒にいるつもりらしい。柄にもなく浮かれて、信じてしまうから恥ずかしい。恥ずかしくて嬉しい、独特な恋の耳鳴りはもうとっくに癖になってる。貴方の肩に頭を寄せた、あの瞬間でさえ愛しかった。
もう3日も経つのに。長い、恋の詩を語ってしまうみたいに。全てが、今は、目映いなんて。
心の羅針盤
心の、羅針盤は
あなたに壊された
どちかと言えば、好き。だったのに
いつの間にかあなたよりも私の方が好きなのが
今でもちょっぴりこわい
今まで苦手だった
手を繋いで整える仕草も
あなたなら許せちゃうなんてこわい
こんな歌書いて、
見返して恥ずかしくなるの分かるのに
やめられないから
恋はこわい
涙の跡
君とカラオケに行ってみたいけど
失恋ソングが好きな私は
君の前で失恋ソングは歌いたくない
バラードを真剣に聴く君が
誰を想っているのかなんて知りたくない
淡い思い出を移すミュージックビデオが
君の脳内にもあったら、いやだなあ
今の幸せだけじゃなくて
失恋の痛みさえ、私になったらいいのに
君だけのメロディ
好きって言うのが
ちいさな頃からずっと怖かった
恋は、私が私じゃなくなるみたいで怖い
だからこれが恋だって言いたくなかった
でも、歩いてるだけで愛しいこれは
泣きそうに顔をくしゃっと歪めてしまうこれは
恋でしかないんだよね
君だけがいい
恋に恋してる訳じゃない
一緒にご飯を食べるのも
隣を歩くのも
通話をするのも
ぜんぶ君が良かった
君なら良かった
君と歩いた道
ゆらゆら揺れる
暑い日に
ふたりで歩道橋を渡った
アスファルトの熱が
頬にぶつかって
わたしは顔が真っ赤になっていた
君はわたしに
今よりうんと優しく話しかけて
髪に触れて
可愛いと言う
今でも君を友達と思えないわたしは
まだ夏の暑さが
ちょっと痛い
時たま
夢に出てくるせいで
わたしはずっとあの夏