毎年私は一人でお祭りに行っている。
行く相手がいないとかそういうのじゃなくて、自分だけの特等席を誰にも知られたくないから。
誰もいなくて花火がよく見える…その場所を。
そして何より一番好きなのは花火を見ること。
それを見ながら目に涙を溜めると、綺麗な花火が幻みたいに見える。
だから私はお祭りが好き。
誰かのためになるならば、私はどんなことでもしよう。
自分の中で、とっくに殺した命。
今更どうなったっていい。
どんな罵声も暴力も、受け入れるだけの隙間が私の体には沢山ある。
一年も経たないうちに、私の体はもっと黒く染まるだろうけど。
そんな時は君に殺してほしいな。
私の命をあげるから、あなたの未来をちょうだい。
目が覚めると、私は鳥かごの中にいた。
びっくりしたけど、自由になれた気がして嬉しかった。
だけど三日くらいここにいて気付いたんだ。
餌…もらってないなって。
このままじゃ死んでしまう。
だから一生懸命叫んだ。泣いた。
だけど誰も来てくれなかった。
所詮は鳥かごの中の小鳥。
生きるか死ぬかも、決定権は人間。
今一番欲しいものは?
…と聞かれたら、私は迷わずに愛を選ぶだろう。
私は愛を知らないから。
ただの恋愛ごっこがしたいんじゃない。
本物の愛を全身で感じてみたい。
だけど、愛なんて望んだら望んだだけ遠ざかっていくものであると、感覚で分かる。
だから私は敢えて、こう答えた。
『…お金、かな』
熱を出して学校を休んだ日、私は夢を見た。
視線の先には、楽しそうな二人。
私抜きで楽しそうにしている。
まるで私なんて最初からいなかったかのようなその態度に少しの苛立ちと、寂しさを覚える。
私がいなくても世界は回る。
そんなことは分かりきっている。
今日私が学校を休んだことで困った人はいたのだろうか。
寂しいと思ってくれた人はいたのだろうか?
きっとそんな人はいない。
そんな残酷な夢を見たあと、私はもう一度眠りについた。