どこまでもついてくるあいつ。
鬱陶しいと突き放した。
それでもあいつはついてくる。
私は本気で怒った。
そしたらあいつはついてこなくなった。
良かった、と思った。
だけどおかしい。
物足りない。満たされない。
何かが足りないと思った。
そして気付いた。
私は私に依存していたあいつに依存していたんだと。
突き放してもついてくるあいつが好きだった。
私のことを本気で好きでいてくれる人がいるって安心できたから。
でももうあいつはついてこない。
誰もついてこない。
寂しい。苦しい。辛い。
だから私はあいつについていく。
もう一度私を見てくれるまで、どこまでも。
…今日は、雨。
声を出して泣いても良い日。
何をしても、雨の日は私を許してくれる。
汚い私を隠してくれようとする。
…けど、そんな雨が嫌いだってことは…
傘の中だけの秘密。
やさしい雨音が響く、そんな夕方。
程よい雨の匂いが記憶を蘇らせる。
「懐かしい」なんて独り言を呟いても、過去に戻ったりはしない。
どうしてこうなってしまったのか、どこで間違えたのか。
考え続けても出ない答えに私は考えることを止め、今日も重たい傘を閉じた。
小さな勇気を出したところで、漫画みたいに全部上手くいくわけじゃない。
勇気を出したことによって状況が悪化することもある。
それを頭のどこかで分かってる人は何人もいる。
だから小さな勇気でも出せないんだ。
…なんて、言い訳だけど。
抱負って、大人になると決める機会が減っていくような気がする。
学生だった頃は、嫌でも国語の授業で決めさせられていた。
その時は、ただ適当に決めていたけど…少し楽しかったような記憶がある。
今はどうなんだろう。
いざ抱負をってなっても、何も出てこない。
希望も期待も、私にはないから。
強いて言えば、
「良い意味でも悪い意味でも目立たないように生きる」
ってことかな。